逆恨みをした侯爵令嬢たちの末路~せっかくのチャンスをふいにした結果~

柚木ゆず

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第1話 大変なこと の始まり 俯瞰視点

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「皆様、楽しんでいただいているところ申し訳ございませぬ。再び少しだけ、皆様のお時間をいただきたく思います」

 ロベールとパトリシアがベルナデットに理不尽な怒りをぶつけてから、およそ2時間後。嫡男アントナンの誕生日を祝すパーティーが始まり、1時間ほどが経過した頃でした。
 この国の生誕パーティーは、立食形式がポピュラー。そのためアントナンを祝ったあと参加者同士で気ままに食事や会話を行っていると、会場の前方に威風堂々とした雰囲気の男性が――当主ヘンリーが現れ、会場中をゆっくりと見渡しました。

『『『『『『???』』』』』
『『『『『『???』』』』』
「なにやら息子より、皆様に大事なお話があるとのこと。少々お耳を傾けていただければ幸いございます」
「皆様、本日はまことにありがとうございます。記念すべき日をこのような形で過ごせること、心より幸せに感じております」

 ヘンリーに促されて横に並んだ、金糸の如きブロンドを後ろで緩く束ねた男性。美麗という言葉がぴたりとあてはまる彼は流麗に会釈を行い、穏やかな印象を受けるその顔に品のある笑みを携えました。

「『良いことには良いことを重ねるべき。さすれば幸せは連鎖し、永遠に続いてゆく』。皆様も御存じの通りこの国にはそういった故事があり、わたくしは言わずもがなこの国の一員ですので――。そちらに倣い、これより皆様に一点ご報告をさせていただきます」

『ほっほっほ、これはこれは。面白いことになりましたな』
『そうですな。楽しいことになりそうですな』

 それを聞いて会場では期待の声が上がり始め、

「ロベール。楽しみですわね」
「ああ。なにがあるんだろうな?」

 ロベールとパトリシアも同じように声を上げ、他の参加者と共にアントナンに視線を注ぎます。
 そうして会場中の意識が一か所に集まると、ソレに合わせてアントナンは視線を左へと移動させます。すると――

「え……?」
「え……?」

 ――その方向から歩いてきたのは、人々を無条件で安心させてしまう温厚さを宿す女性。二人がよく知っている、後輩であり怨敵・ベルナデットが現れました。
 そしてそんなベルナデットはこのあと更に、パトシリアとロベールを驚かせることとなるのでした。

「え……!?」
「え……!?」

 なぜならば――

「紹介をいたします。彼女は、ベルナデット・タリーラル。タリーラル伯爵令嬢であり、僕の婚約者でございます」

 柔らかく目尻を下げたアントナンが、信じられないことを口にしたからです。


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