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第9話 紹介いたします クラリス視点(3)
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「貴方はかつて大切な人を平然と裏切り、心に傷を負わせた人間。1年半後には再び、平然と傷つけようとした人間なのですからね。しっかりと、お礼をしたいのですよ」
両手両膝をついたまま、唖然となるクレランズ様。そんな彼をセレスタン様は、淡々と見下ろしました。
「ですのでだからこそ、元凶達が大変なことになるからこそ、こうしているのですよ。……クラリス様はあの出来事を掘り返すつもりはなく、僕もその判断に従うつもりでした。けれど2度目が発生してしまったので、動くことにしたのですよ」
あんな人に時間を割くのは勿体ない――。次第にそう感じるようになって、セレスタン様はそんな意を汲んでくださっていました。
でも。わたしが再び許せなくなる状況を作ってしまったから、
『また理不尽なことを言い出したのであれば、どうか僕をお呼びください。あの男に、全てを後悔させますので』
と仰ってくださって、こうして動いてくださっているのです。
「とはいえこれでも、手加減をしているのですよ? 貴方も当主殿も地位を手放す必要はなく、今後もクレランズ伯爵家の一員として生きていけるのですからね。『問題児が傍に居続けることになる』、『問題児を置いておくことで風当たりが強くなる』――。そんな問題が生まれるものの、そこまで悪くはないでしょう?」
「そっ、それらは致命傷でございます……っ! 一切興味がない不釣り合いな女と生涯離れられずっ、世間から白眼視される……っ。耐えられません……!!」
「おや。そうなのですか?」
「はいっっ、そうでございますっ! ですので――」
「では、それらに耐えられるよう努力をしてください。これからは、貴方が――貴方がたが、理不尽を体験する番なのですよ」
血走る瞳に冷笑を返し、パチンと指を鳴らす。そうすると、屈強な男性が2人――セレスタン様の護衛の方々が現れ、クレランズ様は子どものように両脇を抱えられてしまった。
「なっ、何をなさるのですか!? 降ろせ――いっ、いやっ! 降ろしてください!!」
「その様子なら、貴方はいつまでも食い下がる。ですので強制的に退室させ、お屋敷へと帰っていただきます」
「オルヴァス様っ!! お待ちくださいませっ!! 猛省いたしますっ!! これまでの所業は悔い改めます!!」
じたばた、じたばたと。四肢を必死に動かしながら、目を剥く。
「自分が苦しむ立場となって、ようやく痛感致しました!! もう二度とあのような真似は行わないと誓います!! 一生をかけて償うとお約束しますのでっ!! どうかっ、お考え直しを――」
「追い詰められて出る反省の言葉など、なんの効力も持ちませんよ。どうやっても、この意思は変わりはしない。……婚約者を捨ててまで選んだ人なのですから、一生愛し護り続けてくださいね。どうぞお幸せに」
「おっ、お待ちください!! こちらは本心による言葉でして!! 信じてっ、くださいませっ!! オルヴァスさまっ!! オルヴァス様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
喉が裂けんばかりに叫ぶも、返ってくる声はない。そんな彼は護衛の方々によって強制的に移動させられて、ぱたん――。その姿はやがて扉の向こうへと消え、こうして騒がしい時間は終わりを告げたのでした。
両手両膝をついたまま、唖然となるクレランズ様。そんな彼をセレスタン様は、淡々と見下ろしました。
「ですのでだからこそ、元凶達が大変なことになるからこそ、こうしているのですよ。……クラリス様はあの出来事を掘り返すつもりはなく、僕もその判断に従うつもりでした。けれど2度目が発生してしまったので、動くことにしたのですよ」
あんな人に時間を割くのは勿体ない――。次第にそう感じるようになって、セレスタン様はそんな意を汲んでくださっていました。
でも。わたしが再び許せなくなる状況を作ってしまったから、
『また理不尽なことを言い出したのであれば、どうか僕をお呼びください。あの男に、全てを後悔させますので』
と仰ってくださって、こうして動いてくださっているのです。
「とはいえこれでも、手加減をしているのですよ? 貴方も当主殿も地位を手放す必要はなく、今後もクレランズ伯爵家の一員として生きていけるのですからね。『問題児が傍に居続けることになる』、『問題児を置いておくことで風当たりが強くなる』――。そんな問題が生まれるものの、そこまで悪くはないでしょう?」
「そっ、それらは致命傷でございます……っ! 一切興味がない不釣り合いな女と生涯離れられずっ、世間から白眼視される……っ。耐えられません……!!」
「おや。そうなのですか?」
「はいっっ、そうでございますっ! ですので――」
「では、それらに耐えられるよう努力をしてください。これからは、貴方が――貴方がたが、理不尽を体験する番なのですよ」
血走る瞳に冷笑を返し、パチンと指を鳴らす。そうすると、屈強な男性が2人――セレスタン様の護衛の方々が現れ、クレランズ様は子どものように両脇を抱えられてしまった。
「なっ、何をなさるのですか!? 降ろせ――いっ、いやっ! 降ろしてください!!」
「その様子なら、貴方はいつまでも食い下がる。ですので強制的に退室させ、お屋敷へと帰っていただきます」
「オルヴァス様っ!! お待ちくださいませっ!! 猛省いたしますっ!! これまでの所業は悔い改めます!!」
じたばた、じたばたと。四肢を必死に動かしながら、目を剥く。
「自分が苦しむ立場となって、ようやく痛感致しました!! もう二度とあのような真似は行わないと誓います!! 一生をかけて償うとお約束しますのでっ!! どうかっ、お考え直しを――」
「追い詰められて出る反省の言葉など、なんの効力も持ちませんよ。どうやっても、この意思は変わりはしない。……婚約者を捨ててまで選んだ人なのですから、一生愛し護り続けてくださいね。どうぞお幸せに」
「おっ、お待ちください!! こちらは本心による言葉でして!! 信じてっ、くださいませっ!! オルヴァスさまっ!! オルヴァス様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
喉が裂けんばかりに叫ぶも、返ってくる声はない。そんな彼は護衛の方々によって強制的に移動させられて、ぱたん――。その姿はやがて扉の向こうへと消え、こうして騒がしい時間は終わりを告げたのでした。
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