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第10話 その後 クラリスSide クラリス視点
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「セレスタン様。わたしのために怒ってくださり、ありがとうございます」
クレランズ様が強制的に退室させられ、クレランズ家の馬車が走り去った直後のこと。窓から外を眺めていたわたしは向き直り、身体全体と声を使って感謝をお伝えさせていただいた。
大好きな方にああいったことを言っていただけて、行っていただけて、幸せでないはずがありません。そのためわたしの体内は幸福で満ち溢れていて、頬は自然と緩んでしまっています。
「こちらこそ、ありがとうございます。……クラリス様達は進化をされていて、その気になればご自身で解決できていた問題でした。僕の介入を、許可していただけたこと――『お礼』の機会を与えてくださったことに、感謝をさせていただきます」
頭を上げるとわたしが行ったものと同じ動きがあって、嬉しそうに口元を緩めてくださった。
こういったことを、本心で行ってくださる方だから――。際限なく、『大好き』が増えていってしまうのです……っ。
「おかげさまで命令返しを出来て、あちらではこれから色々なことが起きるでしょうね。風に乗って、その噂が耳に入る日が楽しみです」
「? 色々、ですか? ルアール様との同居や世間からの白眼視で苦労をする。これ以外にもあるのですか?」
セレスタン様の口ぶりは、まだ他にもあるように聞こえた。それが全部だと思っていたけれど、違う……?
「彼らなら恐らく、他にもあると思いますよ。そちらは噂が届いてからのお楽しみということにさせていただいて、クラリス様。ようやく静かになりましたので、今度こそティータイムを始めましょう」
「そうですね……っ。紅茶が冷めてしまっていますので、淹れ直しますね」
「いえ、折角淹れてくださったものを飲まないなんて勿体ない。僕を想って用意してくださったものですので、有難くいただきますよ」
また。セレスタン様は『大好き』が急増することを仰られて、だからわたしは両頬が緩んだ状態で2階へと向かう。そうして中断となっていた2人きりの時間が始まって、
「クラリス様、やはりベルガモットは美味しいままですよ。特製のフィナンシェも、本当に美味しい。こんなにも素敵なものを口にできるだなんて、僕は幸せ者ですね」
「……わたしが用意したものを、大好きな方が褒めてくださる。わたしも、幸せ者です」
「次の週は、お互いに余裕がありますし。次回の週末はどこかにお出かけをしませんか?」
「はいっ、是非ご一緒したいです……っ。どちらにしましょうかっ?」
お茶菓子を食べて紅茶を飲みながら、笑い合ったり。スケジュールを相談して、笑い合ったり。
わたし達の間では笑顔の花が沢山咲いて、今日も、幸せな時間を過ごすことができたのでした。
クレランズ様が強制的に退室させられ、クレランズ家の馬車が走り去った直後のこと。窓から外を眺めていたわたしは向き直り、身体全体と声を使って感謝をお伝えさせていただいた。
大好きな方にああいったことを言っていただけて、行っていただけて、幸せでないはずがありません。そのためわたしの体内は幸福で満ち溢れていて、頬は自然と緩んでしまっています。
「こちらこそ、ありがとうございます。……クラリス様達は進化をされていて、その気になればご自身で解決できていた問題でした。僕の介入を、許可していただけたこと――『お礼』の機会を与えてくださったことに、感謝をさせていただきます」
頭を上げるとわたしが行ったものと同じ動きがあって、嬉しそうに口元を緩めてくださった。
こういったことを、本心で行ってくださる方だから――。際限なく、『大好き』が増えていってしまうのです……っ。
「おかげさまで命令返しを出来て、あちらではこれから色々なことが起きるでしょうね。風に乗って、その噂が耳に入る日が楽しみです」
「? 色々、ですか? ルアール様との同居や世間からの白眼視で苦労をする。これ以外にもあるのですか?」
セレスタン様の口ぶりは、まだ他にもあるように聞こえた。それが全部だと思っていたけれど、違う……?
「彼らなら恐らく、他にもあると思いますよ。そちらは噂が届いてからのお楽しみということにさせていただいて、クラリス様。ようやく静かになりましたので、今度こそティータイムを始めましょう」
「そうですね……っ。紅茶が冷めてしまっていますので、淹れ直しますね」
「いえ、折角淹れてくださったものを飲まないなんて勿体ない。僕を想って用意してくださったものですので、有難くいただきますよ」
また。セレスタン様は『大好き』が急増することを仰られて、だからわたしは両頬が緩んだ状態で2階へと向かう。そうして中断となっていた2人きりの時間が始まって、
「クラリス様、やはりベルガモットは美味しいままですよ。特製のフィナンシェも、本当に美味しい。こんなにも素敵なものを口にできるだなんて、僕は幸せ者ですね」
「……わたしが用意したものを、大好きな方が褒めてくださる。わたしも、幸せ者です」
「次の週は、お互いに余裕がありますし。次回の週末はどこかにお出かけをしませんか?」
「はいっ、是非ご一緒したいです……っ。どちらにしましょうかっ?」
お茶菓子を食べて紅茶を飲みながら、笑い合ったり。スケジュールを相談して、笑い合ったり。
わたし達の間では笑顔の花が沢山咲いて、今日も、幸せな時間を過ごすことができたのでした。
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