こちら、あやかし村おこし支援課

柚木ゆず

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プロローグ(2)

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「『バズった、もしくはバズらせた経験のある人』『現在学校や会社に所属していない、もしくは近々属さなくなる予定の、真面目な人』『幽霊、妖怪、あやかし、UFOなどを肯定も否定もしていない人』。あたしが働いているトコではなぜかそういういった人間を探していて、該当する人がいたら教えて欲しいって上司から言われてるの。んで条件がピッタリだしお仕事を探してるって聞いたから、どうかな~って思ってるんだよ」
「あ、そういうことなんですね」

 わたしは納得し、すぐに先輩にジト目を注ぐ。

「ど、どしたの?」
「労働内容などが不明なのと幽霊とかに中立な人を募集してるのって明らかにおかしいですし、『なぜか』ってことは詳しい理由が公表されていないんですよね? お気持ちは嬉しいですが、そんな不気味な情報を後輩に持ってこないでください」
「いやいやっ、全然不気味じゃないよっ。面接の際に――面接を受けてもらって合否を決めるらしいんだけどね、仕事の詳細や募集理由はその際に本人にのみ伝えるんだってさ。しかもさっきも言ったけど募集してるのは『県』で、採用されたら県の職員になるんだよ。働く時間もお給料も職員とまったく同じ条件だって言っていたし、それを証明する正式な書類だってあるんだよ」
「……先輩。あるならそっちを先に出してくださいよ……」
「確かに! ごめんごめん、はいどうぞ」
「……………………間違いない、みたいですね」

 テーブルに置かれた書類を見てみると、確かに先輩が言っている情報が記されていた。本物と証明するためにわざわざ県知事の直筆サインまで入っていて、全部信じていいと思う。

「面接は県庁で行うんだけどね、移動にかかる費用は全額負担でランチ代も出るんだってさ。どうかな? バズってことはたぶん企画関係の仕事っぽいし、面接、受けてみませんか?」
「………………分かりました。受けてみます」

 不思議な匂いはするものの危険な臭いはしない。現在就職先を探している。条件は県職員と同様と、とても良い条件。
 以上の理由から首を縦に振りました。

「了解。じゃあここにあるQRコードをスマホで読み取ってもらって、えっとね……。名前とか年齢とかバズったものの詳細とかを、ここに打ち込んで……。面接希望日と時間を指定してくれるかな?」
「はい。ええと……」

 面接は毎週土曜と日曜に行われていて、正午~午後6時まで指定可能だった。なので予定が何もない土曜日の正午を指定すると、9桁の番号が表示され、下にスライドさせると面接会場への行き方が表示された。

「この番号を持って……。県庁3階の第2会議室に、行けばいいみたいですね」
「なるほど、オッケー。なら、午前の10時50分くらいに迎えにいくね」
「えっ!? 来てくださるんですか?」
「紹介したのはあたしだもん。それに目的の方には滅多に行かなくって、土地勘がまるでないでしょ~? ご案内するよ」

 先輩の言う通り、会場があるのは隣の市だから慣れていない。万が一のトラブル防止をするためお言葉に甘えることにして――2日後。わたしは迎えにきてくれた先輩の車に乗り、謎の面接へと向かったのでした。







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