婚約破棄をされたら、お兄様に溺愛されていたと気付きました

柚木ゆず

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2話(4)

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「アンリエット・クラメールの行動によって、ジルベール殿下は頬にお怪我をされた。したがってその治療費、500万A(アルジャン)をただちに用意していただきたい」
「この場で用意できない場合は家内の物を強制的に回収し、それでも不足するのであれば、住居や土地で支払っていただきます。こちらは『王族の心身に被害が生じた場合、加害者が治療費の全額を負担する』という法に則っております故、至急用意をお願いする」

 使者の方々は正式な書類を提示し、それを見た私は腰が抜けそうになります。
 下級貴族の年収はおよそ200万Aで、請求額は2・5年分。生活にそこまでの余裕がないウチでは――いいえ。上級貴族であっても、すぐに支払える額ではありません。

「ははぁん。まずはそうやって、色々と差し押さえる気なのかぁ。爪が頬をかすめて500万って、いったいどんな治療をしたんですかねえ?」
「「………………殿下の専門医が、適切な処置を行った結果だ。間違いはない」」
「ふーん。じゃーあ、アンリエットの方はどうなるんですかー? 髪が一部痛んでいて、頬はまだ赤くなってるんですがねー?」
「「………………無駄話はここまでだ。早々に支払っていただきたい」」

 お二人は都合の悪い事には答えず、改めて書類を突き出してきました。
 どうやっても500万Aは回避できませんし、高値がつきそうな頂き物はお父様達が持っていってしまいました……。どうすれば、いいのでしょう……。

「「治療費、500万A。さあ、お支払いください」」
(どう、しましょう……。どうしたらいいのでしょうか……)
「はいはい。ちょっと待っててくださいな」

 心の中で右往左往していると、お兄様が頭を掻きながら自室に入っていきました。
 ご、御自分のお部屋……? な、なにをされるのでしょうか……?

「お、おい……。アイツ、のんびり部屋に入っていったぞ……」
「随分と変な男だったが、行動は更に変だな……。なにを考えているんだ……?」

 私も使者の方々と共に首を傾げ、2~3分ほど経ったでしょうか。2階にある扉がガチャリと開いて、ぇ。
 お兄様は、札束を5つ持って戻ってきました……。
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