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第9話 聞こえてきた真実 イナヤ視点(1)
「貴方様が走り出したのも、馬車に逃げ込んだのも、すべてわたし達の作戦なんです。あ――」
「作戦!? なんのための!?」
「兄上、今まさに言及されていたところですよ。……イナヤ様、お願い致します」
「はい。……なんのため。それは、『ルナ』の真実をマティウス様の口から聞くため、ですよ」
確証や自白がない限り、どうしても真実にはなりません。予想を確定させるために、行っていたのです。
「…………。まさか、すべて……」
「貴方様お得意の、嘘ですよ。わたし達も、ルナがいるフリをしていました」
自分の作り話を突然全員が肯定し始め、更には部屋があったり連れてきたりし始めた。
それは、恐怖。恐ろしくなり逃げ出すと、ガブリエル様は考えていらっしゃいました。
「その先に『自分と同じ人間』が居たら、一緒に解明しようとして自供するだろう。私の予想は当たりました」
「ぜ、全員で騙すだなんて……。酷すぎる!! よくもそんな真似を――」
「マティウス! お前にその言葉を吐く資格はない!!」
ロドン様の――実父の一喝が響き渡りました。
「確かに当主というポジションは、肉体にも精神的にも大きな負担がかかる。特にウチの家計はストレスや疲労に弱く、寿命は縮まっているのだろう」
「でしょう!? なら――」
「故に死への不安が理由で身を引きたいというのであれば、まだ納得はできた。しかしながらお前は、苦痛を押し付け、迷惑や不安をばら撒き、甘い汁だけ吸おうとした。その考え、そのやり方が、許されんのだ」
これまで享受してきたものは手放したくない――。手放したくないから嘘を吐いて弟に押し付けよう――。
なにより、ガブリエル様のことを何も考えていない。
それこそ、酷すぎます。
「僕は好きで貴族にっ、嫡男になったんじゃない!! 勝手に産んで勝手に育てて押し付けておいて!! 理不尽だ!!」
「……だから言っただろう。前者ならば納得できた、とな」
「嘘だ!! それならそれで認めなかったはずだ!! 適当なことを言うな!! それにだっ! お前!!」
ガブリエル様を鋭く指差し、睨みつけました。
「イナヤ様を巻き込んだことに怒りを覚えているだと!? それも嘘だ! どうせ自分が当主にならないといけないから腹を立てて計画を立てたんだろ!? そうなんだよな!?」
「……違いますよ。家と民のためになるのであれば、喜んでこの命を燃やす所存です」
ガブリエル様は幼い頃から『今』を作ったご先祖様達に敬意を表していて、まだまだ未熟な自分を慕ってくれる領民を大切に想っていらっしゃった。
大事なバトンを繋ぐためなら、大事な存在を守るためなら、引き受けられる。ガブリエル様は真剣なお顔で――本心で、そう仰りました。
「とはいえ――。心が嘘に塗れている兄上には、嘘に映るのでしょう。信じていただけるとは思っておりません」
「っっ! なまいき――」
「そうだな。故に、不毛なやり取りはここまでとしよう。……頼んだ」
ロドン様が、神妙な面持ちで頷かれる。そうすると馬車から3名降りてこられて、マティウス様を拘束したのでした。
「作戦!? なんのための!?」
「兄上、今まさに言及されていたところですよ。……イナヤ様、お願い致します」
「はい。……なんのため。それは、『ルナ』の真実をマティウス様の口から聞くため、ですよ」
確証や自白がない限り、どうしても真実にはなりません。予想を確定させるために、行っていたのです。
「…………。まさか、すべて……」
「貴方様お得意の、嘘ですよ。わたし達も、ルナがいるフリをしていました」
自分の作り話を突然全員が肯定し始め、更には部屋があったり連れてきたりし始めた。
それは、恐怖。恐ろしくなり逃げ出すと、ガブリエル様は考えていらっしゃいました。
「その先に『自分と同じ人間』が居たら、一緒に解明しようとして自供するだろう。私の予想は当たりました」
「ぜ、全員で騙すだなんて……。酷すぎる!! よくもそんな真似を――」
「マティウス! お前にその言葉を吐く資格はない!!」
ロドン様の――実父の一喝が響き渡りました。
「確かに当主というポジションは、肉体にも精神的にも大きな負担がかかる。特にウチの家計はストレスや疲労に弱く、寿命は縮まっているのだろう」
「でしょう!? なら――」
「故に死への不安が理由で身を引きたいというのであれば、まだ納得はできた。しかしながらお前は、苦痛を押し付け、迷惑や不安をばら撒き、甘い汁だけ吸おうとした。その考え、そのやり方が、許されんのだ」
これまで享受してきたものは手放したくない――。手放したくないから嘘を吐いて弟に押し付けよう――。
なにより、ガブリエル様のことを何も考えていない。
それこそ、酷すぎます。
「僕は好きで貴族にっ、嫡男になったんじゃない!! 勝手に産んで勝手に育てて押し付けておいて!! 理不尽だ!!」
「……だから言っただろう。前者ならば納得できた、とな」
「嘘だ!! それならそれで認めなかったはずだ!! 適当なことを言うな!! それにだっ! お前!!」
ガブリエル様を鋭く指差し、睨みつけました。
「イナヤ様を巻き込んだことに怒りを覚えているだと!? それも嘘だ! どうせ自分が当主にならないといけないから腹を立てて計画を立てたんだろ!? そうなんだよな!?」
「……違いますよ。家と民のためになるのであれば、喜んでこの命を燃やす所存です」
ガブリエル様は幼い頃から『今』を作ったご先祖様達に敬意を表していて、まだまだ未熟な自分を慕ってくれる領民を大切に想っていらっしゃった。
大事なバトンを繋ぐためなら、大事な存在を守るためなら、引き受けられる。ガブリエル様は真剣なお顔で――本心で、そう仰りました。
「とはいえ――。心が嘘に塗れている兄上には、嘘に映るのでしょう。信じていただけるとは思っておりません」
「っっ! なまいき――」
「そうだな。故に、不毛なやり取りはここまでとしよう。……頼んだ」
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