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第13話 決行~涙の別れ~ 俯瞰視点(2)
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(まさかロバン様!? この計画を嗅ぎつけられていましたの!?)
(そっ、そんなはずはない!! 細心の注意を払って動いていた!! あちらに悟られていないと断言できる――ほっ、ほら見てみてなさい! 違うぞっ、ロバンくんでもヴァレンタ卿でもない!)
激しく動揺していたファビアンの顔は、馬車の前部にいる御者を見るや落ち着いたものへと変わりました。
突如現れた馬車を操縦していたのは、見知った小太りの中年男性。実弟アランが雇っている御者・ベルクだったからです。
「なんだ、おじ様……。もう人騒がせな人ですわっ」
「まったくだ! しかし……。どうしたというのだ……?」
今日は非常に大事な日で、一切予定は入れていない。加えて弟アランがアポイントメントなしでやって来たことはなく、ファビアンは大きく首を傾げました。
「へん、ですわね。もしかして、何かしらのトラブルが発生した……?」
「…………ベルクや門番に、急いでいる様子はない。その類ではないだろうな」
「だったら、違いますわね。いったいなんなのかしら……?」
「私にも皆目見当がつかんが、もうすぐアランがこちらにやって来る。あやつに聞けは一発だ」
そうして二人は馬車を見つめ始め、アランを乗せた車は門を通過して敷地内で停車。しばらくすると御者ベルクによって扉が開かれ――
「え!?」「えっ!?」
――まもなくレベッカとファビアンは、仲良く目を丸くする羽目になります。なぜならば、髭を蓄えた男性とやややせ型の女性――弟アランだけではなく、ファビアンの実妹クラハも降りて来たからです。
「おば様も一緒だなんて……!? お父様っ! やっぱりトラブルですわ!!」
「そ、そのようだな……。あっ、アラン! クラハっ! 何があったのだ!?」
これまでこういった出来事は一度もなく、ファビアンは――レベッカも一緒になって、二人へと駆け寄ります。そうして血相を変えた状態でファビアンが問いかけると、すぐにアランが来訪の理由を明かして――
「な…………」「な…………」
――レベッカとファビアンは、先ほど以上に唖然となってしまいました。
どちらも口をパクパクと動かし、目尻が裂けんばかりに両目を見開いているワケ。それはこの二人は、
「兄上がレベッカを逃がそうとしているので、止めにやって来たのですよ」
これから実行しようとしていた計画を、阻止をするために来ていたからです。
(そっ、そんなはずはない!! 細心の注意を払って動いていた!! あちらに悟られていないと断言できる――ほっ、ほら見てみてなさい! 違うぞっ、ロバンくんでもヴァレンタ卿でもない!)
激しく動揺していたファビアンの顔は、馬車の前部にいる御者を見るや落ち着いたものへと変わりました。
突如現れた馬車を操縦していたのは、見知った小太りの中年男性。実弟アランが雇っている御者・ベルクだったからです。
「なんだ、おじ様……。もう人騒がせな人ですわっ」
「まったくだ! しかし……。どうしたというのだ……?」
今日は非常に大事な日で、一切予定は入れていない。加えて弟アランがアポイントメントなしでやって来たことはなく、ファビアンは大きく首を傾げました。
「へん、ですわね。もしかして、何かしらのトラブルが発生した……?」
「…………ベルクや門番に、急いでいる様子はない。その類ではないだろうな」
「だったら、違いますわね。いったいなんなのかしら……?」
「私にも皆目見当がつかんが、もうすぐアランがこちらにやって来る。あやつに聞けは一発だ」
そうして二人は馬車を見つめ始め、アランを乗せた車は門を通過して敷地内で停車。しばらくすると御者ベルクによって扉が開かれ――
「え!?」「えっ!?」
――まもなくレベッカとファビアンは、仲良く目を丸くする羽目になります。なぜならば、髭を蓄えた男性とやややせ型の女性――弟アランだけではなく、ファビアンの実妹クラハも降りて来たからです。
「おば様も一緒だなんて……!? お父様っ! やっぱりトラブルですわ!!」
「そ、そのようだな……。あっ、アラン! クラハっ! 何があったのだ!?」
これまでこういった出来事は一度もなく、ファビアンは――レベッカも一緒になって、二人へと駆け寄ります。そうして血相を変えた状態でファビアンが問いかけると、すぐにアランが来訪の理由を明かして――
「な…………」「な…………」
――レベッカとファビアンは、先ほど以上に唖然となってしまいました。
どちらも口をパクパクと動かし、目尻が裂けんばかりに両目を見開いているワケ。それはこの二人は、
「兄上がレベッカを逃がそうとしているので、止めにやって来たのですよ」
これから実行しようとしていた計画を、阻止をするために来ていたからです。
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