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7 本のあやかし(5)
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「…………ぅーん。ぅぅーん。ボクはそう感じてはいないんだけど、あのクイーンちゃんが言うのなら無視はできないなあ。クイーンちゃんはどうして、今の話より前の方がいいと思っているんだい? 特に最後に変えたところが最高だと思っててさ、なんであそこがダメなのか教えて教えてよ」
「最後のトラやクロのシーンが本物のままでいいと感じる理由は、2つあります。その1は、このお話は温かいお話だからです」
私は右の指を2本立てて、まずは中指を曲げました。
「道に迷った主人公・ヒロは野良猫達に支えられながら、母親と再会するため前に進んでゆく。その中で怪我をしたり病気になったりはしますが、誰かが誰かを攻撃するシーンはありません」
「そうですね。クイーンの仰る通り、この作品にそのような描写は存在しません」
隣にいたレオンさんが、2回小さめに頷いて同意をしてくれる。
怖いオス猫のクロと出会った時も、歯を剥いて追いかけてくるけど、引っ掻こうとするだけ。このお話ではワザと、そういった場面を作らないようにしているんだよね。
「あやかしさん。『猫の大冒険』は序盤も中盤も、そういう部分を意識して作られていますよね?」
「ああ、うん、そうだね。その通りだよ」
「なので急にそんな戦いが始まってしまうと、違和感があるんです。キャラクターの性格はヘンテコではありませんし、戦いを通して読者に伝えたいことも理解できるんですけど、雰囲気に合わなくなってるんですよ」
例えるなら、恋愛ドラマに刑事ドラマが混ざってるみたい。
急に全く異なるものが入ってくるから、あれ? あれれ? って気持ちになっちゃう。
「だから序盤と中盤が本来の内容のままであるのなら、良い印象を受けるのは本物の方。私は、そう感じました」
「……………………なるほど、ね。じゃあ、最後の理由を教えてよ」
あやかしさんは難しい顔をしたまま、左手の指を2本立てた。
自分の自信作を色々言われるのは嫌だと思うけど、ごめんなさい。これは大事なお仕事だから、言わせてもらいます。
「最後のトラやクロのシーンが本物のままでいいと感じる理由は、2つあります。その1は、このお話は温かいお話だからです」
私は右の指を2本立てて、まずは中指を曲げました。
「道に迷った主人公・ヒロは野良猫達に支えられながら、母親と再会するため前に進んでゆく。その中で怪我をしたり病気になったりはしますが、誰かが誰かを攻撃するシーンはありません」
「そうですね。クイーンの仰る通り、この作品にそのような描写は存在しません」
隣にいたレオンさんが、2回小さめに頷いて同意をしてくれる。
怖いオス猫のクロと出会った時も、歯を剥いて追いかけてくるけど、引っ掻こうとするだけ。このお話ではワザと、そういった場面を作らないようにしているんだよね。
「あやかしさん。『猫の大冒険』は序盤も中盤も、そういう部分を意識して作られていますよね?」
「ああ、うん、そうだね。その通りだよ」
「なので急にそんな戦いが始まってしまうと、違和感があるんです。キャラクターの性格はヘンテコではありませんし、戦いを通して読者に伝えたいことも理解できるんですけど、雰囲気に合わなくなってるんですよ」
例えるなら、恋愛ドラマに刑事ドラマが混ざってるみたい。
急に全く異なるものが入ってくるから、あれ? あれれ? って気持ちになっちゃう。
「だから序盤と中盤が本来の内容のままであるのなら、良い印象を受けるのは本物の方。私は、そう感じました」
「……………………なるほど、ね。じゃあ、最後の理由を教えてよ」
あやかしさんは難しい顔をしたまま、左手の指を2本立てた。
自分の自信作を色々言われるのは嫌だと思うけど、ごめんなさい。これは大事なお仕事だから、言わせてもらいます。
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