行き倒れていた人達を助けたら、8年前にわたしを追い出した元家族でした

柚木ゆず

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第11話 気が付くと 俯瞰視点(4)

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「残念ながら、貴方がたはホライザで働ける人間ではありませんでした。先ほど申し上げたように、パターン18となった者が向かう場所へと連行します」

 ホライザにいる『ノルエット家』の直系の人間と、ホライザの秘密を伝えられた配偶者――支配人ダッドとその妻アメリ、副支配人ヴァランタンとその妻レアナで相談をし、最終的なパターンを決定する。18の場合はこの国の北部にある『スーロアル』という場所が移動先でした。

「そちらでは同じく、パターン18に対応した生活を送っていただくことになります。ですので――」
「やっ、やめてくれ!!」
「やめてください!!」
「おやめください!!」

 ピエール、ミサ、ポーリーヌ。全員、頭部が取れそうなほど激しく首を左右に振りだしました。

「我々が移動させられる場所では!! あの頃――路頭に迷っていた頃よりもっ、苦しい日々が待っているんですよね!?」
「さあ、どうでしょう。この場では言及できません」
「きっと、そうなんです! もう、辛い思いはしたくないんです!!」
「また――あの頃以上の地獄なんて味わいたくないんです!!」
「今度こそ心を入れ替えますから!! 一回だけチャンスをください!!」

 必ず〇〇をするし、他のスタッフに対して〇〇な態度を取るし、給料は当分要らないし、どんな時も〇〇で対応する――。三人は早口で、反省の意識と今後の自身の対応を伝えました。

「お願いします!」
「お願いします!」
「お願いします!」
「そのお願いは、聞けません。チャンスは一度だけなのですから」

 判断は一回、最初で最後。どんな事情があれ、特例、特別扱いはありません。

「これまでもこれからも、ルールが変わることはありません。ですので――」
「ヴァランタン様!! 貴方様に大事なお話がございます!!」
「あなた……!?」「お父様……!?」
「必ずや、貴方様のプラスとなる情報でございます。そのお話は、貴方様にだけお伝えしたいものでしてっ! どうかっ、どうかっっ、お受け入れくださいませ!!」
「………………分かりました。聞き入れましょう」

 この話は聞いておいた方がいい気がする――。そんな直感があり、ヴァランタンは呼び込んでいた三人に一旦退室してもらいました。

「お望みの環境を整えましたよ。さあどうぞ、仰ってください」
「感謝いたします……!」

 深く深く、こうべを垂れたあと。ピエールはにんまりと下卑た笑みを浮かべ、このように口を動かしたのでした。


「我々には、とっておきの隠し玉がございます。そちらをお渡しする代わりに、どうにか見逃してはいただけないでしょうか?」





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