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第6話 急変 ジョゼット視点(1)
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「ごきげんよう、ジョゼット様。引き続き、お変わりありませんか?」
「ごきげんよう、ベルナール様。はい。あれから違和感度はございません」
今日はお互いにお家の用事やレッスンなどがなく、ウチのお屋敷でお会いできる日。ベルナール様は馬車を降りるや、わたしの心身を案じてくださりました。
「何かありましたらすぐご連絡ください。いつであろうとも飛んでまいります。そう仰っていただけて、『何か』が怯んでいるのだと思いますよ」
「なるほど。ではこれからもドンドンと、怯ませていかないといけませんね」
そんなやり取りをしながらわたし達は移動を行い、ガーデンテーブルへと移動します。
今日はとても天気が良く、気持ちの良い風も吹いています。せっかくの好条件を楽しまないのは勿体ないので、こちらで過ごします。
「まだまだ未熟でして、お口に合うか分かりませんが……。フィナンシェを用意させていただきました。よろしければお召し上がりください」
「口に……。こちらは、ジョゼット様が作ってくださったのですか?」
「は、はい。密かに練習しておりました」
お互いの好物を伝え合った際に、ベルナール様のお好きなものの一つがフィナンシェでした。少しでも多く来訪を楽しんでいただけるように、空いた時間を使ってシェフに教えてもらっていたんです。
「僕のために…………感謝します。ありがたくいただきますね」
シェフや家族以外に食べていただくのは初めてで、緊張します。
い、いかがでしょうか……? 気に入っていただけるでしょうか……?
「…………しっとりしていて、口の中に柔らかな食感と優しい甘さが広がりました。美味しいです。とても」
「よかった……!」
練習はしっかりとしましたし、レシピはシェフ自慢のものを使用しています。
それでも、好みは千差万別。お口に合わない可能性はあって、本心の笑顔が浮かんでホッとしました。
「……想いを込めて作ってくださったのが、よく分かります。僕は幸せ者ですね」
「ベルナール様……」
「もう一ついただいてもよろしいですか? もっとお味、お気持ちを感じたいと思っています」
「是非っ、お好きなだけ召し上がってくださいっ。紅茶のお代わりも、いつでもおっしゃってくださ――えっ?」
「ジョゼット、お前に来客だ。なにやら緊急とのことで、そのまま来ていただいた」
「突然の来訪、そしてお邪魔をお許しください」
お父様のお隣でそう仰ったのは、ヴァサロット男爵令嬢モニカ様。あの日『わたくし』が操ろうとしていた、あの方です。
「……ジョゼット様、僕は席を外していますね」
「お待ちください! ルルトス様にもお聞きいただきたくございます!」
「僕も、ですか? 承知しました」
わたしはベルナール様と視線を交わして頷き合い、揃って正面にあるブラウンの瞳を見つめました。
一秒でも早く伝えたい、ベルナール様も一緒に聞いて欲しいもの。それは――
「アリシア様が――アリシア・ラズエルア様が……。ジョゼット様の陥れを画策されているのですっ!」
――…………。
わたしもベルナール様も、おもわず言葉を失ってしまうものでした。
「ごきげんよう、ベルナール様。はい。あれから違和感度はございません」
今日はお互いにお家の用事やレッスンなどがなく、ウチのお屋敷でお会いできる日。ベルナール様は馬車を降りるや、わたしの心身を案じてくださりました。
「何かありましたらすぐご連絡ください。いつであろうとも飛んでまいります。そう仰っていただけて、『何か』が怯んでいるのだと思いますよ」
「なるほど。ではこれからもドンドンと、怯ませていかないといけませんね」
そんなやり取りをしながらわたし達は移動を行い、ガーデンテーブルへと移動します。
今日はとても天気が良く、気持ちの良い風も吹いています。せっかくの好条件を楽しまないのは勿体ないので、こちらで過ごします。
「まだまだ未熟でして、お口に合うか分かりませんが……。フィナンシェを用意させていただきました。よろしければお召し上がりください」
「口に……。こちらは、ジョゼット様が作ってくださったのですか?」
「は、はい。密かに練習しておりました」
お互いの好物を伝え合った際に、ベルナール様のお好きなものの一つがフィナンシェでした。少しでも多く来訪を楽しんでいただけるように、空いた時間を使ってシェフに教えてもらっていたんです。
「僕のために…………感謝します。ありがたくいただきますね」
シェフや家族以外に食べていただくのは初めてで、緊張します。
い、いかがでしょうか……? 気に入っていただけるでしょうか……?
「…………しっとりしていて、口の中に柔らかな食感と優しい甘さが広がりました。美味しいです。とても」
「よかった……!」
練習はしっかりとしましたし、レシピはシェフ自慢のものを使用しています。
それでも、好みは千差万別。お口に合わない可能性はあって、本心の笑顔が浮かんでホッとしました。
「……想いを込めて作ってくださったのが、よく分かります。僕は幸せ者ですね」
「ベルナール様……」
「もう一ついただいてもよろしいですか? もっとお味、お気持ちを感じたいと思っています」
「是非っ、お好きなだけ召し上がってくださいっ。紅茶のお代わりも、いつでもおっしゃってくださ――えっ?」
「ジョゼット、お前に来客だ。なにやら緊急とのことで、そのまま来ていただいた」
「突然の来訪、そしてお邪魔をお許しください」
お父様のお隣でそう仰ったのは、ヴァサロット男爵令嬢モニカ様。あの日『わたくし』が操ろうとしていた、あの方です。
「……ジョゼット様、僕は席を外していますね」
「お待ちください! ルルトス様にもお聞きいただきたくございます!」
「僕も、ですか? 承知しました」
わたしはベルナール様と視線を交わして頷き合い、揃って正面にあるブラウンの瞳を見つめました。
一秒でも早く伝えたい、ベルナール様も一緒に聞いて欲しいもの。それは――
「アリシア様が――アリシア・ラズエルア様が……。ジョゼット様の陥れを画策されているのですっ!」
――…………。
わたしもベルナール様も、おもわず言葉を失ってしまうものでした。
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