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第15話 おめでとうパーティーと、あの約束(1)
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「美月、おめでとう!」
「美月、おめでとうっ」
「美月ちゃん、おめでとう!」
「美月ちゃん、おめでとう」
「美月さん、おめでとうございます」
「みなさん、ありがとうございますっ!」
お父さん、お母さん、翔くんのお父さん、翔くんのお母さん、そして翔くん。配信が終わったあとみんなで田宮家さんの和室に集まって、1000人突破おめでとうパーティーが始まりました。
「個人勢で、しかも一切宣伝がない。そんな中でチャンネル登録者数が1000人を超えるのは、本当にすごいこと。おまけにこの速度での達成は、快挙ですよ」
「えへへ、ありがとうございます。自分でもびっくりしてて、嬉しいです」
まずは今の気持ちをお伝えして、もうひとつの気持ちもお伝えします。
「でも1000人を超えられたのは、わたしの力だけじゃないです」
翔くんがお声をかけてくれて、『葉月ミア』になることができた。
翔くんが防音室や配信用の機材を貸してくれて、丁寧に教えてくれた。
お父さんとお母さんが、毎日支えてくれた。
翔くんのお父さんとお母さんが、お邪魔するたびに優しく歓迎してくれた。
それと。
なんにも情報がない『葉月ミア』の配信に遊びに来てくれて、わたしが喋ることやすることを面白いと感じてくれて、お友達に紹介したりSNSでミアの名前を出してくれたりした視聴者さん。
お顔を知っている人もお顔を知らない人も。たくさんの優しい人のおかげで、こうなっている。
わたしはテーブルの前で座っているみんなと防音室がある方をぐるっと見回して、感謝の言葉をお伝えしました。
「翔くん。翔くんのお父さんお母さん、お父さん、お母さん。翔くん。ありがとうございました。これからも、よろしくお願いしますっ」
「美月さん。こちらこそ、今後もよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
「美月……! うん、うんうん」
「これからも応援させてもらうわね」
ペコッと頭を下げると皆さんも一緒に頭を下げてくれて、??? 皆さんがパチパチ拍手をしてくれたあと、皆さんがコクリと頷き合いました。
んんん? どうしたのかな……?
「優子さん」
「ええ、涼香さん」
「??? お母さん? 翔くんのお母さん……?」
これからみんなでお祝いのケーキを食べることになってるのに、お母さん達は――お父さんも翔くんのお父さんもだ。翔くん以外の人が、みんな和室を出てどっかに言っちゃいました。
「あれ? ??? お母さんたちもお父さんたちも、どうしたんだろ……?」
「少々お待ちください、すぐに理由が分かりますよ」
「??? わ、分かりました」
待ってたら分かるみたいなので、お母さん達を待つことにしました。
翔くんとお喋りをしたり、SNSでお祝いしてくれている視聴者さんの呟きを見たり。そんな風にして時間を過ごしていると――
「ええ!?」
――お母さん達が戻って来て、わたしは目を見開いちゃうことになりました。
だって。あのね。
オムライス。唐揚げ。ハンバーグ。うどん。コーンスープ。サンドウィッチ。ピザ。そしてカツオのタタキ。
お母さん達が、わたしの大好物と、ミアの大好物を持ってきてくれたんです!
「今日は美月とミアちゃんの、おめでたい日なんだもの。内緒で用意しちゃった」
「このお料理はね、ここにいる全員で作ったの」
「サプライズを用意させていただきました。……美月さん、今日はおめでとうございます。さあパーティーを始めましょう!」
「お母さん……翔くんのお母さん……お父さん……翔くんのお父さん……。翔くん……。ありがとうございます! はいっ、はいっつ! 始めましょうっ!」
翔くんと出会ってから、よく出ちゃうようになったよね。わたしは今日も嬉し涙を流しながら大きく頷いて、パーティーが始まったのでした。
ふわふわとろとろのオムライス。外はカリっと中はじゅわっな唐揚げ。肉汁たっぷりのハンバーグ。旅行の時に食べてから大好きになった、関西風のお出しのうどん。つぶたっぷりのコーンスープ。よく潰れた卵と半分つぶれた卵が入ったサンドウィッチ。ツナとかサラミとかマッシュルームがのったピザ。そして、玉ねぎがたっぷりのった新鮮なカツオのタタキ。
みなさんが協力して作ってくれたものを、みなさんと一緒に食べて――幸せだから、あっという間でした。気が付いたらお皿の上が全部空っぽ、ケーキまでなくなっていました!
なので、1000人パーティーは終わりになって――
「パーティーの最後に、ひとつ質問をさせてもらってもいいかしら?」
――んんっ?
