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第11話 魔王ダーズンとの戦い クリスチアーヌ視点(3)
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「わたしはアンタと同じようなもので、元々この世界の人間じゃないの。こことは違う世界で生まれて、とある目的のために転生しているのよ」
魔法が存在する世界で生まれて、魔力を持ち魔法を使えること。かつてはリリアン・オールワーという、『伝説の魔法使い』だったこと。
それらを分かりやすいように教えてあげた。
「でん、せつ……」
「ええと、『滅殺闇』、だったかしら? アンタの最強レベルの攻撃は、わたしにとっては下の下レベル。小指一本でも防げるわよ」
「な!? こゆ……」
「この国の本来の人間とアンタ。それ以上の距離が、わたしとアンタの間にあるのよ」
「………………………………」
勇者は魔王に対する特効を持っていたみたいだし、今までちゃんとした自分より強い相手に出会ったことがなかったんでしょうね。ダーズンはすっかり静かになってしまった。
「わたしが天寿を全うしたあとに復活できていたら、よかったのにね。最悪のタイミングで復活しちゃったわね」
「……………………………………」
「あ、そうそう。ついでにもう一つ、アンタ達に『良いこと』を教えてあげるわ」
ずっと隠していたことを、教えてあげましょう。
「ダーズン。アンタは眷族に命じて色々な工作をしていて、わたし達はまんまとソレに引っかかったと思ってるでしょう? 実はソレって、大間違いなのよね」
「どういう、ことだ……?」「どういうこと、だ……?」
「わたし達が眷族だと思っている存在は、守護獣だった。ずっと知らないフリをして動いていただけで、とっくに眷族じゃないって気付いてたのよ」
『明らかに致命傷で、このまま放っておいたら消滅するでしょうね。消えたら鍵が出てくるのかしら――あら?』
『? クリスチアーヌ様……?』
『……………………』
『? クリスチアーヌ様……? 眷族の残骸が、どうかしたのですか……?』
『……………………ちょっと気になることがあっただけです。なんでもありませんよ』
魔王ダーズンへと繋がる鍵は、眷属達が持っている。
それに違和感を覚え始めたのは、ローラッカスの森で眷族その1と言っていた熊を倒した直後のことだった。
眷族なら当然すべては『魔王の力』で――邪な魔力で出来ていて、その手のものは溶けるようにして消滅する。でもあの時はスゥッと――清らかな、あるいは聖なる力を持ったものがする消滅の仕方をしていて、おかしい、と感じたのよね。
『「抽出検査(ちゅうしゅつけんさ)」、発動』
『ギィゴ!?』『今のは……!?』
『この中に入ったものは、わたしが好きなように抽出をできるようになるんです。この場合ですと「あの墨の中から水分だけ取り出す」、といったことができる魔法です』
『抽出、ですか……? ???』
『大したことではないのですが、確かめたいことがあったんですよ』((…………ふ~ん。へぇ))
((まあ1000年の間に何かしらの切っ掛けで混入した可能性があるにはあるけれど、あの状態で居たならその線は99・99999パーセント以上否定される))
だから次の場所で眷族その2(仮名)の相手をした際に『成分を確認できる攻撃』を誘発させて確かめ、『聖なる力』が含まれているのを確認した。
――いわば魔王の分身がする攻撃に、そんな力が入っているはずない――。
そのため『眷属ではなくこの国を護っている存在』だと確信をして、あの書物は何者かによって偽装されているとも確信をしたのよね。
『……森で、熊。海で、イカ。山は、なんなんでしょうね……?』
『…………鳥。不死鳥フェニックス――はこういった世界には存在しませんし、そちらに近い存在かもしれませんね』
『フェニックスに、近い? どうしてそう思われるのですか?』
『なんとなく、そうかな、と思ったんです。正解かはずれ、どっちなのでしょうね?』
ちなみにローズハットス山でそう予想していたのは、この場所に『治癒の速度を速める』などの効能があったから。
