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プロローグ 姉・ステファニー視点
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「ジョシュア様……。申し訳、ございません……」
お部屋の窓から見える、雲一つない澄み切った青空。私はそんな空とは正反対で、雨の日のように今日も涙を流していました。
いつも気持ちはどん底で、食事は殆ど喉を通らなくなってしまった理由。それは、16歳実妹ロレッタにありました。
「ステファニーお姉様。わたし、ジョシュア様を好きになっちゃったの。だからね、ジョシュア様をもらうわ」
今から2週間前のこと。私がジョシュア様の婚約者となって、ちょうど2か月が経った頃でした。突然ロレッタが、こんなことを言い始めたのです。
「学院でお見掛けしたコトはあったけど、お近づきになったコトはなかったでしょ? だから、こんなにも魅力的な人だって知らなかったの」
「しかもジョシュア様のランザルス家は、ウチと同じ伯爵家だけど立ち位置も財力もずっと上っ。人柄がよくって家も優れてるなんてっ、完璧なんだもんっ。お姉様よりわたしがピッタリなんだもんっ。ねっ、お父様お母様っ。い~でしょ~っ?」
私が関わることであれば、何を言っても、してもいい。そう思っているロレッタはあっけらかんとして首を傾け、
「確かに、ロレッタの言う通りだ。お前こそが相応しい」
「ロレッタは、ブロン伯爵家史上最も可愛らしい子なんだものね。お母さんもそう思っているわ」
私の髪色はブラックで、ロレッタはプラチナブロンド。長女はこの国では『不吉』とされている色を、次女は両親と同じく『幸福』とされている色を持っているため……。ファブリスお父様とサラサお母様は、ロレッタに甘く私には厳しく……。
いつものようにロレッタには笑顔が向けられ、こちらには冷たい視線がやって来ました。
「お父様お母様っ。お二人は、ジョシュア様との婚約を認めてくださって――」
「あれは、疫病神が太いパイプに化けると思ったからだ。ロレッタが恋をしたのなら、当然話は変わる」
「ステファニー、ジョシュア様は諦めなさい。あの方との時間は、昨日が最後よ」
「お前がいると、ロレッタが恋人にはなれんからな。ジョシュア様にはわたしが、そうだな……。『自分は相応しくないと感じるようになった』と、婚約解消を望んでいるとお伝えしておく」
「そんな……っ。おやめください――」
「お父様お母様、この感じだとお姉様はいう事を聞かないよ。絶対に邪魔してくるから、わたしが恋人になるまで閉じ込めとこっ」
そうして私は、2週間前から自室で軟禁されるようになってしまって……。
「ねえねえお姉様ぁ。今日もわたし、ジョシュア様とお喋りしちゃったっ。ねぇねぇ、羨ましい?」
「お姉様、嬉しいご報告がありま~すっ。ジョシュア様はお姉様を愛していたから、とってもショックを受けててね~っ。それを慰めることで、わたしの好感度は急上昇中なの~っ。ありがとうございま~すっ」
今は軟禁の影響で、欠席していますが……。私とジョシュア様は学院の3回生で、ロレッタは2回生。そのため、毎日接触する機会があって……。
こうして学院から戻ってくると、毎回ジョシュア様との出来事を報告しに来るんです……。
「ジョシュア様……。もうしわけ、ございません……」
私のせいでショックを受けることになってしまって、ごめんなさい。妹や両親を止めることができず、ごめんなさい。
だから私は、大好きな方に謝罪を繰り返し――……。そうしていたら、部屋の扉が乱暴に開きました。
いつの間にか、午後5時になっています。今日も、この時間がやって来たのですね……。
私はロレッタから、つらい話を強制的に聞かされて――
「お姉様っ、奪うなんて言ってごめんなさいっ! あれは撤回しますっ! ジョシュア様に相応しいのはやっぱりお姉様だったわっっ!!」
――え……? ロレッタが、いつもとは違うことを言い出した……!?
