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第10話 手紙の中身は ~1枚目~ キアラ目線

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《ガリー様、セレスト様、キアラ様。今までお世話になりました。
 わたくしアレクシアは本日を以てフェルアの姓を捨て、カタリナと共にお屋敷を去ることに致しました》

《ここは現世の地獄のような場所。実を言いますと、ずっと前から脱出を計画していました。
 ですがフェルア家は伯爵家で、それなりに地位も財もあります。この家が――皆様が万全な状態で実行してしまえば、途中で発見されるなど失敗に終わってしまうと確信しておりました。
 ですのでわたくし達は好機の訪れを待ち続け、ようやく2つのチャンスがやって来てくれました》

《ボスコ様とクララ様の裏切り。わたくし達にとってそれらは、予想外の出来事はないのですよ》

《ボスコ様は、キアラ様が誘惑すればコロリと心変わりをされた。そんなにも簡単に変わってしまう方は、『二度目』もあると思っていたのです。
 いずれキアラ様に興味を失くし、何かしらの問題を起こした上でキアラ様のもとを去ると思っていました》

《クララ様。わたくしは前々より、あの方に他意や悪意があると把握しておりました。
 あの方の瞳の奥には怒りや恨みが渦巻いていて、猫をお被りになられて素敵な地位を築かれていらっしゃるキアラ様を、いずれ蹴落とすだろうと思っておりました》

《そのどちらかに乗じて動き出そうと思っていましたが、まさか二つ同時に発生するとは思いませんでした。そこは唯一の想定外ですが、こちらにとってはよりチャンスとなる有難いもの。
 捏造によってキアラ様と『家』の評判をどん底に落とし、様々な部分に大きな悪影響をもたらしてくれるもの。
 ですのでそちらをしっかりと利用させていただき、追跡する体力と余裕がなくなった本日、決行させていただきました》

《お父様、お母様。あの日は、奪う者が奪われる日でしたね。
 キアラ様。初めて奪われた御気分はいかがでしょうか?
 できれば直接お伺いしたかったのですが、そんなことをすればトマトのように顔を真っ赤にしてお怒りになられると思いますので、身の危険を鑑みてやめておきます》

《お父様、お母様、キアラ様、最後に楽しいショーを見せてくださりありがとうございました。
 さようなら。
 貴方がたと過ごした時間はすぐに忘れて、これからはカタリナ姉さんと共に幸せな日々を過ごしますね。
 皆様はこれからも色々と大変なことが続くと思いますが、どうか頑張ってください。
 応援は致しませんが、ご健闘を祈っております                 》
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