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第11話 ………… シメオン視点(2)

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「兄さんは、7月3日の夜にパーティーに出席した。その際にジャックさんと話しをして、占い師の存在を知りましたよね?」

 おもわず固まってしまっていたら、次はパトリスが喋り始めた。
 ……。どうして、それを知っている……?
 俺はそんな話、一度もしていないぞ……。

「実を言いますと、あれは僕の計画なんですよ。ジャックさんが占い師に呼び止められたという話も、災難の件も全部嘘。ジャックさんは協力者で、すべては兄さんを占い師のもとに――真偽を確認するべく父上が雇った者のもとに、誘導するための法螺なんですよ」
「なっ!?」
「あの占い師は最初から、兄さんが変装して訪ねると知っていたんですよ。そうとは知らずに兄さんはヴィッケルスへと飛んで行き、身分や誕生日を言い当てられて完全に占い師を信じました。そして信用しているから、隠し事を全部喋ってしまったのですよ」

『……なにもかも、完璧でございます……! 仰る通り、俺が愛しているのはヨランドなんです。……「ヴァネッサが好き」、そう繰り返しておけばヨランドになるはずだったのに、父上はヴァネッサを選んでしまった。その原因は、なんなのでしょう……?』

 ……。
 俺は、言ってしまって、いる……。

「その際に出たことを、占い師が父さんに伝える。そうして僕達の言い分が正しいと認識し、その後すぐさまおじさんたちに連絡を取り――。密かに、兄さんとヨランド姉さんへの対応を進めていたのですよ」
「そ、そんな……。ずっ、ずっと騙されていた……。パトリスっっ!! よくも騙しやがったな!!」
「最悪だわ!! 最低よ!! 許さない……!!」
「ふふ。貴方がたは、自分がされた時だけ怒るのですね。先に行ったのはそちらなのですから、自業自得ですよ」

 俺、そしてヨランド。パトリスは小馬鹿にする目線を順番に送り、オーバーにため息を吐きやがった……!

「しかし、あれですね。『騙しやがったな』『許せない』、よくもまあそんなことを言えますよね。ここまで自己中心的に振る舞える人は、そうそう居ませんよ。兄さんとヨランド姉さんは、相当に貴重な人種ですね」
「「!!!!!!」」
「はぁ。そんな珍しい人達を見れなくなってしまうなんて。残念で仕方がありません」
「いい加減にしろ!! どこまでもバカにしやがって――待て……。見れなくなる、だって……? どういうことだっ!!」

 なにを考えてやがる……!? なにをするつもりだ……!?

「おいっ! パトリス!! お前は――なっ!? ぐあ!?」
「きゃあ!?」

 追及しようと、声を荒らげている時だった。
 父上の後方にいた、6人の男が動き出し……。
 俺とヨランドは、後ろ手に拘束されてしまった……。

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