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第2話 翌日~不思議な反応~ ジョゼット視点(2)
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「ベルナール様がですか……!?」
わたしはおもわず、手に持っていたハンカチを落してしまいました。
ベルナール様はわたしの婚約者様で、いらっしゃること自体は決して不思議ではありません。ですが今回は前日のわたしのように『アポイントメントなし』な上に、非常識とされる時間帯に来訪されているのです。
「……何か、あったのでしょうか……?」
「だろうな。余程のことがあるようだ」
ベルナール様は――ベルナール様のお父様とお母様である当主ご夫妻も、意味もなくこんな行動をされる方ではありません。複数のマナー違反となっても、わたしに会いたいことが発生したようです。
「ジョゼット、思い当たる節はあるかい?」
「……いえ……。ありません」
5日間ほどベルナール様にはお会いしていませんし、ベルナール様に関係があるような行動も取ってはいません。念のためもう一度最近の行動を振り返ってみましたが、やはり結果は同じでした。
「……そうか。ではここでいくら考えても、なにもならんということだな」
「そうですね。お会いして、直接伺ってみます」
「それがいいな。応接室で待っていただいている」
「承知しました。参ります」
ランドーヴァ様やロアーナ様へのお詫びは、予定通りに出発できなくても問題なく行えます。わたしは建物外にある馬車ではなく一階にある応接室を目指し、2回ノックしたあとお部屋に入りました。
「ごきげんよう。お待たせいたしました」
「ごきげんよう。数々のご無礼お許しください」
わたしが入室するやソファーから立ち上がり、床に片膝をついてくださった『白馬の王子様』然とした美男。この方がわたしの婚約者である、ベルナール様です。
「…………………………」
「? ベルナール様?」
「ぁ、いえ、なんでもありません。失礼致しました。実は貴方様に確認をさせていただきたいことがございまして、早速ですが伺ってもよろしいでしょうか?」
「なんなりと仰ってください。わたしに応えられることでしたら、誠心誠意回答させていただきますよ」
急いで対面にあるソファーへと腰を下ろし、テーブルを挟んだ先にあるグリーンの瞳を見つめさせてもらいました。
アポイントメントなしで朝に訪れ、二人きりの状況で確認したいこと。一体なんなのでしょうか……?
「そのまま、僕の目を見つめた状態でご回答をお願いします」
「は、はい。なんでしょう……?」
「小太りの男性。細身の女性。眼鏡をかけたやせ型の男性。長身の女性。これらから、何か連想されることはありませんか?」
「………………いえ。ありません」
パッと思い浮かぶものはなく、じっくり考えてみても何も浮かびませんでした。
「そうですか。では――ザワヴァ子爵令嬢マリエール様、ボトーア男爵令嬢ファティナ様。この2名に関しては、いかがでしょうか?」
「………………ありません。マリエール様とファティナ様には昨日お会いしましたが、お二人から連想されることは特に――」
「なんですって……!?」
ベルナール様の両目が、急に見開かれました。
ど、どうされたのでしょか……?
わたしはおもわず、手に持っていたハンカチを落してしまいました。
ベルナール様はわたしの婚約者様で、いらっしゃること自体は決して不思議ではありません。ですが今回は前日のわたしのように『アポイントメントなし』な上に、非常識とされる時間帯に来訪されているのです。
「……何か、あったのでしょうか……?」
「だろうな。余程のことがあるようだ」
ベルナール様は――ベルナール様のお父様とお母様である当主ご夫妻も、意味もなくこんな行動をされる方ではありません。複数のマナー違反となっても、わたしに会いたいことが発生したようです。
「ジョゼット、思い当たる節はあるかい?」
「……いえ……。ありません」
5日間ほどベルナール様にはお会いしていませんし、ベルナール様に関係があるような行動も取ってはいません。念のためもう一度最近の行動を振り返ってみましたが、やはり結果は同じでした。
「……そうか。ではここでいくら考えても、なにもならんということだな」
「そうですね。お会いして、直接伺ってみます」
「それがいいな。応接室で待っていただいている」
「承知しました。参ります」
ランドーヴァ様やロアーナ様へのお詫びは、予定通りに出発できなくても問題なく行えます。わたしは建物外にある馬車ではなく一階にある応接室を目指し、2回ノックしたあとお部屋に入りました。
「ごきげんよう。お待たせいたしました」
「ごきげんよう。数々のご無礼お許しください」
わたしが入室するやソファーから立ち上がり、床に片膝をついてくださった『白馬の王子様』然とした美男。この方がわたしの婚約者である、ベルナール様です。
「…………………………」
「? ベルナール様?」
「ぁ、いえ、なんでもありません。失礼致しました。実は貴方様に確認をさせていただきたいことがございまして、早速ですが伺ってもよろしいでしょうか?」
「なんなりと仰ってください。わたしに応えられることでしたら、誠心誠意回答させていただきますよ」
急いで対面にあるソファーへと腰を下ろし、テーブルを挟んだ先にあるグリーンの瞳を見つめさせてもらいました。
アポイントメントなしで朝に訪れ、二人きりの状況で確認したいこと。一体なんなのでしょうか……?
「そのまま、僕の目を見つめた状態でご回答をお願いします」
「は、はい。なんでしょう……?」
「小太りの男性。細身の女性。眼鏡をかけたやせ型の男性。長身の女性。これらから、何か連想されることはありませんか?」
「………………いえ。ありません」
パッと思い浮かぶものはなく、じっくり考えてみても何も浮かびませんでした。
「そうですか。では――ザワヴァ子爵令嬢マリエール様、ボトーア男爵令嬢ファティナ様。この2名に関しては、いかがでしょうか?」
「………………ありません。マリエール様とファティナ様には昨日お会いしましたが、お二人から連想されることは特に――」
「なんですって……!?」
ベルナール様の両目が、急に見開かれました。
ど、どうされたのでしょか……?
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