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第5話 作戦 ルロア視点

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「あのように対応しておけば、ソフィーは安心して再び魅了を仕掛けようとする。ソレを利用すれば、上手く追い詰めることができるんだよ」

 謝罪を繰り返し、私達に手を振って去るソフィー。遠ざかってゆく背中を眺めながら、レアンドル様は作戦を説明してくださりました。
 ……確かに、仰る通りです。そのように動いておけば、そういった未来が訪れます。

「ソフィーと母セリニア。法を犯した元凶2人には、世の中のためにもしっかり罰を受けてもらわないといけない。そのために、ルロア。ローレンス卿には暫く伏せた上で、アレを頼むよ」
「承知いたしました。そちらはいつまでに、ご用意しておけばよろしいでしょうか?」
「あの様子だと、あちらはすぐには動かないはずだから……。そうだね……。次にここで会う時までに確保してもらって、持ち帰るようにするよ」

 そちらの行動は、私でも可能なものです。けれどソフィー達に悟られてしまうと大きく支障をきたしますので、レアンドル様が――邸内ではなく、邸外で行ってくださります。

「そうして更に次に訪れた時に、仕掛ける。そうすればあとは、勝手に動いて自滅するはずだ」
「そう、ですね。……何度もご迷惑をおかけして――すみません。そちらはバッテンでしたね」


『僕は魅了を仕掛けられたことより、貴方のそういった姿を見る方が辛く苦しいんだよ。だから、お願いします。僕のために、自分を責めるのは止めてくれないかな?』


 先程そう仰ってくださりましたので、私は慌てて口を押えました。そうすると嬉しそうな微笑みがやって来て、レアンドル様は小さくパンと手を打ち鳴らされました。

「以上で真面目な時間は終わりで、楽しい時間を再開させよう。ルロア、紅茶のおかわりをもらえるかな?」
「はい、喜んで……っ。すぐご用意します」

 ティーポットなどは、キッチンスペースに置いたままになっています。ですのであの場所へと戻って今度こそアールグレーを淹れ、アフタヌーンティーが再び始まります。

((……レアンドル様、ありがとうございます))

 罪悪感を消してくださり、対応策を用意してくださっているので、2人の時間を心から楽しむことができます。
 ですので、

「そういえば昨日、不思議な出来事があったんだ。1日に3度も、違う場所で知人と会って――」

「わたしも昨日、不思議な出来事がありましたよ。窓から外を眺めていると小鳥さんが2羽やって来てくれて、窓辺で一緒に歌ったんです」

 などなど。私達は会えなかった間に起きたことを伝え合い、お庭では沢山の笑顔が咲いたのでした。

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