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エピローグその1 その後のマルグリット~トドメの事実~ 俯瞰視点(2)
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「…………は? は……? うそ、でしょ……?」
以前よりも幸せに暮らしている――。そんな言葉とクロードと微笑を聞いて見たマルグリットは、ぽかんと口を開けます。
借金や当主逮捕などによる内部のゴタゴタで、領地も大変なことになってしまう。それは当事者である自分がよく理解していたため、一瞬にして混乱状態に陥ってしまいました。
「そ、そんなはずは、ないわ。だって、できるはずがないんだもの。ラファオール家が関与したとしても、あの状態からの立て直しは不可能で――っ、分かったわ! わたしを騙そうとしているのね!! わたしをっ、わたし達を喜ばせたくないからっ、強がって嘘を吐いているんでしょ! 怒りたいのを我慢してるんでしょ!!」
「いいや、そうじゃないよ。僕が口にしていることは、すべて事実だ」
「それこそ、そうじゃないわ! じゃあ質問してあげるわ。どうやってその状態に持っていったっていうの? さあ早く教えて頂戴よ」
どうせ言えやしない――。戸惑い始めたら、すぐに嗤ってやる――。言い終えたマルグリットは嘲りの準備を始め、
「実は君が連行された直後に僕がハーオット家の借金を全額返済し、同時刻にハーオット家では新当主が誕生していたから。そしてウチの支援を受けて、ティナを中心とした新生ハーオット家が事業を立ち上げたから。そうなっているのさ」
クロードはスラスラと言葉を紡いだため、マルグリットは銅像のように固まってしまいました。
「直後に、返済……? 同時に、新当主……。あ、ありえないわ……」
「普通なら、ね。……マルグリット、忘れたのかい? 僕はずっと、君達の企みに気付いていたんだ。なら当然その企みがもたらす悪影響も把握していて、把握しているのなら対策だって講じられるんだよ」
その日に合わせて必要な額を現金で用意し、長男とは大違いな次男に提案しておく。などなど。
クロードはくだんの『影』などを使い、万全の態勢を整えていたのです。最愛の人が愛するものを護りつつ、忌々しい者達に『トドメ』を刺すために。
「……………………」
「残念だったね、君は――君達は、完敗していたんだよ。……さて、元お義姉様。今の気分を、聞かせてもらえるかな?」
「……………………。…………………………」
嘲笑。自分が行おうとしていた表情を向けられても、マルグリットは微動だにしません。微動だに、できません。
ダメージは6対4ではなく、10対0だった知ったこと。
ここでも手のひらの上だったと知ったこと。
全てに敗北したのだと、悟ったこと。
最後の希望が、木っ端微塵になったと理解したこと。
何の楽しみもなく27年間、この場所で生きていかないといけないのだと理解したこと。
それらによって未曽有のショックを受けてしまい、僅かでさえも反応できない状態となってしまっていたのです。
精神が、半ば崩壊してしまったのです。
「………………。………………………………」
「醜い期待をして、その期待によって更にダメージを受ける。君には相応しい末路だね」
「………………。………………………………」
「そんな人間は何十年経っても改心などしないから、丁度よかったよ。……では失礼するよ、マルグリット。永遠にさようなら」
「………………。………………………………」
彼女にとって『怨敵』が何を喋っても、引き続き一切反応はなし。こうしてマルグリットは――その後レオンスとクリスタも同様の状態となり、愚か者3人は揃って無反応な人間となってしまったのでした。
妹や妹の夫や領民たちではなく自分達が、破滅を迎えてしまったのでした――。
以前よりも幸せに暮らしている――。そんな言葉とクロードと微笑を聞いて見たマルグリットは、ぽかんと口を開けます。
借金や当主逮捕などによる内部のゴタゴタで、領地も大変なことになってしまう。それは当事者である自分がよく理解していたため、一瞬にして混乱状態に陥ってしまいました。
「そ、そんなはずは、ないわ。だって、できるはずがないんだもの。ラファオール家が関与したとしても、あの状態からの立て直しは不可能で――っ、分かったわ! わたしを騙そうとしているのね!! わたしをっ、わたし達を喜ばせたくないからっ、強がって嘘を吐いているんでしょ! 怒りたいのを我慢してるんでしょ!!」
「いいや、そうじゃないよ。僕が口にしていることは、すべて事実だ」
「それこそ、そうじゃないわ! じゃあ質問してあげるわ。どうやってその状態に持っていったっていうの? さあ早く教えて頂戴よ」
どうせ言えやしない――。戸惑い始めたら、すぐに嗤ってやる――。言い終えたマルグリットは嘲りの準備を始め、
「実は君が連行された直後に僕がハーオット家の借金を全額返済し、同時刻にハーオット家では新当主が誕生していたから。そしてウチの支援を受けて、ティナを中心とした新生ハーオット家が事業を立ち上げたから。そうなっているのさ」
クロードはスラスラと言葉を紡いだため、マルグリットは銅像のように固まってしまいました。
「直後に、返済……? 同時に、新当主……。あ、ありえないわ……」
「普通なら、ね。……マルグリット、忘れたのかい? 僕はずっと、君達の企みに気付いていたんだ。なら当然その企みがもたらす悪影響も把握していて、把握しているのなら対策だって講じられるんだよ」
その日に合わせて必要な額を現金で用意し、長男とは大違いな次男に提案しておく。などなど。
クロードはくだんの『影』などを使い、万全の態勢を整えていたのです。最愛の人が愛するものを護りつつ、忌々しい者達に『トドメ』を刺すために。
「……………………」
「残念だったね、君は――君達は、完敗していたんだよ。……さて、元お義姉様。今の気分を、聞かせてもらえるかな?」
「……………………。…………………………」
嘲笑。自分が行おうとしていた表情を向けられても、マルグリットは微動だにしません。微動だに、できません。
ダメージは6対4ではなく、10対0だった知ったこと。
ここでも手のひらの上だったと知ったこと。
全てに敗北したのだと、悟ったこと。
最後の希望が、木っ端微塵になったと理解したこと。
何の楽しみもなく27年間、この場所で生きていかないといけないのだと理解したこと。
それらによって未曽有のショックを受けてしまい、僅かでさえも反応できない状態となってしまっていたのです。
精神が、半ば崩壊してしまったのです。
「………………。………………………………」
「醜い期待をして、その期待によって更にダメージを受ける。君には相応しい末路だね」
「………………。………………………………」
「そんな人間は何十年経っても改心などしないから、丁度よかったよ。……では失礼するよ、マルグリット。永遠にさようなら」
「………………。………………………………」
彼女にとって『怨敵』が何を喋っても、引き続き一切反応はなし。こうしてマルグリットは――その後レオンスとクリスタも同様の状態となり、愚か者3人は揃って無反応な人間となってしまったのでした。
妹や妹の夫や領民たちではなく自分達が、破滅を迎えてしまったのでした――。
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