お母さんがニコニコしながら左手をマイクみたいにして、それをわたしに近づけてきたのでした。
「美月、おめでとうっ」
「美月ちゃん、おめでとう!」
「美月ちゃん、おめでとう」
「美月さん、おめでとうございます」
「みなさん、ありがとうございますっ!」
お父さん、お母さん、翔くんのお父さん、翔くんのお母さん、そして翔くん。配信が終わったあとみんなで田宮家さんの和室に集まって、1000人突破おめでとうパーティーが始まりました。
「個人勢で、しかも一切宣伝がない。そんな中でチャンネル登録者数が1000人を超えるのは、本当にすごいこと。おまけにこの速度での達成は、快挙ですよ」
「えへへ、ありがとうございます。自分でもびっくりしてて、嬉しいです」
まずは今の気持ちをお伝えして、もうひとつの気持ちもお伝えします。
「でも1000人を超えられたのは、わたしの力だけじゃないです」
翔くんがお声をかけてくれて、『葉月ミア』になることができた。
翔くんが防音室や配信用の機材を貸してくれて、丁寧に教えてくれた。
お父さんとお母さんが、毎日支えてくれた。
翔くんのお父さんとお母さんが、お邪魔するたびに優しく歓迎してくれた。
それと。
なんにも情報がない『葉月ミア』の配信に遊びに来てくれて、わたしが喋ることやすることを面白いと感じてくれて、お友達に紹介したりSNSでミアの名前を出してくれたりした視聴者さん。
お顔を知っている人もお顔を知らない人も。たくさんの優しい人のおかげで、こうなっている。
わたしはテーブルの前で座っているみんなと防音室がある方をぐるっと見回して、感謝の言葉をお伝えしました。
「翔くん。翔くんのお父さんお母さん、お父さん、お母さん。翔くん。ありがとうございました。これからも、よろしくお願いしますっ」
「美月さん。こちらこそ、今後もよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
「美月……! うん、うんうん」
「これからも応援させてもらうわね」
ペコッと頭を下げると皆さんも一緒に頭を下げてくれて、??? 皆さんがパチパチ拍手をしてくれたあと、皆さんがコクリと頷き合いました。
んんん? どうしたのかな……?
「優子さん」
「ええ、涼香さん」
「??? お母さん? 翔くんのお母さん……?」
これからみんなでお祝いのケーキを食べることになってるのに、お母さん達は――お父さんも翔くんのお父さんもだ。翔くん以外の人が、みんな和室を出てどっかに言っちゃいました。
「あれ? ??? お母さんたちもお父さんたちも、どうしたんだろ……?」
「少々お待ちください、すぐに理由が分かりますよ」
「??? わ、分かりました」
待ってたら分かるみたいなので、お母さん達を待つことにしました。
翔くんとお喋りをしたり、SNSでお祝いしてくれている視聴者さんの呟きを見たり。そんな風にして時間を過ごしていると――
「ええ!?」
――お母さん達が戻って来て、わたしは目を見開いちゃうことになりました。
だって。あのね。
オムライス。唐揚げ。ハンバーグ。うどん。コーンスープ。サンドウィッチ。ピザ。そしてカツオのタタキ。
お母さん達が、わたしの大好物と、ミアの大好物を持ってきてくれたんです!
「今日は美月とミアちゃんの、おめでたい日なんだもの。内緒で用意しちゃった」
「このお料理はね、ここにいる全員で作ったの」
「サプライズを用意させていただきました。……美月さん、今日はおめでとうございます。さあパーティーを始めましょう!」
「お母さん……翔くんのお母さん……お父さん……翔くんのお父さん……。翔くん……。ありがとうございます! はいっ、はいっつ! 始めましょうっ!」
翔くんと出会ってから、よく出ちゃうようになったよね。わたしは今日も嬉し涙を流しながら大きく頷いて、パーティーが始まったのでした。
ふわふわとろとろのオムライス。外はカリっと中はじゅわっな唐揚げ。肉汁たっぷりのハンバーグ。旅行の時に食べてから大好きになった、関西風のお出しのうどん。つぶたっぷりのコーンスープ。よく潰れた卵と半分つぶれた卵が入ったサンドウィッチ。ツナとかサラミとかマッシュルームがのったピザ。そして、玉ねぎがたっぷりのった新鮮なカツオのタタキ。
みなさんが協力して作ってくれたものを、みなさんと一緒に食べて――幸せだから、あっという間でした。気が付いたらお皿の上が全部空っぽ、ケーキまでなくなっていました!
なので、1000人パーティーは終わりになって――
「パーティーの最後に、ひとつ質問をさせてもらってもいいかしら?」
――んんっ?
お母さんがニコニコしながら左手をマイクみたいにして、それをわたしに近づけてきたのでした。
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