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第13話 大事な日、真実を知る日 ロレッタ視点(2)

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「父親と母親は髪の色を理由に、長女を冷遇してきたこと。次女は我が儘かつ自己中心的な思考回路の持ち主で、両親と同じく長女を攻撃し続けてきたこと。僕はとっくに、それらに気付いていたんですよ」

 ジョシュア様が口にしていた、大事な話。思い当たるものがなくて揃って首を傾げていたら、思いもよらない内容が出てきた。
 ……この人は、全部知ってた……? わたし達は外ではそういうのは隠していたし、お姉様は『心配をかける』からって黙っていたはずなのに……。どうして、とっくに知ってたの……!?

「僕は運動神経が壊滅的になく、身体的な能力だって下の下。そちらを、ご存じですよね?」
「は、はい……」「「え、ええ……」」

 それは、学院内でも有名だった話だもん。わたし達は、揃って頷いた。

「だからそんな大きなマイナスを打ち消せるように、その他の部分を徹底的に磨いていた。その中の一つが、『観察眼』。僕は対象者の言動を見て聞くことによって、その者の本性を把握できるのですよ」
「「「な……っ」」」
「なので、貴方がたの性質は把握していました。交際の御挨拶を行いに伺った時には、すでにね」

 ……そんな……。1年半以上も前から、バレてたなんて……。

「卒業式の日に挙式を重ねたのも、そちらが理由。悪の巣から一秒でも早く脱出できるように、動いていたのですよ」
「「「………………」」
「そうして最愛の人の解放作戦を進めていたワケですが、今から9か月前に厄介な事態が発生してしまいます。妹ロレッタが僕に興味を持ってしまい、奪い取ろうとし始めるというね」

 ……それは、わたしにとっても厄介なものだった。最悪な選択ミスだった。
 あのせいでわたしは何度も慌てふためく羽目になって、したくもないお姉様の応援をする羽目に――…………。待って。

((ジョシュア様は、お姉様を『最愛の人』って言ってた。解放するための作戦を進めていたと言ってた))

 だったら……。これって! これって……!!

「ようやく、気が付いたようだね。そうだよ。君に興味を持ち始めたという話は、全部が偽り。厄介な事態を円滑に解決させるための、嘘だったんだよ」

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