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プロローグ ベルナデット視点(2)
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「貴女のせいでわたくし達は、学院でもお屋敷でも恥をかかされましたの。……貴女は自身を苦しめた原因に優しくできますの? できないでしょう?」
「だから、優しくしてやる時間は終わりだ。これからは、真逆。……言っておくが、この程度で済むと思うなよ? 空気をまるで読まず、せっかく優しくしてやった侯爵令息様と令嬢様を苦しめた罰だ。まずは選挙辞退に追い込み、最終的には学院に居られないようにしてやるから、覚悟しておけ」
などなど。3~4分にも及ぶお二人の言い分を聞いて、わたしはとんでもない勘違いをしていたのだと気が付いた。
――ずっと優しくしてくださっていたのは、思い遣りあるから。ではない――。
弱い者に施しを与える感覚。自分達が優越感を得るためだけ行っていた。
――生徒会活動や奉仕活動に力を入れていらっしゃらないのは、そういったものに関心がなく、遠回しに次回の選挙で落選するように仕向けていたから。ではない――。
自分達は生徒会長に次ぐ地位を持っているから、適当にやっていても同じ条件で――引き続き、ナンバー2とナンバー3のポジションで再選できると確信していたから。
楽をして結果を欲しがるという、はっきり言ってどうしようもない性格の持ち主だった。
ということに、ようやく気付いたのでした。
「貴女をこれから、わたくし達と同じ目に――それ以上の目に、遭わせてあげますわ」
「俺達が味わった以上の悔しさを味わわせてやる。血の涙を流させてやるから、楽しみにしておくんだな」
「あ、あの……。パトリシア様、ロベール様――」
「ふふ。言っておくけれど、謝っても無駄ですわよ」
わたしは、酷く呆れてしまっていただけ。謝るつもりなんてないのに、半笑いで遮られてしまった。
「一昨日と昨日受けた屈辱。あれらはどうやっても、もう消えないんですもの」
「徹底的にこの怒りをぶつけ、必ずお前に絶望を与えてやる」
お二人の頭の中に自業自得という認識はまったくなくって、それどころか自分達を被害者扱い。『分を弁えなかったベルナデットが悪い』が当然の認識としてあって、ギリギリと手のひらに五指の爪を食い込ませた。
「投票の辞退や学院からの退学。わたくし達が本気を出せば、そういったことは容易に可能なんですのよ。次の登校日――明日から起こり始める『異変』を、どうぞお楽しみに」
「なにをされるか分かっていても阻止できない、最高のプログラムを用意してある。どうぞお楽しみに」
そんなお二人は口を動かしたあと、揃ってニヤリ。不気味な薄笑いを浮かべ、仲良く歩き始めたのだった。
なので――。私はそんな、遠ざかっていく二つの背中に向かって――
「だから、優しくしてやる時間は終わりだ。これからは、真逆。……言っておくが、この程度で済むと思うなよ? 空気をまるで読まず、せっかく優しくしてやった侯爵令息様と令嬢様を苦しめた罰だ。まずは選挙辞退に追い込み、最終的には学院に居られないようにしてやるから、覚悟しておけ」
などなど。3~4分にも及ぶお二人の言い分を聞いて、わたしはとんでもない勘違いをしていたのだと気が付いた。
――ずっと優しくしてくださっていたのは、思い遣りあるから。ではない――。
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ということに、ようやく気付いたのでした。
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「あ、あの……。パトリシア様、ロベール様――」
「ふふ。言っておくけれど、謝っても無駄ですわよ」
わたしは、酷く呆れてしまっていただけ。謝るつもりなんてないのに、半笑いで遮られてしまった。
「一昨日と昨日受けた屈辱。あれらはどうやっても、もう消えないんですもの」
「徹底的にこの怒りをぶつけ、必ずお前に絶望を与えてやる」
お二人の頭の中に自業自得という認識はまったくなくって、それどころか自分達を被害者扱い。『分を弁えなかったベルナデットが悪い』が当然の認識としてあって、ギリギリと手のひらに五指の爪を食い込ませた。
「投票の辞退や学院からの退学。わたくし達が本気を出せば、そういったことは容易に可能なんですのよ。次の登校日――明日から起こり始める『異変』を、どうぞお楽しみに」
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そんなお二人は口を動かしたあと、揃ってニヤリ。不気味な薄笑いを浮かべ、仲良く歩き始めたのだった。
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