行き倒れていた人達を助けたら、8年前にわたしを追い出した元家族でした

柚木ゆず

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第4話 感謝 感謝 感謝 俯瞰視点

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「……ミサ、ポーリーヌ。感謝せねばならんな」

 翌日の早朝。久し振りに屋内でありベッドの上で目を覚ましたピエールは、傍にいる妻と娘を見渡しました。

「そうね、貴方」
「ええお父様。感謝してもしきれませんわ」

 空腹で死にそうになっているところを助けてもらい、足元を見ず正規の賃金で働かせてくれることになった。それだけでもありがたいのに三食無料の従業員用宿舎の一室を与えてもらい、生活に必要なものまで全て無償で提供してくれた。
 地獄の中にいた者達にとっては奇跡のような出来事で、三人は瞳を潤ませ頷き合いました。

「ヴァランタン様。レアナ様。お二人がいなければ、我々は今頃死んでいただろう」
「命の恩人、よね」
「このご恩は、一生をかけて返さないといけませんわ」

 貴族時代3人は、平民を圧倒的な格下に見ていた。汚い血が流れる学も教養もない、ゴミと同じ――自分達と同じ『人間』を名乗ることさえおこがましい存在だと見下していました。
 しかしながら今回の件により、三人の中で二人は神同然――全てを失い窮地に陥っていた自分達を一度も助けてくれなかったため、神以上の存在となっていたのでした。

ヴァーランのもとに行けない・・・・・・・・・・・・・・今の我々にできる恩返しは、ホライザさんの戦力となること。だろう?」
「これまで手にしていたものは全て、あの忌々しい愚者たちに奪い取られてしまったんだもの。わたくし達に残っているのは、この肉体だけだわ」
「とはいえ――働き手の増加は、ホライザさんが望んでいること。困っている部分を埋められるのは不幸中の幸いですわ」

 来月からラッカーゾス祭があり、普段の倍以上忙しい日々が一か月間続く。ゆうべ宿屋ホライザの内情を聞いており、部屋に安堵の息が三つ漏れました。

「来月までに従業員としての仕事をしっかり頭と身体に叩き込み、立派な戦力にならねばならんな。……ミサ、ポーリーヌ」
「そうね。……貴方、ポーリーヌ」
「ええ。……お父様、お母様」

 三人は視線を交わし合い、

「「「ホライザさんのために! ヴァランタン様とレアナ様のために!」」」

 手を重ね合い、今一度感謝の感情を込めつつ気合を入れました。
 こうして三人による『恩返し』が幕を開けることとなり、美味しい朝食を満喫し毎朝あるという朝礼で全スタッフに挨拶をしたあと、いよいよ労働が始まったのでした。



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