姉の婚約者を奪おうとする妹は、魅了が失敗する理由にまだ気付かない

柚木ゆず

文字の大きさ
22 / 24

第14話 15年後~幸せの始まり、恐怖の始まり~ ソフィー視点(2)

しおりを挟む
「仲間の破滅と、魅了の存在が知れ渡ってしまったこと。それらに相当、ご立腹のようでしてね。風に噂によると、出所後直後を狙うようなのですよ」
「「………………」」

 レアンドルの言葉。わたしとお母様は、それを唖然となって聞いていた。
 私達が……。狙われている……?

「恐らくはすでに動き出していて、もう間もなく姿を見せるかもしれませんね。一秒でも早く拉致し、お礼として拷問をした上で殺害をしたいようですので」
「ひぃ! そ、そんな……。そんな……っ」
「わたし達は出てきたばかりで、何の対策もできない……。このままじゃ――っっ! れっ、レアンドル様っ!! たっ、助けてくださいっ!!」

 よく考えてみたら、目の前にいるのは侯爵様! 侯爵家に匿ってもらえれば、ソイツらは手を出せないわ!

「さ、さっきのも冗談でしてっ、わたし達は服役中に反省猛省したんですっ! 実は真っ先にお姉様とレアンドル様に謝罪を行おうとする程に後悔していたんですよっ!」
「そっ、そうっ! そうなんですのよっ! 出所が嬉しく興奮してしまいっ、つい思ってもみないことを口にしてしまっただけなんですのっ!」
「レアンドル様っ、レアンドルお義兄様っ! お願いしますっ! 下働きでもなんでもさせていただきますのでっ! シュヴァリエ家に置いてくださいっ!!」
「「お願い致します!!」」

 そう言いながらわたし達は縋り、顔を――お顔を見上げる。
 戸籍上は違っているものの、レアンドル様とは義理の兄妹なんですものっ。親しい方なんですものっ! 本当に困っている時は、助けてくれますよねっ!?

「お断りします。僕を操ろうとした人間、愛する人と義父に罪悪感を抱かせた人間を、助ける気にはなりませんので」
「そ、そんな……っ!」
「お義兄様!! 一生のお願いです!! 一度だけっ、お助けください!!」
「何度頼まれても、変わりませんよ。……と、言うつもりでしたが――。拷問や惨殺を知った上で傍観者となる。その対象が悪人2人であっても、それではルロアの寝覚めが悪くなってしまいます。そこで、少しだけ手を貸しましょう」

 ! レアンドル様は小さく息を吐き、後ろを一瞥したっ。
 どっ、どんな手をっ! 貸してくださるのっ⁉

「『もう間もなく姿を見せる』、実はさっきのお話は嘘。商人の仲間には、『出所は明日』と偽りの情報を流しています。ですので明日までに行方をくらますことができれば、最悪の事態は避けられますよ」
「あっ、ありがとうございますっ! でっ、でしたらお義兄様っ! そのお手伝いをしていただけると――」
「手を貸すのは少しだけ、これ以上の施しを与えるつもりはありませんよ。このあとのことは、自分たちでお考えください」
「「おっ、お待ちをっ‼ あと一つだけご慈悲を‼ お願いいたしま――ぁ、ぁぁぁ……」」

 どんなに懇願をしても、無駄だった……。
 レアンドル様は踵を返して、馬車に乗り込み……。シュヴァリエ家の豪奢で堅牢な馬車は、わたし達のもとを去ってしまったのだった……。

 だから……。
 わたし達はすぐさま、必死になって――

しおりを挟む
感想 155

あなたにおすすめの小説

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません

天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。 ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。 屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。 家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。

妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます

tartan321
恋愛
最後の結末は?????? 本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。

