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第2話 ステラス・回想~予想外の反応な理由~ ステラス視点(3)
「謝罪と目が覚めたお祝いとして、これから外出をしませんか? 先日、ステラス様にぴったりの場所を見つけていたのですよ」
「私に、ですか……? は、はい、よろしくお願い致します」
ザクター様の、折角のご厚意だったこと。コンクール開催は3日後に迫っていて、しっかりと気持ちを切り替えたかったこと。そういった理由で馬車に乗り込み、しばらく揺られて――私達は1時間半ほどの場所にある、『リベックの森』の中へとやって来ました。
「わぁ……! 空気が澄んでいて、木漏れ日が気持ちいい。ザクター様の仰る通りでした。今の私にはぴったりの、リラックスできる場所です」
「気に入っていただけて何よりです。ですがステラス様、これだけではないのですよ?」
ザクター様の口元が品よく緩み、促されて傍にある切り株に腰を下ろしました。そうして3~4分くらい待っていると――
「「「「「ピピピッ。ピピピ♪」」」」」
「「「「「チチチチチッ♪」」」」」
たくさんの小鳥がやって来て、私達の膝や肩にチョコンと乗ったのです。しかもその子たちは気持ちよさそうに、鳴き始めたのです。
「「「「「ピピピッ。ピピピピッ♪」」」」」
「「「「「チチチチチチチッ♪」」」」」
私は明るい音が好きで、中でも楽しい音と幸せな音が大好き。この子たちの歌声はその両方の性質を含んでいて、聴いていてとても心地が良い。
だから心が透き通っていって、
「「「「「ピピピッ。ピピピッ♪」」」」」
「「「「「チチチチチチチッ♪」」」」」
「♪♪♪♪♪~」
気が付くと私も、一緒に歌っていて。それがあまりにも気持ちよくて、楽しくて。
私はそれから3時間以上も、鳥さん達と過ごしてしまいました。
「「「「「ピピピッ。ピピピッ」」」」」
「「「「「チチチチチッ」」」」」
「うん。鳥さんたち、またね。バイバイ」
陽が傾いてきたので、鳥さん達も私も帰らないといけません。そのため手を振って別れて馬車へと乗り込み、私は改めて正面へと頭を下げました。
「リベックの森はよく知っていましたが、こんな素敵な場所があったなんて知りませんでした。こんなにも楽しい時間を過ごせるとも、思っていませんでした。最高のお祝いをいただいてしまいましたね」
「楽しんでいただけて、僕も幸せですよ。ただ僕には、お礼を100%いただく資格はありません。あの場所を見つけてくれたのは、家の人間ですので」
ザクター様は元々、コンテストの英気を養うための場として――。私が喜びそうな場所を、探してもらっていたそうです。
「僕は条件を提示して頼んだだけですので、そうですね。お礼は、5%ほどいただいておきますね」
「もっと資格はあると思いますが、分かりました。残りは、動いてくださった方々にお伝えくださ――あの、ザクター様。ザクター様のお家は――いえ、なんでもありません」
こういった穴場的なスポットの発見力もそうですが、なにより、あの工作を――筆頭侯爵家が行ったものを、たった1日弱で見破ってしまったこと。それによって『お家』について知りたくなったのですが、ピアノの恩師の言葉を思い出して止めました。
そう、でした。あの時私は先生から、ザクター様について――
「私に、ですか……? は、はい、よろしくお願い致します」
ザクター様の、折角のご厚意だったこと。コンクール開催は3日後に迫っていて、しっかりと気持ちを切り替えたかったこと。そういった理由で馬車に乗り込み、しばらく揺られて――私達は1時間半ほどの場所にある、『リベックの森』の中へとやって来ました。
「わぁ……! 空気が澄んでいて、木漏れ日が気持ちいい。ザクター様の仰る通りでした。今の私にはぴったりの、リラックスできる場所です」
「気に入っていただけて何よりです。ですがステラス様、これだけではないのですよ?」
ザクター様の口元が品よく緩み、促されて傍にある切り株に腰を下ろしました。そうして3~4分くらい待っていると――
「「「「「ピピピッ。ピピピ♪」」」」」
「「「「「チチチチチッ♪」」」」」
たくさんの小鳥がやって来て、私達の膝や肩にチョコンと乗ったのです。しかもその子たちは気持ちよさそうに、鳴き始めたのです。
「「「「「ピピピッ。ピピピピッ♪」」」」」
「「「「「チチチチチチチッ♪」」」」」
私は明るい音が好きで、中でも楽しい音と幸せな音が大好き。この子たちの歌声はその両方の性質を含んでいて、聴いていてとても心地が良い。
だから心が透き通っていって、
「「「「「ピピピッ。ピピピッ♪」」」」」
「「「「「チチチチチチチッ♪」」」」」
「♪♪♪♪♪~」
気が付くと私も、一緒に歌っていて。それがあまりにも気持ちよくて、楽しくて。
私はそれから3時間以上も、鳥さん達と過ごしてしまいました。
「「「「「ピピピッ。ピピピッ」」」」」
「「「「「チチチチチッ」」」」」
「うん。鳥さんたち、またね。バイバイ」
陽が傾いてきたので、鳥さん達も私も帰らないといけません。そのため手を振って別れて馬車へと乗り込み、私は改めて正面へと頭を下げました。
「リベックの森はよく知っていましたが、こんな素敵な場所があったなんて知りませんでした。こんなにも楽しい時間を過ごせるとも、思っていませんでした。最高のお祝いをいただいてしまいましたね」
「楽しんでいただけて、僕も幸せですよ。ただ僕には、お礼を100%いただく資格はありません。あの場所を見つけてくれたのは、家の人間ですので」
ザクター様は元々、コンテストの英気を養うための場として――。私が喜びそうな場所を、探してもらっていたそうです。
「僕は条件を提示して頼んだだけですので、そうですね。お礼は、5%ほどいただいておきますね」
「もっと資格はあると思いますが、分かりました。残りは、動いてくださった方々にお伝えくださ――あの、ザクター様。ザクター様のお家は――いえ、なんでもありません」
こういった穴場的なスポットの発見力もそうですが、なにより、あの工作を――筆頭侯爵家が行ったものを、たった1日弱で見破ってしまったこと。それによって『お家』について知りたくなったのですが、ピアノの恩師の言葉を思い出して止めました。
そう、でした。あの時私は先生から、ザクター様について――
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