VTuberデビュー! ~自分の声が苦手だったわたしが、VTuberになることになりました~ 

柚木ゆず

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第16話 外で声(2)

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「どう? 美味しい?」
「うんっ、とっても美味しい。翔くんはどうですか?」
「ええ、同じくとても美味しいですよ。……スーパーが経営しているフードコートとは思えません。こんなスポットがあるなんて、全然知りませんでした」

 買い物が終わったあと。わたし達はお店の中にあるフードコートにいて、みんなで今日の記念にソフトクリームを食べていましたっ。

 ちなみにこのソフトクリームは、ただのソフトクリームじゃないんです。

 新鮮な牛乳などこだわりの材料で作られていて、お値段はちょっぴりお高めだけど、本当に美味しいの。『ご褒美ソフト』って名前が大げさじゃなくって、わざわざソフトクリーム目当てで来る人もいるみたい。

「ね。ビックリしちゃうよね。わたしもこっちに引っ越してきて、初めて食べた時は驚いちゃいました」
「クリームが濃厚で、バニラビーンズもふんだんに使用されている。フードコートのメニューの一つではなく、専門店を出せるレベルですね」
「そうそうっ、そうなんですっ。だからすぐ大好きになって、よくお母さんに買って食べてたんです。だからだから美味しいってよく知ってたんですけど、今日のソフトはいつも以上に――この前よりも何倍も、何十倍も美味しく感じてますっ」

 その理由はもちろん、声を出せているから。
 4年ぶりに出来たことがあって、嬉しい気持ちで心の中が一杯になってるから、より美味しく感じてますっ。

「今日も何回も言ってるし、今までも何回も言ってるけど、また言わせてもらいます。わたしがこうやってできてるのは、翔くんが世界を広げてくれて、『教えて』くれたからですっ。ありがとうございますっ」
「光栄です。佐倉美月さんとしての目標を達成する、そのお役に立てて幸せです」
「本当にっ、ありがとうございます……! この勢いで、もう片方の目標も達成するぞーっっ!」

 一週間後にある、葉月ミアの顔みせ配信。真の葉月ミアになる、本当の意味での活動の一歩目。
 こっちの『新しい一歩』も、しっかりと踏み出せるようにします!

「僕も、引き続き精一杯お手伝いをさせていただきます。よいものにしましょう」
「はいっ。帰ったら早速、色々話し合いましょう~っ」

 このあと翔くんのお家に行って、1週間後や明日や明々後日の配信のミーティングをするようになってるんです。
 1週間後だけじゃなくて次、その次も配信も視聴者さんに楽しんでもらえるように。しっかり準備をするため、たっぷりソフトクリームを楽しんだわたし達は、元気よくお店を出たのでした!


 ○○


「ねえねえ、お母さん」
「ん? なあに?」
「さっきあそこを歩いてた、お姉ちゃん」
「え? あそこを歩いてたお姉ちゃん……? …………ああ、あのボブヘアーの子ね。あの女の子が、どうかしたの?」
「うん、あのね。声が、乃愛(のあ)と違ってた。すっごく変な声してた」
「こら、そんなこと言っちゃいけません。誰かが嫌がることは言っちゃダメよ。いい? 分かった?」
「は~い」


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