妹に婚約者を取られてしまい、家を追い出されました。しかしそれは幸せの始まりだったようです

hikari
恋愛
姉妹3人と弟1人の4人きょうだい。しかし、3番目の妹リサに婚約者である王太子を取られてしまう。二番目の妹アイーダだけは味方であるものの、次期公爵になる弟のヨハンがリサの味方。両親は無関心。ヨハンによってローサは追い出されてしまう。

せっかく家の借金を返したのに、妹に婚約者を奪われて追放されました。でも、気にしなくていいみたいです。私には頼れる公爵様がいらっしゃいますから

甘海そら
恋愛
ヤルス伯爵家の長女、セリアには商才があった。 であれば、ヤルス家の借金を見事に返済し、いよいよ婚礼を間近にする。 だが、 「セリア。君には悪いと思っているが、私は運命の人を見つけたのだよ」  婚約者であるはずのクワイフからそう告げられる。  そのクワイフの隣には、妹であるヨカが目を細めて笑っていた。    気がつけば、セリアは全てを失っていた。  今までの功績は何故か妹のものになり、婚約者もまた妹のものとなった。  さらには、あらぬ悪名を着せられ、屋敷から追放される憂き目にも会う。  失意のどん底に陥ることになる。  ただ、そんな時だった。  セリアの目の前に、かつての親友が現れた。    大国シュリナの雄。  ユーガルド公爵家が当主、ケネス・トルゴー。  彼が仏頂面で手を差し伸べてくれば、彼女の運命は大きく変化していく。

「優秀な妹の相手は疲れるので平凡な姉で妥協したい」なんて言われて、受け入れると思っているんですか?

木山楽斗
恋愛
子爵令嬢であるラルーナは、平凡な令嬢であった。 ただ彼女には一つだけ普通ではない点がある。それは優秀な妹の存在だ。 魔法学園においても入学以来首位を独占している妹は、多くの貴族令息から注目されており、学園内で何度も求婚されていた。 そんな妹が求婚を受け入れたという噂を聞いて、ラルーナは驚いた。 ずっと求婚され続けても断っていた妹を射止めたのか誰なのか、彼女は気になった。そこでラルーナは、自分にも無関係ではないため、その婚約者の元を訪ねてみることにした。 妹の婚約者だと噂される人物と顔を合わせたラルーナは、ひどく不快な気持ちになった。 侯爵家の令息であるその男は、嫌味な人であったからだ。そんな人を婚約者に選ぶなんて信じられない。ラルーナはそう思っていた。 しかし彼女は、すぐに知ることとなった。自分の周りで、不可解なことが起きているということを。

従姉妹に婚約者を奪われました。どうやら玉の輿婚がゆるせないようです

hikari
恋愛
公爵ご令息アルフレッドに婚約破棄を言い渡された男爵令嬢カトリーヌ。なんと、アルフレッドは従姉のルイーズと婚約していたのだ。 ルイーズは伯爵家。 「お前に侯爵夫人なんて分不相応だわ。お前なんか平民と結婚すればいいんだ!」 と言われてしまう。 その出来事に学園時代の同級生でラーマ王国の第五王子オスカルが心を痛める。 そしてオスカルはカトリーヌに惚れていく。

【完結】猫を被ってる妹に悪役令嬢を押し付けられたお陰で人生180度変わりました。

本田ゆき
恋愛
「お姉様、可愛い妹のお願いです。」 そう妹のユーリに乗せられ、私はまんまと悪役令嬢として世に名前を覚えられ、終いには屋敷を追放されてしまった。 しかし、自由の身になった私に怖いものなんて何もない! もともと好きでもない男と結婚なんてしたくなかったし堅苦しい屋敷も好きでなかった私にとってそれは幸運なことだった!? ※小説家になろうとカクヨムでも掲載しています。 3月20日 HOTランキング8位!? 何だか沢山の人に見て頂いたみたいでありがとうございます!! 感想あんまり返せてないですがちゃんと読んでます! ありがとうございます! 3月21日 HOTランキング5位人気ランキング4位…… イッタイ ナニガ オコッテンダ…… ありがとうございます!!

処理中です...