お部屋の窓から見える、雲一つない澄み切った青空。私はそんな空とは正反対で、雨の日のように今日も涙を流していました。
いつも気持ちはどん底で、食事は殆ど喉を通らなくなってしまった理由。それは、16歳実妹ロレッタにありました。
「ステファニーお姉様。わたし、ジョシュア様を好きになっちゃったの。だからね、ジョシュア様をもらうわ」
今から2週間前のこと。私がジョシュア様の婚約者となって、ちょうど2か月が経った頃でした。突然ロレッタが、こんなことを言い始めたのです。
「学院でお見掛けしたコトはあったけど、お近づきになったコトはなかったでしょ? だから、こんなにも魅力的な人だって知らなかったの」
「しかもジョシュア様のランザルス家は、ウチと同じ伯爵家だけど立ち位置も財力もずっと上っ。人柄がよくって家も優れてるなんてっ、完璧なんだもんっ。お姉様よりわたしがピッタリなんだもんっ。ねっ、お父様お母様っ。い~でしょ~っ?」
私が関わることであれば、何を言っても、してもいい。そう思っているロレッタはあっけらかんとして首を傾け、
「確かに、ロレッタの言う通りだ。お前こそが相応しい」
「ロレッタは、ブロン伯爵家史上最も可愛らしい子なんだものね。お母さんもそう思っているわ」
私の髪色はブラックで、ロレッタはプラチナブロンド。長女はこの国では『不吉』とされている色を、次女は両親と同じく『幸福』とされている色を持っているため……。ファブリスお父様とサラサお母様は、ロレッタに甘く私には厳しく……。
いつものようにロレッタには笑顔が向けられ、こちらには冷たい視線がやって来ました。
「お父様お母様っ。お二人は、ジョシュア様との婚約を認めてくださって――」
「あれは、疫病神が太いパイプに化けると思ったからだ。ロレッタが恋をしたのなら、当然話は変わる」
「ステファニー、ジョシュア様は諦めなさい。あの方との時間は、昨日が最後よ」
「お前がいると、ロレッタが恋人にはなれんからな。ジョシュア様にはわたしが、そうだな……。『自分は相応しくないと感じるようになった』と、婚約解消を望んでいるとお伝えしておく」
「そんな……っ。おやめください――」
「お父様お母様、この感じだとお姉様はいう事を聞かないよ。絶対に邪魔してくるから、わたしが恋人になるまで閉じ込めとこっ」
そうして私は、2週間前から自室で軟禁されるようになってしまって……。
「ねえねえお姉様ぁ。今日もわたし、ジョシュア様とお喋りしちゃったっ。ねぇねぇ、羨ましい?」
「お姉様、嬉しいご報告がありま~すっ。ジョシュア様はお姉様を愛していたから、とってもショックを受けててね~っ。それを慰めることで、わたしの好感度は急上昇中なの~っ。ありがとうございま~すっ」
今は軟禁の影響で、欠席していますが……。私とジョシュア様は学院の3回生で、ロレッタは2回生。そのため、毎日接触する機会があって……。
こうして学院から戻ってくると、毎回ジョシュア様との出来事を報告しに来るんです……。
「ジョシュア様……。もうしわけ、ございません……」
私のせいでショックを受けることになってしまって、ごめんなさい。妹や両親を止めることができず、ごめんなさい。
だから私は、大好きな方に謝罪を繰り返し――……。そうしていたら、部屋の扉が乱暴に開きました。
いつの間にか、午後5時になっています。今日も、この時間がやって来たのですね……。
私はロレッタから、つらい話を強制的に聞かされて――
「お姉様っ、奪うなんて言ってごめんなさいっ! あれは撤回しますっ! ジョシュア様に相応しいのはやっぱりお姉様だったわっっ!!」
――え……? ロレッタが、いつもとは違うことを言い出した……!?
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