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第10話 声の主は ジゼル視点(2)

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「??? 俺の方に、手を払って……。なにを、しやがったんだ――俺は魅了を改良してジゼル・ジュリエリラに使用しようとしました――っ!? 俺は何を言っているんだ!?」

 するとそこも、あの日と同じ。レビラテイラ様は急に姿勢を正し、本来ならば決して口にされないことを仰りました。

「あと1分は自我があるから、教えてやろう。今の状況は、逆だ。操り人形にしようとしていたお前が、操り人形になっているんだよ」
「なっ!? なあ!?」
「今のお前は、俺の命令を何でも聞きたくなる、という状態になっている。だからこれから待機をしている従者を伴い会場に戻り、その場で新開発の魅了を披露するんだよ」
「!! そっ、そんなことをしたら――」
「大々的に実践するんだから、罪悪感がなくても罪人となるな。……お前が自白だと思っていた、公爵のアレ。あんな風になっていたのは、こういうことが起きていたからなんだよ」

 リヴェド様が、お屋敷と会場で動いてくださった。それによってあの夜、私は救われました。

「なっ、何者なんだお前は!? なぜそんなことを――そっ、それはどうでもいい! すっ、すまないっ! 反省している!! 反省しているから許してくれ――」
「なんてことを追い詰められて言うヤツは、反省なんて微塵もしていない。それに仮に反省していても、止めるつもりはないんでな。いってらっしゃい」
「うあああああああああ!! 待て! 待ってくれ‼ 行きたくない‼ うああああああああああああああ――行ってまいります!」

 恐らく、1分が経ったからなのでしょう。レビラテイラ様はハキハキと応え、駆け足でその場を去ってゆきました。
 こうして私は再びリヴェド様に助けられ、脅威は去りましたので――



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