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9話(3)
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「? どうし、たんだい?」
「ノルベルト様。私に一つ、命令をしてみてください。なんでもいいのでお願いします」
「ぇ。命令を……? 君に……?」
「はい。どうしても、必要なんです。お願いします」
「…………わ、分かったよ……。じゃあ……。そこにある椅子に、腰を下ろしてくれ」
殿下は恐る恐る木製のチェアを指さし、私は――。
人差し指を交差させて、×印こと『従いませんよ』のポーズを取りました。
やっぱり、そうです。私は、ノルベルト様に操られてはいません。
「さっき謝罪をされた際に『殿下に非はありません。本当は、お気になさらなくてもいいのですが……』と感じつつお返事をしていて、気付いたのですよ。私は殿下の言葉を完全に受け入れず、否定している部分もあると」
「そっ、それは……。副会長について勘違いした時のように、僕が植え付けてしまった好意があるが故……。無意識的に僕を案じているだけじゃ……」
「私もすぐそう思いましたが、違和感を覚えて――それが原因ではないような気がして、色々と考えてたんです。そうしたら、思い出したのですよ。私は貴方と同じで、一目惚れで恋をした事を」
入学式で偶々隣同士になって、目が合った瞬間。私がご挨拶を行う前。
ノルベルト様が『シャルロッテ・ユネミスさん。これからよろしくお願い致します』と仰る前に、恋心を抱いていたのです。
「ノルベルト様。私に一つ、命令をしてみてください。なんでもいいのでお願いします」
「ぇ。命令を……? 君に……?」
「はい。どうしても、必要なんです。お願いします」
「…………わ、分かったよ……。じゃあ……。そこにある椅子に、腰を下ろしてくれ」
殿下は恐る恐る木製のチェアを指さし、私は――。
人差し指を交差させて、×印こと『従いませんよ』のポーズを取りました。
やっぱり、そうです。私は、ノルベルト様に操られてはいません。
「さっき謝罪をされた際に『殿下に非はありません。本当は、お気になさらなくてもいいのですが……』と感じつつお返事をしていて、気付いたのですよ。私は殿下の言葉を完全に受け入れず、否定している部分もあると」
「そっ、それは……。副会長について勘違いした時のように、僕が植え付けてしまった好意があるが故……。無意識的に僕を案じているだけじゃ……」
「私もすぐそう思いましたが、違和感を覚えて――それが原因ではないような気がして、色々と考えてたんです。そうしたら、思い出したのですよ。私は貴方と同じで、一目惚れで恋をした事を」
入学式で偶々隣同士になって、目が合った瞬間。私がご挨拶を行う前。
ノルベルト様が『シャルロッテ・ユネミスさん。これからよろしくお願い致します』と仰る前に、恋心を抱いていたのです。
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