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第6話 決行 シブリアン視点(2)

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((…………『ローレック記念硬貨』を飾ってるのは、この棚の3段目だったよな……?))

 動揺を必死に抑えながら、頭の中にある記憶を振り返る。
 ……………………間違いない。父上はソコに置いていた。去年の春もそれ以降も――直近では3日前に確認していて、確かにココにかざっていた。

((そう、だよな……。どうなってるんだ……?))

 まさか、飾る場所を変えた――それも違う。
 今も3段目は展示専用のスペースになっていて、『ローレック記念硬貨』を引き立たせる作りになっている。飾る場所を変えたのならそんな仕様はなくなっていて、新たにそういう場所ができているはずだ。

((………………室内に、新たな展示専用スペースは…………ない))

 360度見回してみても、そういった場所はなかった。
 だったら、展示場所の変更はありえない。

((という、ことは…………。特殊な幻でも――そこにケースとコインがないように、見えてるのか……?))

 父上は最近誰にも会っていないし、最近は職務が忙しくて3日前から外出してはいない。誰かに貸すことは絶対にないんだ。そうなってしまう。

((…………だったら……。目を擦れば、現れ………………ない……!?))

 何回何十回と目を擦っても、コインどころかケースでさえも現れはしなかった。
 つまり、特殊な錯覚を目の当たりにしてはいない。
 あのコインは……。本当に、そこにはないんだ……。

((バカな!? 消えた!? ウジェーヌか使用人の誰かが先に盗んだのか!?))

 それは……あり得ない!
 ウジェーヌは脅されるようなことはないだろうし、使用人共が今更コインに手を伸ばす理由――メリットがもない。あらゆる可能性を考えてみたものの、ヤツらの関与はあり得なかった。

((だ、だとしたら…………勝手に移動したのか!?))

 そうだ! そうに決まっている!!

((『ローレック記念硬貨』は、この部屋のどこかにあるんだ!!))

 俺はすぐさま部屋を探し始め、机の引き出し、別の棚などなどっ!! コインが収まりそうなスペースがある場所をひたすら調べていき――

((!! あった!? 『ローレック記念硬貨』があったぞ!!))

 ――父上のデスクにある、一番下の引き出しの中でコインが入ったケースを発見した!

((やっぱりそうだ! 勝手に移動していた――い、いやいや、いくらなんでもそんなわけはない。なんなんだ……?))

 動揺でおかしくなっていたが、勝手に動くなんてありえない。
 どうやら父上が、棚からココに移動させたらしい。

((引き出しの中にあったら、見えないじゃないか……? なんでここに入れてあるんだ……?))

 ………………理由を考えてみたが、分からない。
 ま、まあいいか。理由なんてどうでもいい。とにかく無事見つかったんだから、それでいい。

((『ローレック記念硬貨』は、ちゃんと確保できた……!))

 それに誰にも悟られることなく執務室を抜け出し、自分の部屋に戻ることもできた。

 作戦、完遂。

 明日ロバートに渡せば、俺は自由だ……!!
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