そんなつもりはなかったのですが……

柚木ゆず

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第1話 会いに行きましょう~勘違いの始まり~ ブランシュ視点(4)

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「う~ん、ここはハズレみたいね。次に行きましょうか」
「そうですね。次はどこを目指しますか?」
「現在地から一番近いのは、ポイントDね。そこを探してみるわ」

 あれから、およそ1時間後。ホームレスの方達が多く住む場所を二か所当たるも空振りに終わり、わたし達は3つ目を目指して移動を始めた。
 この街にあるそういった地点は合計で5つあって、次で会える確率は3分の1。これなら会えそうな気がする。

「あの4人の処理もありますし、早く会えるといいですね。見逃したらいけませんし、3人の似顔絵をもう一度見せていただけますか?」
「もちろん。どうぞ」

 この世界は地球で例えると中世ヨーロッパくらいで、電気もカメラもない。そこで警官時代の特技を活かして顔を描き、ターゲットを認識してもらえるようにしている。

「……………………よしっ、ありがとうございました。それにしても」
「ん?」
「教官は水臭いですよ。人探しをしているのなら、仰ってくださればよかったのに。喜んでお手伝いしますよ」
「貴方達は毎日忙しくしていて、せっかくの休日を割かせるわけにはいかないわ。個人的な問題なのだから、なおさらよ」

 治安局のメンバーに協力を要請していたら、戦力はぐっと増えていた。けれどさすがに、それはできない。

「それに貴方は、もうすぐ結婚でしょ? オフの日は自分たちのことに集中しないと。こないだのアレも、まだ大変なんでしょ?」
「そうですね、結構手間取ってます。でも教官のおかげでかなりスムーズにいけるようになりましたよ」

 わたしには日本人として生きた29年の記憶と貴族として生きて来た18年+αがあって、なかなかに人生経験が豊富。おかげでそういった私生活に関するアドバイスもできるようになっていて、実は指導が終わったあとに色々な人の相談に乗っていたりする。

「それはよかったわ。他にも聞きたいことがあれば、何でも聞いて頂戴ね」
「はい……! よろしくお願いします!」

 そんなやり取りをしながらスタスタトコトコと進み、やがてポイントDに到着。広めの公園の中をウロウロしながら3人の姿を探していって――

「あ! いたっ!」

 ――ビンゴ。レーヌ、ブレーズ、ドゥニーズを見つけたのだった。


 〇〇


(!? お父様お母様っ、ブランシュが来た!!))
(今、『居た』と言った……。ここに来たのは、偶然ではなく……。我々を探していたんだ……)
(ふ、復讐だわ……。力を手に入れたから、私達にあの時の復讐をしに来たのよ……。ど、どうしましょう……。どうしましょう……! どうしたら……!!)




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