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第9話 舞踏会~繰り返される悪夢~ ジゼル視点(1)
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「ジゼル嬢、君に一目惚れをしてしまった。どうか俺の恋人になって欲しい」
それは舞踏会が始まり、1時間ほどが経過した頃でした。私は大事な話があるとお声をかけられ、中庭へと移動すると、今度はこういった御言葉がやって来ました。
目の前で片膝を付かれている、獅子のような印象を受ける大柄の男性。この方は南に位置する隣国『サーテンバーズ』の貴族、レビラテイラ侯爵家の嫡男オスカー様。
オスカー様は主催者であるリーゼン公爵の旧友のご子息で、その関係で今夜参加をされていて、私の踊る姿を見て気に入ってくださったそうです。
「貴方を目にした刹那心の中に稲妻が走り、もう貴方しか見えなくなってしまっているんだ。……ウチは指折りの名家で、高い地位と莫大な財を持っている」
「………………」
「俺の隣を歩けば、沢山の幸せが待っているんだ。絶対に損はさせない、これこそが最高の選択と断言できる。だから、俺と一緒に進んでゆこう」
「………………申し訳ございません。とてもありがたいご提案なのですが、私は現在どなたとも交際を行うつもりはありませんので。辞退をさせていただきます」
地位と財を自慢される方は、苦手です。もともと不得意でしたが、あの件でより顕著になっていました。
ですので謝罪を口にし、差し出された手に左手を載せて引き、ました。
「…………そうか。交際をする気は、ないのか」
「申し訳ございません。……レビラテイラ様、失礼致します」
こういったお話は最後まで聞かないと、反感を買いかねません――何かしらの形で、『家』に悪影響が出てしまう可能性がありました。ですので私はこの場を訪れていて、過去にはあんなことがありますので、早く人気(ひとけ)のある場所に戻りたいという気持ちがありました。
そのため、私はすぐさま足を動かし始め――
「だったら、交際する気を湧かせてやるよ」
――っっ。突然手を掴まれ、レビラテイラ様の口の端がニヤリと吊り上がりました。
「お前は以前、魅了をかけられていたんだってな。今夜は、そいつの再演だ。今度は俺が、お前を人形にしてやるよ」
「……そちらは、不可能です。少なくともこの国の社交場では、絶対にできませんよ」
洗脳に必要なアクセサリーを持ち込めないよう、あの日以降王命により、王家が安全を保障したもの以外は会場にある『受け付け』に預けるようになっています。そしてそれは他国の方々にも適用されるため、私はそうお返しました。
すると、ニヤリとしていたレビラテイラ様は――
それは舞踏会が始まり、1時間ほどが経過した頃でした。私は大事な話があるとお声をかけられ、中庭へと移動すると、今度はこういった御言葉がやって来ました。
目の前で片膝を付かれている、獅子のような印象を受ける大柄の男性。この方は南に位置する隣国『サーテンバーズ』の貴族、レビラテイラ侯爵家の嫡男オスカー様。
オスカー様は主催者であるリーゼン公爵の旧友のご子息で、その関係で今夜参加をされていて、私の踊る姿を見て気に入ってくださったそうです。
「貴方を目にした刹那心の中に稲妻が走り、もう貴方しか見えなくなってしまっているんだ。……ウチは指折りの名家で、高い地位と莫大な財を持っている」
「………………」
「俺の隣を歩けば、沢山の幸せが待っているんだ。絶対に損はさせない、これこそが最高の選択と断言できる。だから、俺と一緒に進んでゆこう」
「………………申し訳ございません。とてもありがたいご提案なのですが、私は現在どなたとも交際を行うつもりはありませんので。辞退をさせていただきます」
地位と財を自慢される方は、苦手です。もともと不得意でしたが、あの件でより顕著になっていました。
ですので謝罪を口にし、差し出された手に左手を載せて引き、ました。
「…………そうか。交際をする気は、ないのか」
「申し訳ございません。……レビラテイラ様、失礼致します」
こういったお話は最後まで聞かないと、反感を買いかねません――何かしらの形で、『家』に悪影響が出てしまう可能性がありました。ですので私はこの場を訪れていて、過去にはあんなことがありますので、早く人気(ひとけ)のある場所に戻りたいという気持ちがありました。
そのため、私はすぐさま足を動かし始め――
「だったら、交際する気を湧かせてやるよ」
――っっ。突然手を掴まれ、レビラテイラ様の口の端がニヤリと吊り上がりました。
「お前は以前、魅了をかけられていたんだってな。今夜は、そいつの再演だ。今度は俺が、お前を人形にしてやるよ」
「……そちらは、不可能です。少なくともこの国の社交場では、絶対にできませんよ」
洗脳に必要なアクセサリーを持ち込めないよう、あの日以降王命により、王家が安全を保障したもの以外は会場にある『受け付け』に預けるようになっています。そしてそれは他国の方々にも適用されるため、私はそうお返しました。
すると、ニヤリとしていたレビラテイラ様は――
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