罪人扱いされて祖国を追い出されましたが、今は隣国で幸せに暮らしています

柚木ゆず

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第9話 真実が明らかになる時 俯瞰視点(2)

「……つみ……? クロティルド……? なにを言っているんだい……?」
「7月17日。陛下のお誕生日を祝うパーティーで前聖女リリアーヌは聖女の力を失い、その力はこの身に宿ってわたくしは新たな聖女となりました。……それは、わたくし達の計画だったんです」
「なっ!? なにを言っているんだい!?」

 急におかしなことを言い出した。そう思っていたら、更におかしな――非常に危険なことを言い出した。
 たまらずグラシアンは叫びますが、謎の自供が止まることはありませんでした。

「「「「「計画……?」」」」」
「「「「「けいかく、って……?」」」」」
「皆様はご存じないでしょうが、白魔術というものを利用すれば聖女の力を奪うことができるのですよ」

 その方法が王城の保管庫が見つかり、王太子や国王王女たちの協力によって材料を揃え、あの日実行した――。
 クロティルドは詳細すべてを丁寧に語り、語り終えると自分自身を指差しました。

「わたくしは筆頭公爵令嬢で王太子妃なのに、一番注目されるのはリリアーヌ。偶々聖女の力が宿った下級貴族の影に隠れてしまうのが、許せなかった。そこで殿下に相談して、先程詳説した流れになったのです」
「くっ、クロティルドっ! へんな冗談はやめるんだ! みんな信じそうになってしまっているじゃないかっ!」
「いいえ殿下、これは事実ですわ。……内緒にしていてごめんなさい。とある神殿関係者に証拠が見つかってしまっていて……。自白したら温情で罪を軽くしてやると提案されて、洗いざらい話すことにしたんです」
「ちっ、違うっ! みんなっ、これも冗談なんだよ!! も、もうっ、どうしたんだいクロティルドっ。証拠が見つかった? なにもしていないんだから証拠なんて見つかるはずないよ! もう、困った婚約者だなぁ!」

 実際あの件に関係したものは、すべて抹消されています。
 それを知っているグラシアンは、激しく動揺しつつもどうにか笑い飛ばし――ましたが、その否定はすぐに否定されてしまいます。

「こちらに関しても冗談ではありませんわ。……分かりました。でしたら、わたくしが聖女の力を奪い取ったという証拠をお見せしますわ」
「…………なんだって? え……!? な、なにをするつもりなんだ……!?」

 思い当たることがなく、混乱するグラシアン。突然異常な行動を取り始めた婚約者を、狼狽えながら見ていると――

「この聖女の力は白魔術を使って無理やり入れているため、白魔術を解けば身体から出ていってしまうのです。…………これが、その証拠ですわ」

 ――ひとりで馬車から降りて、パチンと指を鳴らす。そうすると真白だったクロティルドの髪の毛は、地毛であるブロンドに変化してしまったのでした。

「「「「「……本当、だったんだ……」」」」」
「「「「「間違いない……。事実なんだ!!」」」」」

 自らの合図で聖女の力が移動することはない、それは周知の事実でした。そのため観客全員が、言い分は事実だと確信してしまって――

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