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第10話 声の主は ジゼル視点(1)

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「いや、運云々じゃないか。客観的に見て顔は綺麗で、スタイルも良い。おまけに性格まで良い・・・・・・・・・・とくれば、異性が注目しないはずがない。大人数が興味を示してくるんだから、そりゃあ中にはこんなゴミも混ざってるよな」

 喋り方や目付き、雰囲気は、まるで違います。ですが、間違いありません……!
 私達の間に割って入ってきてくださったのは、リヴェド様。私の恩人であり、私がずっとお会いしたかった人です。

「……ゴミ、だと? ははは、お前は口の利き方を知らないみたいだな。どこの人間だ‼」
「これはこれは失礼致しました。わたくしは隣国『ノズファレア』に属する、ヴァロガルダ筆頭公爵家の当主リヴェドと申します」

 怒鳴られたリヴェド様は慇懃無礼に会釈をされ、信じられないことを口にされました。
 この方は……。北に位置する国の、公爵様……!?

「齢20の若輩者ではありますが、とある事情により長を務めております。もうすぐ貴方様は貴族ではなくなるので、敬語や挨拶は不要だと思っていましたが――。少なくとも今はまだ公爵家の人間ですので、させていただきました」
「貴族では、なくなる……? はっ、ソイツは無理な話だ。俺も父上もあの当主と違って、罪悪感なんてこれっぽちも抱きはしない。証拠がない以上、立証は不可能だぞ」
「なるほど。貴方様は、アレが自らの意思だとお思いなのですね? ではその予想が正解かハズレか、身を以て理解してもらおうか」

 そう仰ったリヴェド様は私の額に手を当て、程なくゴポリと体から何かが――リヴェド様いわく『魅了の導入』が抜け出す感覚が、ありました。そしてそれはやがてあの日見たピンク色をした球体へと姿を変え、レビラテイラ様の体内へと入り込んでいったのでした。

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