上 下
50 / 52

第19話 側近から見た光景 ゴーチェ視点

しおりを挟む
「えええっ!? セレ様とラシェルちゃんが交際をすることになった!?」

 プライベートな内容の時はあっちの状況を把握できなくなるから、その話を聞いた時はビックリしちゃったよ。
 だってセレ様とラシェルちゃんは、出会ってたった2日目なんだもん。そんな風になると思っていなくって、一緒に告げられた時は暫く固まっちゃったよ。

((え、ええー。う、う~ん。セレ様ってば、恋とかをした経験はないって仰ってたよねぇ……? だ、大丈夫なのかなぁ?))

 すっごく心配で、だからボクは2人を見守ろうって決めたんだ。
 セレ様は上司だけどお兄ちゃん的な存在で、ラシェルちゃんは妹のようなお姉ちゃんのような存在なんだもん。とっても大切な人達だから、何かあったらフォローしなきゃ、って思ってたんだ。

 ――でも、そんな心配は要らなかったみたい――。

ラシェル・・・・。必要だと感じた書類を、用意しておいた。目を通してみてくれ」
「あっ、ありがとうございます……っ。では私がそうしている間に、セレスティン様。こちらをどうぞ」
「? これは…………パウンドケーキか」
「オレンジのパウンドケーキがお好き、そう仰られていましたので。焼いてまいりました」

 新当主のお仕事や孤児の受け皿の話が上手く進むように、2人は毎日王の座で会うようにしてるんだけどね。2人はいつも2人のために色々な準備をしていて、

「…………美味しい。ありがとうラシェル」
「喜んでいただけて、幸せです。……セレスティン様。貴方様が用意してくださったこちらがあれば、更に円滑に進められます。いつもいつも、ありがとうございます」

 仲良く微笑み合って、ぽかぽかした時間を過ごしたり。

「セレ様、ラシェルちゃん、お帰りなさい。今日はどこに行ってたの?」
「今日は精霊界の西部にある、お花畑に連れていっていただきました。そこで、セレスティン様からこのようなものをいただきました……っ」
「わぁ、花の冠っ? 似合ってるよ~っ。セレ様って手先が器用だから、売り物みたいな――ってあれっ? セレ様って、出発前はネックレスをつけてなかったはずっ? もしかしてそちらって!」
「ああ、ラシェルからの贈り物だ。傍にあった木の実とシロツメクサを使い、作ってくれたのだよ。『私も贈らせていただいたい』、と言ってくれてな」

 デート中のコトは二人だけの秘密だから、全部は分からないんだけどさ。戻ってきたセレ様とラシェルちゃんは毎回すっごく幸せそうで、最高の時間を過ごせたんだってコトがよく分かった。

 だから――。公私共にとっても充実してるからさ――。

 それから、半年後。2人からあの話を聞かされた時は、ちっとも驚かなかったんだ。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

小さなうさぎ

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:234pt お気に入り:1

王妃となったアンゼリカ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:171,792pt お気に入り:7,997

契約結婚しましょうか!~元婚約者を見返すための幸せ同盟~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:32,923pt お気に入り:1,323

音のしない部屋〜怪談・不思議系短編集

ホラー / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:3

異世界に落っこちたので、ひとまず露店をする事にした。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:562pt お気に入り:50

【完結】姉に婚約者を寝取られた私は家出して一人で生きていきます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,966pt お気に入り:5,657

私が消えたその後で(完結)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,263pt お気に入り:2,400

処理中です...