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第7話 約束 そして シブリアン視点
しおりを挟む「シブリアン、来たか。……上手くいったんだろうな……?」
「当たり前だ、俺がミスなんて犯すはずないだろ? お前が望んでいたものは、ほら、ここにある」
かつてクロエと出会った、今は忌々しく感じるリストランテの個室。待ち合わせ場所に着いた俺は、懐から『ローレック記念硬貨』が入った箱を取り出した。
「昨夜しつむし――保管されている場所に忍び込み、お前が用意したレプリカとすり替えて来た。間違いなく本物だ」
「そうか、さすが相棒だ。ソイツを渡してくれ」
「このコインは、写真と交換のはずだ。あの写真はどこにある?」
クソ女に騙されて撮影されてしまった、クソブス女との腹立たしい一枚。あれはどこにある?
「アレはとある場所で厳重に保管してある。渡すのはこのコインの鑑定が終わったあと――本物だと証明されたあとだ」
「なんだって!? これは本物だって、さっき言っただろ!?」
「計画をミスっているなどの理由で、偽物をオレに渡している可能性があるのはある。さすがにそんな真似をしないとは思うが、僅かでも可能性がある以上は確認しないといけないだろ?」
「……それは、そうだが……。本当に、確認出来たら返すんだろうな……?」
ロバートは嘘を吐かない男だったが、クロエの件で見方が大きく変わった。これまでのように、はいそうですかと信用はできない。
「もちろん、ちゃんと渡すさ。必ず渡す」
「なら……。ローヴェラル神に、誓えるか?」
「ああ、実際にそうするつもりなのだから誓えるさ。ローヴェラル神に誓って、約束しよう。本物だと証明されたら即日、ここに招待してあの写真を返すとな」
「…………そうか、分かった。信用する」
コイツにとって――コイツらの家・ラクテールア家は『ローヴェラル神』を深く信仰していて、反故は絶対神への裏切りを意味する。あの言葉が出た以上、信用してもいい。
「オーケー、取引成立だ。シブリアン」
「ああ。ほらよ」
「確かに、受け取った。昨日言ったように愚兄が小細工をしやがっていて、早く動かないと手遅れになり兼ねないんだ。サービスでコースを用意してるから、楽しんでいってくれ」
「気が利くな。そうさせてもらう」
誓ったおかげで、落ち着いて過ごすことができる。なので俺はロバートと別れたあと肉料理を中心としたコース料理を楽しみ、その日の夜は久しぶりに――。本当に久しぶりに、心から落ち着いてベッドに入ったのだった。
…………。
平穏を取り戻せたと、思い込んで……。
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