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第19話 二人の本音~ピエールside~ ピエール視点(1)

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 内心でバカにしているだけなら気付かれはしない? ソレは大きな間違いだ。ずっとバカにされてきた人間は、幾度も嘲りを向けられ続けられてきたが故に、相手の目を見ればそんな感情の有り無しが分かるんだ。
 だから――

 当時の生徒会長エステェ・ファレナルースが、心の中では俺をバカにしているのだと知っていた。

 ……とはいえ、それは別に構わない。
 当時の自分は、デブでノロマで要領の悪い男。父の椅子を継ぐべく必死になっても全く成果が出ず、何一つ結果を残せていなかったんだ。バカにされて当たり前の状況を自ら作っていたのだから、仕方ないことだと思っている。
 したがって当時バカにしていた人間に暗い感情を抱いてはおらず、そこに関しては・・・・・・・一切怒りも恨みも抱いていない。
 けれど僕はずっと、エステェに激しい憎悪を抱いていた。ではなぜ、そうなっているのかと言うと――


 そんな僕であり僕を取り巻く状況を、利用したからだ。


『皆さん、必死に努力されている方をバカにしてはいませんよ』
『たとえ結果が出ていなくとも、必死に頑張っている人をバカにしてはいけませんよ』


 ヤツは箔が付く生徒会長になるため、そして高位貴族の令息に『心優しい令嬢』と認識させるために、こういった発言を繰り返していたんだ。僕の姿を目にするたびに、嘲笑っていたくせに。


((エステェ・ファレナルース……。許さない……っ。絶対に許さない……!!))



 なので僕はいつか必ず復讐をしてやると誓い、幸い環境も味方をしてくれた。

『ピエール、会頭がお前の根性を認められた。次の右腕は、予定通りお前でいくとのことだ』

 どうやら僕は、気負い過ぎて空回りしてしまっていたらしい。それによって心に余裕ができ、心身ともに大きく成長することができた――ヤツが留学している間に、復讐できるだけの力が身についたのだった。
 そしてやがてエステェが帰国し、いよいよ動き出そう――と、していた時だった。あまりにも予想外な出来事が、不意に発生したのだった。


『ごきげんよう。私を覚えていらっしゃいますか?』

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