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第3話 上機嫌のピエールは 俯瞰視点
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「こうして落ち着いて向かい合うのは、久しぶりだね。……あの頃が懐かしいよ」
応接室に通され、一人用ソファーに腰を沈めた直後でした。ピエールは室内をゆっくりと見回し、感嘆の息を吐き出しました。
「ここで始めてちゃんとした挨拶を行って、サンルームや庭でお喋りをしたり。3年間、色々なことをしたよね」
「……はい。そうですね」
「でも僕は、その途中でミスを犯してしまった。君は不動の1番だったのに2番と勘違いをしてしまい、あんな態度を取ってしまった」
突然別れ話を切り出したこと。憂さ晴らしに罵詈雑言を吐いたこと。それらを振り返り、深々と謝罪をしました。
「あの日、許されないことをしてしまった。酷く傷つけてしまった。それは理解しているんだよ」
「………………」
「だからこれから、その償いをさせて欲しい。一緒に色々な時間を過ごして、色々な形でお詫びをさせて欲しいんだよ」
またあの時のように、庭でお喋りをしたり。ミュージカルを観たり。美味しいものを食べたり。絶景を見たり。様々なものを共有して、共感して、できてしまった穴を埋めさせてもらいたいんだ。
そう、ピエールはあの時とは真逆の表情で――冷めたソレではなく温かい顔で、言葉を紡ぎました。
「君が今、他の男と婚約関係にあるのは知っている。ルーシーは、ソイツと一緒の人生が最も幸せだと思っているんだよね?」
「ええ。そう信じております」
「でもね、それは間違いなんだよ。今の僕以上に君を想い、君を幸せにできる人間はいないんだ」
「……………………」
「それは、今すぐには分からないと思う。けどね、それは紛れもない事実なんだよっ! 僕との時間を体験っ、経験してもらえばっ、しっかりと理解してもらえるんだよ!!」
だから、今の男とは別れて欲しい。慰謝料に関する問題などは、僕が全て代わりに対応するから! 絶対に損はさせないから、関係をスッパリと絶って欲しいっ!
ルーシーの瞳を真っすぐ見つめて懇願し、それに合わせてテーブルに力強く書類を載せました。
「僕の気持ちが本物だと証明するために、誓約書を用意した。ここには『もしも裏切るような真似をしたら、ピエール・サテファーズは貴族籍を手放す』とあるんだよ」
「……………………」
「ね? 信じてもらえたよね? …………ルーシー、先の言葉全ての実現を保証します。ですのでどうか、復縁をお願い致します」
そうして彼は素早くルーシーの傍まで移動をし、片膝を付きます。そして昨日も出したリングを――300万以上もする高級リングを差し出し、白い歯を零す。
という動作を、行おうとしていた時でした。
「フィリップ様。そちらのご提案は、俺が代わりに拒否をさせていただきます」
応接室の扉が突然開き、眉目秀麗な銀髪の男性が――現婚約者のベンジャミンが、現れたのでした。
応接室に通され、一人用ソファーに腰を沈めた直後でした。ピエールは室内をゆっくりと見回し、感嘆の息を吐き出しました。
「ここで始めてちゃんとした挨拶を行って、サンルームや庭でお喋りをしたり。3年間、色々なことをしたよね」
「……はい。そうですね」
「でも僕は、その途中でミスを犯してしまった。君は不動の1番だったのに2番と勘違いをしてしまい、あんな態度を取ってしまった」
突然別れ話を切り出したこと。憂さ晴らしに罵詈雑言を吐いたこと。それらを振り返り、深々と謝罪をしました。
「あの日、許されないことをしてしまった。酷く傷つけてしまった。それは理解しているんだよ」
「………………」
「だからこれから、その償いをさせて欲しい。一緒に色々な時間を過ごして、色々な形でお詫びをさせて欲しいんだよ」
またあの時のように、庭でお喋りをしたり。ミュージカルを観たり。美味しいものを食べたり。絶景を見たり。様々なものを共有して、共感して、できてしまった穴を埋めさせてもらいたいんだ。
そう、ピエールはあの時とは真逆の表情で――冷めたソレではなく温かい顔で、言葉を紡ぎました。
「君が今、他の男と婚約関係にあるのは知っている。ルーシーは、ソイツと一緒の人生が最も幸せだと思っているんだよね?」
「ええ。そう信じております」
「でもね、それは間違いなんだよ。今の僕以上に君を想い、君を幸せにできる人間はいないんだ」
「……………………」
「それは、今すぐには分からないと思う。けどね、それは紛れもない事実なんだよっ! 僕との時間を体験っ、経験してもらえばっ、しっかりと理解してもらえるんだよ!!」
だから、今の男とは別れて欲しい。慰謝料に関する問題などは、僕が全て代わりに対応するから! 絶対に損はさせないから、関係をスッパリと絶って欲しいっ!
ルーシーの瞳を真っすぐ見つめて懇願し、それに合わせてテーブルに力強く書類を載せました。
「僕の気持ちが本物だと証明するために、誓約書を用意した。ここには『もしも裏切るような真似をしたら、ピエール・サテファーズは貴族籍を手放す』とあるんだよ」
「……………………」
「ね? 信じてもらえたよね? …………ルーシー、先の言葉全ての実現を保証します。ですのでどうか、復縁をお願い致します」
そうして彼は素早くルーシーの傍まで移動をし、片膝を付きます。そして昨日も出したリングを――300万以上もする高級リングを差し出し、白い歯を零す。
という動作を、行おうとしていた時でした。
「フィリップ様。そちらのご提案は、俺が代わりに拒否をさせていただきます」
応接室の扉が突然開き、眉目秀麗な銀髪の男性が――現婚約者のベンジャミンが、現れたのでした。
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