幼馴染と婚約者を裏切った2人の末路

柚木ゆず

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第8話 会わない間に起きていたこと、困ったこと アドン視点(1)

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((…………。女神が、居る……))

 それは、突然の出来事だった。
 我が家(いえ)の商会に関する縁で、初めて参加していたとある大富豪主催のパーティー。そこで俺は、予期せぬ出逢いを果たすことになった。

 ――この国の南部に領地を持つ、フェフィリア伯爵家の長女オフェリー――。

 アーモンドのような可愛らしい瞳やシルクのように美しいブロンド、触れたら溶けてしまいそうに感じる新雪の如き肌、庇護欲を掻き立てられる雰囲気などなど。まるで美点のジュエリーボックスのような美少女を目にし、その瞬間脳天からつま先へと電気が流れたのだった。

((なんて、なんて愛らしいんだ……! 違う。違っていた……!))

 メリッサでも、エステェでもない。
 オフェリー・フェフィリア。彼女こそが、ナンバー1。真に愛すべき人なんだ。

((目の前にいる人こそが、本当の運命の相手。……なら))

 動くしかない。
 幸いにも体裁を意識していたことによって、エステェとの関係は広まっていない。そこで俺は即座に声をかけ、

「貴女と、お話しをしたいと思っているんだよ。俺の我が儘に付き合ってくれませんか?」
「ふぇ……っ!? は、はぃ……っ。よ、喜んで……っ」

 無事、彼女との時間が始まる。
 そうして二人しかいない場所で言葉を交わし始め、そうなったのはやはり『真に愛すべき人』であり『本当の運命の人』だからなんだろう。俺だけではなく彼女も好意を持ってくれるようになって、でも、オフェリーはしっかりとしている人。エステェのように、交際を申し込んでも即日OKはしない。

「その……。ぇと……。光栄なこと、ですけど……。お返事は、もう少しアドン様を知ってからでも……。構わない、でしょうか……?」
「ああ、もちろんだよ。俺という人間をしっかり見て、判断してもらって構わない」

 そのため俺は公務などの合間を縫って会うようになり、エステェなんかに時間を割いては居られない。あちらには適当に延期の手紙を送って、愛しのオフェリーと様々な時を過ごしていって――はははっ。それもまた、『真に愛すべき人』で『本当の運命の人』だからなんだろうな。

「一緒に過ごすたびに、わたしの中ですごく速い勢いで、アドン様の存在が大きくなっていって。ですので、その……っ。わたしも……。すき、です。アドン様を、愛しています……っ」

 計8回目の接触で――8日後に俺達は恋人になり、俺は今度こそ一生涯のパートナーを得ることができた。なのですぐさま父上にその件を報告し、エステェとの縁を切ろうとしたのだけれど――……。

 困ったことに、なってしまったのだった。

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