悪役令嬢だったわたしは

柚木ゆず

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第15話 その後・アリシア(佐伯美花)の場合~真実~ 俯瞰視点(2)

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 転生の際は前世の記憶は魂に封じ込められる決まりとなっており、美花はアリシアとして生きていくはずでした。
 しかしながら、美花の自我であり欲望はとてつもなく強く濃かった。アリシアとして貴族生活を送る中で『この生活をあたしが送りたい!』『あたしが憧憬の眼差しを向けられたい!』などの思いが生まれ、アリシア自身も気付かないところでどんどん膨らんでいき、やがてアリシアという人格を乗っ取ろうとし始めていたのです。

 およそ一週間に一回の、デジャビュ。
 月に1回のペースで、異様な夢を見る。

 2つの違和感は美花が主導権を奪おうとしている証で、やがて完全に入れ替わる時が訪れます。

『あっ!? きゃぁあああああああああ!?』
 その日は朝から眩暈に襲われていて、その影響だったのかもしれません。確かにちゃんと降りたはずなのに、足を踏み外して階段から転げ落ちてしまったのです。

 ちゃんと降りたはずなのに――。
 あの日アリシアは確かにしっかりと足をつけようとしましたが、美花の意識が踏み外させたのです。それによってアリシアは頭を強く打つこととなり、その衝撃によってついに美花の人格が表に出たのでした。

((間違いないわ。あたしは、アリシア・ラズエルアになってる))

 アリシアとなった美花はベルナールと結ばれるべく、シナリオを遵守した生活を送っていました。
 しかしながらたった一度だけ、ミスを犯してしまいます。

『チッ』
『あ、アリシア様……!?』
『え? あ、あら~、ごめんなさい~。舌が口の中にくっついてしまって、舌打ちをしたようになってしまいました~』((しまった、コイツがイライラさせるからつい……。大丈夫そうだけど、念のためもっと優しくしておきましょうか))

 モニカは最後まで自分の味方であり続ける、アリシア編で重要なサブキャラクターの1人。大事なキャラに違和感を覚えられたらトラブルが発生するかもしれない、そう考えてたっぷりと余計に好感度を上げてしまい――その結果、モニカは本来はなかった行動を取ってしまいます。

『ジョゼット様ぁ!! どうかお待ちください!!』
『な!?』

 あんなにも親切にしてくださったアリシア様のために――。
 大切な人を絶対に護ろうとモニカはジョゼットに掻きついてしまい、ジョゼットは転倒。それによってジョゼットに前世の記憶が――間違ってジョゼット・ハルトーラオに宿ってしまっていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・水野ひなたの記憶が、蘇ってしまったのでした。

 その結果ジョゼットは本来はあり得ない行動を取り続け、そんなジョゼットを殺してベルナールを自分のものにしようとしたため、今という未来へと変化してしまっていたのでした――。


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