わたしから婚約者を奪った幼馴染が、顔を真っ赤にして怒鳴り込んで来た

柚木ゆず

文字の大きさ
28 / 43

第13話 決行~涙の別れ~ 俯瞰視点(3)

しおりを挟む
「な、なにを言っているのだっ? レベッカを逃がす? この子はこれから、パーティーへと向かうだけだぞっ?」
「そうですわっ。ほらっ、こちらに招待状がありますでしょうっ! わたくしは友人に招待されていてっ、そちらに向かっているだけですわ!」
「いいや、それは嘘だ。……兄上、レベッカ、我々は把握しているんだよ。貴方たちの企みをね」

『幼馴染の婚約者とレベッカを結婚させる!? 兄上なにを言っているのですか!!』
『レベッカも何を考えているの!? やめなさい!!』

 略奪の件を報告した際に激しく反対されたため、ファビアンは一連の行動を二人に伝えてはいませんでした。しかしながら『諦めさせるための3か月』や『直近のあまりに不自然な行動』によってアランとクラハは訝しみ、秘密裏に監視を行い目的を知得していたのです。

「興味を失くした相手と結婚したくないから、死んだことにして逃がす……。またしても兄上は、最悪の決断をしてしまいました」
「このタイミングでそんな真似をしてしまったら、様々な面で『ザスワーズ家』に影響が出てしまうわ。だからわたし達は、阻止しに来たのよ」

 ヴァレンタ家からの疑問の声や、その後発生するである当主のマークなどなど、多くのリスクが生じること。ザスワーズ家にとってヴァレンタ家は、効率よくウィークポイントを補ってくれる存在であること。
 それらの理由で、アランとクラハは中止を中止させると決めていたのでした。

「な……っ。この子に犠牲になれと言うのか!? ふざけるな!!」
「嫌ですわ!! わたくしにだって幸せになる権利はある!! 絶対に嫌ですわ!!」
「ふざけているのは兄上の方だ!! 我々は貴族なのですよ! 先人が築き上げてきたものを最優先とするのは当たり前だ!!」
「それにこの現状は、兄さんとレベッカが招いたものよ。自分たちがばら撒いた迷惑は、自分達で拾いなさい」

 貴族は様々な優遇を得る代わりに、次の世代へと繋ぐ役目を担わなければならない――。アエラ・ニーゾイスを裏切らなければ、そもそもこんなことにはなっていない――。
 アランは顔を真っ赤にしつつ、クラハは淡々としつつ、ファビアンとレベッカに正論を放ちました。

「したがって、逃亡は認めない。レベッカには予定通り、ヴァレンタ伯爵家に嫁いでもらう」
「そして――」
「認めんぞ!! 認めるものか!! お前達がいくら喚こうが関係はない!! そんなもの私がねじ伏せてやる!!」
「…………そう。けれど兄さん、それは不可能よ」

 なぜならば――
しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。 しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。 そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。 このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。 しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。 妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。 それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。 それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。 彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。 だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。 そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。  それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。  婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。  これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。

聖女の代わりがいくらでもいるなら、私がやめても構いませんよね?

木山楽斗
恋愛
聖女であるアルメアは、無能な上司である第三王子に困っていた。 彼は、自分の評判を上げるために、部下に苛烈な業務を強いていたのである。 それを抗議しても、王子は「嫌ならやめてもらっていい。お前の代わりなどいくらでもいる」と言って、取り合ってくれない。 それなら、やめてしまおう。そう思ったアルメアは、王城を後にして、故郷に帰ることにした。 故郷に帰って来たアルメアに届いたのは、聖女の業務が崩壊したという知らせだった。 どうやら、後任の聖女は王子の要求に耐え切れず、そこから様々な業務に支障をきたしているらしい。 王子は、理解していなかったのだ。その無理な業務は、アルメアがいたからこなせていたということに。

婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました

日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。 だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。 もしかして、婚約破棄⁉

婚約破棄された氷の令嬢 ~偽りの聖女を暴き、炎の公爵エクウスに溺愛される~

ふわふわ
恋愛
侯爵令嬢アイシス・ヴァレンティンは、王太子レグナムの婚約者として厳しい妃教育に耐えてきた。しかし、王宮パーティーで突然婚約破棄を宣告される。理由は、レグナムの幼馴染で「聖女」と称されるエマが「アイシスにいじめられた」という濡れ衣。実際はすべてエマの策略だった。 絶望の底で、アイシスは前世の記憶を思い出す――この世界は乙女ゲームで、自分は「悪役令嬢」として破滅する運命だった。覚醒した氷魔法の力と前世知識を武器に、辺境のフロスト領へ追放されたアイシスは、自立の道を選ぶ。そこで出会ったのは、冷徹で「炎の公爵」と恐れられるエクウス・ドラゴン。彼はアイシスの魔法に興味を持ち、政略結婚を提案するが、実は一目惚れで彼女を溺愛し始める。 アイシスは氷魔法で領地を繁栄させ、騎士ルークスと魔導師セナの忠誠を得ながら、逆ハーレム的な甘い日常を過ごす。一方、王都ではエマの偽聖女の力が暴かれ、レグナムは後悔の涙を流す。最終決戦で、アイシスとエクウスの「氷炎魔法」が王国軍を撃破。偽りの聖女は転落し、王国は変わる。 **氷の令嬢は、炎の公爵に溺愛され、運命を逆転させる**。 婚約破棄の屈辱から始まる、爽快ザマアと胸キュン溺愛の物語。

婚約破棄? 国外追放?…ええ、全部知ってました。地球の記憶で。でも、元婚約者(あなた)との恋の結末だけは、私の知らない物語でした。

aozora
恋愛
クライフォルト公爵家の令嬢エリアーナは、なぜか「地球」と呼ばれる星の記憶を持っていた。そこでは「婚約破棄モノ」の物語が流行しており、自らの婚約者である第一王子アリステアに大勢の前で婚約破棄を告げられた時も、エリアーナは「ああ、これか」と奇妙な冷静さで受け止めていた。しかし、彼女に下された罰は予想を遥かに超え、この世界での記憶、そして心の支えであった「地球」の恋人の思い出までも根こそぎ奪う「忘却の罰」だった……

【完結】恋が終わる、その隙に

七瀬菜々
恋愛
 秋。黄褐色に光るススキの花穂が畦道を彩る頃。  伯爵令嬢クロエ・ロレーヌは5年の婚約期間を経て、名門シルヴェスター公爵家に嫁いだ。  愛しい彼の、弟の妻としてーーー。  

甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!

柚屋志宇
恋愛
「お姉様の婚約者ちょうだい!」欲しがり妹ルビーは、ついにサフィールの婚約者を欲しがった。 サフィールはコランダム子爵家の跡継ぎだったが、妹ルビーを溺愛する両親は、婚約者も跡継ぎの座もサフィールから奪いルビーに与えると言い出した。 サフィールは絶望したが、婚約者アルマンディンの助けでこの問題は国王に奏上され、サフィールとルビーの立場は大きく変わる。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。 ★2025/11/22:HOTランキング1位ありがとうございます。

処理中です...