悪役令嬢だったわたしは

柚木ゆず

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第2話 翌日~不思議な反応~ ジョゼット視点(4)

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「監視……。なぜわたしを……?」
「今の貴方様になら、お伝えしても構わないでしょう。その理由は2週間前に、偶然気付いてしまったからなのですよ。貴方様の隠された性質、本性に」

 一緒に招待されたパーティーでわたしは万雷の拍手を浴びるアリシア様をつい睨んでしまっていて、その一瞬を目撃されていた。その瞳にはどす黒い感情が宿っており、それが気になってわたしを調査した結果――マリエール様とファティナ様への愚行に気付かれたそうです。

「そのような行動を取る人間はあまりにもリスキーで、家の未来のためにも関係を維持するべきではありません。地位を利用しての暴挙、こちらも許されるべきではありません。婚約解消およびお二方の保護をするべく証拠収集を始めまして、その直後に貴方様が不審な動きをし始めた――被害者たちと接触を始めました」
「昨日の訪問、ですね」
「貴方様を見送られている際のお二方は心からの笑顔を浮かべており、その情報を得た僕は――僕達は、『こちらの収集を悟り、解消できないよう、或いは罪とならないように何らかの手を打った』と推測しました」

 これまでまるで下僕のように使っていた方達に、全然違う態度を取る。そう感じるのも無理はありません。

「そこでその件を追求するべく、直接本人に会って探ることにしたのです。しかしながら貴方様は自ら平然と公表された上に、違和感が多々あった。故に現在、こうしております」
「そう、だったのですね。お手数をおかけいたしました」

 わたしのせいで何回も、余計なお手間を取らせてしまいました。腰を落としていたソファーから立ち上がり、反省の意を込めて頭を下げました。

「いえ、お気になさらないでください。今の貴方様に罪はなく、むしろ被害者と言っていいのですから」
「痛み入ります……。……いったい、わたしに何が起きていたのでしょう……? 不思議でたまりません……」

 自分がしない行動を何度も何度も取っていたり、気絶を切っ掛けに色々変化したり、普通は気付くはずの一人称に気付かなかったり。なんなのでしょうか……?

「…………いつ頃から不自然な言動をされているか、分かりますでしょうか?」
「整理してみます。少々お時間をいただきます」

 去年は…………性格の悪いわたしだった。一昨年も…………性格の悪いわたし。3年前も……4年前も……5年前も…………性格の悪いわたしです。


((チッ。わたくしより目立つなんて……!!))

((もっと拍手を送りなさいよ……!!))


 マリエール様やファティナ様へしたような直接的な攻撃は行っていませんでしたが、頻繁に心の中で愚痴を言ったり頭の中で嫌いな人を階段から突き落としたりしていました。

「6年前も…………7年前も…………性格の悪いわたし、ですね。8年前は……………………。あ、あれ……!?」

 過去を振り返っていると、大変なことに気が付いてしまいました。
 わたしは、わたしには――
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