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第3話 提示と要求 俯瞰視点(2)
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「ネズザルク様――」
「俺の言葉が聞こえなかったのかい? 証拠と目撃者なしでは、信用なんてできやしないよ」
「ですが――」
「しつこいな。……君に去る気がないのなら、俺がこの場を離れよう。お前達、適当に相手をしてお見送りをしてやってくれ」
ミレーユの声はにべもなく遮られ、ジャックは臣下を呼び立ち上がりました。そうして一度もミレーユを見ることなく出入口をへと進み、そのまま――応接室を立ち去ることは、できませんでした。
なぜなら、
「ですがその代わりに、信憑性を得られるものを用意してあります」
そんな声と共に、一枚の紙が――自身を含め18人分の名前とサインが記された紙が、ジャックへと向けられたからです。
「こちらにあるのは、同じ被害を受けた方々のお名前。わたし達はフロリアーヌ様に対する『被害者の会』を結成しているのでございます」
「………………」
「同様の訴えをしている人間が、こんなにも居る。更にはこの18人は親しい間柄ではなく、それどころか中には不仲な方々もいらっしゃります。……ですので信憑性が生まれると思うのですが、そちらは私の勘違いでしょうか?」
「………………い、いや、そ、そうだな。う、うん。勘違いでは、ないな」
ジャックは下々の関係を正確に把握してはいませんが、もし嘘なら見る人が見れば一瞬で見破られてしまう。全ては事実なのだと理解したため、こう返事をせざるを得ませんでした。
「信用していただけて、安堵しております。…………ネズザルク様。信じられない、信じたくないお気持ちがあるとは思いますが……。先ほど申し上げた内容は、すべてが事実でございまして――ネズザルク様? 目が、泳いでいらっしゃいませんか……?」
「え!? い、いいや!? そんなことはないぞ!?」
まさかこんな数が結託するなんて――。これじゃもみ消すこともできないぞ――。面倒なことになった、どうする――。調子に乗りすぎた――。このようなものが浮かんでいて、おもわず実際に目が泳いでしまっていました。
ですが公認だと認めたら更に状況が悪化するため、急いでかぶりを振りました。
「………………大きな動揺を、感じます。まさか……。ネズザルク様は、フロリアーヌ様の行動をご存じだったのですか……?」
「ない! あり得ない!! 俺の中でフロリアーヌのイメージは、淑女! そんなことをするなんて夢にも思っていなくて、ビックリしてしまっているんだ! これは、そう! ビックリしたことによるものなんだ!」
「そうなのですね、失礼致しました」((知らない、言い切ったわね。なら――))
にやり。ミレーユは心の中で笑みを浮かべ、そうして――
「俺の言葉が聞こえなかったのかい? 証拠と目撃者なしでは、信用なんてできやしないよ」
「ですが――」
「しつこいな。……君に去る気がないのなら、俺がこの場を離れよう。お前達、適当に相手をしてお見送りをしてやってくれ」
ミレーユの声はにべもなく遮られ、ジャックは臣下を呼び立ち上がりました。そうして一度もミレーユを見ることなく出入口をへと進み、そのまま――応接室を立ち去ることは、できませんでした。
なぜなら、
「ですがその代わりに、信憑性を得られるものを用意してあります」
そんな声と共に、一枚の紙が――自身を含め18人分の名前とサインが記された紙が、ジャックへと向けられたからです。
「こちらにあるのは、同じ被害を受けた方々のお名前。わたし達はフロリアーヌ様に対する『被害者の会』を結成しているのでございます」
「………………」
「同様の訴えをしている人間が、こんなにも居る。更にはこの18人は親しい間柄ではなく、それどころか中には不仲な方々もいらっしゃります。……ですので信憑性が生まれると思うのですが、そちらは私の勘違いでしょうか?」
「………………い、いや、そ、そうだな。う、うん。勘違いでは、ないな」
ジャックは下々の関係を正確に把握してはいませんが、もし嘘なら見る人が見れば一瞬で見破られてしまう。全ては事実なのだと理解したため、こう返事をせざるを得ませんでした。
「信用していただけて、安堵しております。…………ネズザルク様。信じられない、信じたくないお気持ちがあるとは思いますが……。先ほど申し上げた内容は、すべてが事実でございまして――ネズザルク様? 目が、泳いでいらっしゃいませんか……?」
「え!? い、いいや!? そんなことはないぞ!?」
まさかこんな数が結託するなんて――。これじゃもみ消すこともできないぞ――。面倒なことになった、どうする――。調子に乗りすぎた――。このようなものが浮かんでいて、おもわず実際に目が泳いでしまっていました。
ですが公認だと認めたら更に状況が悪化するため、急いでかぶりを振りました。
「………………大きな動揺を、感じます。まさか……。ネズザルク様は、フロリアーヌ様の行動をご存じだったのですか……?」
「ない! あり得ない!! 俺の中でフロリアーヌのイメージは、淑女! そんなことをするなんて夢にも思っていなくて、ビックリしてしまっているんだ! これは、そう! ビックリしたことによるものなんだ!」
「そうなのですね、失礼致しました」((知らない、言い切ったわね。なら――))
にやり。ミレーユは心の中で笑みを浮かべ、そうして――
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