その現象はこの土地にいる聖獣? か何かがもたらしてくれているものだと思っていたから、そう言ったのよね。
はい。
以上で、御説明お仕舞。
魔法が存在する世界で生まれて、魔力を持ち魔法を使えること。かつてはリリアン・オールワーという、『伝説の魔法使い』だったこと。
それらを分かりやすいように教えてあげた。
「でん、せつ……」
「ええと、『滅殺闇』、だったかしら? アンタの最強レベルの攻撃は、わたしにとっては下の下レベル。小指一本でも防げるわよ」
「な!? こゆ……」
「この国の本来の人間とアンタ。それ以上の距離が、わたしとアンタの間にあるのよ」
「………………………………」
勇者は魔王に対する特効を持っていたみたいだし、今までちゃんとした自分より強い相手に出会ったことがなかったんでしょうね。ダーズンはすっかり静かになってしまった。
「わたしが天寿を全うしたあとに復活できていたら、よかったのにね。最悪のタイミングで復活しちゃったわね」
「……………………………………」
「あ、そうそう。ついでにもう一つ、アンタ達に『良いこと』を教えてあげるわ」
ずっと隠していたことを、教えてあげましょう。
「ダーズン。アンタは眷族に命じて色々な工作をしていて、わたし達はまんまとソレに引っかかったと思ってるでしょう? 実はソレって、大間違いなのよね」
「どういう、ことだ……?」「どういうこと、だ……?」
「わたし達が眷族だと思っている存在は、守護獣だった。ずっと知らないフリをして動いていただけで、とっくに眷族じゃないって気付いてたのよ」
『明らかに致命傷で、このまま放っておいたら消滅するでしょうね。消えたら鍵が出てくるのかしら――あら?』
『? クリスチアーヌ様……?』
『……………………』
『? クリスチアーヌ様……? 眷族の残骸が、どうかしたのですか……?』
『……………………ちょっと気になることがあっただけです。なんでもありませんよ』
魔王ダーズンへと繋がる鍵は、眷属達が持っている。
それに違和感を覚え始めたのは、ローラッカスの森で眷族その1と言っていた熊を倒した直後のことだった。
眷族なら当然すべては『魔王の力』で――邪な魔力で出来ていて、その手のものは溶けるようにして消滅する。でもあの時はスゥッと――清らかな、あるいは聖なる力を持ったものがする消滅の仕方をしていて、おかしい、と感じたのよね。
『「抽出検査(ちゅうしゅつけんさ)」、発動』
『ギィゴ!?』『今のは……!?』
『この中に入ったものは、わたしが好きなように抽出をできるようになるんです。この場合ですと「あの墨の中から水分だけ取り出す」、といったことができる魔法です』
『抽出、ですか……? ???』
『大したことではないのですが、確かめたいことがあったんですよ』((…………ふ~ん。へぇ))
((まあ1000年の間に何かしらの切っ掛けで混入した可能性があるにはあるけれど、あの状態で居たならその線は99・99999パーセント以上否定される))
だから次の場所で眷族その2(仮名)の相手をした際に『成分を確認できる攻撃』を誘発させて確かめ、『聖なる力』が含まれているのを確認した。
――いわば魔王の分身がする攻撃に、そんな力が入っているはずない――。
そのため『眷属ではなくこの国を護っている存在』だと確信をして、あの書物は何者かによって偽装されているとも確信をしたのよね。
『……森で、熊。海で、イカ。山は、なんなんでしょうね……?』
『…………鳥。不死鳥フェニックス――はこういった世界には存在しませんし、そちらに近い存在かもしれませんね』
『フェニックスに、近い? どうしてそう思われるのですか?』
『なんとなく、そうかな、と思ったんです。正解かはずれ、どっちなのでしょうね?』
ちなみにローズハットス山でそう予想していたのは、この場所に『治癒の速度を速める』などの効能があったから。
その現象はこの土地にいる聖獣? か何かがもたらしてくれているものだと思っていたから、そう言ったのよね。
はい。
以上で、御説明お仕舞。
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