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9話(4)
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「とはいえ仰る通り、魅了によって愛が増幅していた可能性もありました。ですので確証を得るために命令をお願いし、ああして拒絶をしたのです。私は間違いなく、貴方に操られてはいないのですよ」
「…………君は――シャルロッテは、自分の意思で僕を愛してくれていた……。今の君は、僕が捻じ曲げてしまった君では、ない……」
「そう、ですね。告白を喜んでお受けしたのも婚約を喜んでお受けしたのも、全て私の意思。私が考え判断した事です」
どこにも、他者の介入はありません。自分が心からそうしたいと願い、選んだ道です。
「そっ、か。そう、だったんだね……。だけど、どうしてなんだ……? なぜシャルロッテは、名前を呼んでも魅了されないんだ……?」
「その理由は、婚約破棄の動機にしていたものにあると思います。私は生後2か月で捨てられていた養女で、シャルロッテ・ユネミスは本当の名前ではないのですよ」
この名前は、今のお父様とお母様がつけてくださったもの。恐らくですが――。魅了は最初につけられた名前にのみ作用する性質があるため、私には意味がなかったのでしょう。
「塞翁が馬。人生どこで何がどう影響するか、分からないものですね」
全てをご説明した私は改めて殿下の両手を取り、まずはイタズラっぽくウィンクをしてみます。そしてそのあとは飽和状態になっているお目目を真っすぐ見つめ、微笑みました。
「ノルベルト様、もう迷い苦しむことはありません。今日までお疲れ様でした」
「……何もかも、僕が撒いた種なのだけれど……。うん……っ。ありがとう……っ。ありがとう……っ。シャルロッテ……っ。シャルロッテ……っっ。シャルロッテ……っっっ」
飽和状態だった瞳から大粒の雫が零れ落ちるようになり、その後何度も何度も私の名前を繰り返します。
殿下。お独りで、大変でしたよね。これからは再び私がお傍にいますから、遠慮なく頼ってくださいね。
「…………君は――シャルロッテは、自分の意思で僕を愛してくれていた……。今の君は、僕が捻じ曲げてしまった君では、ない……」
「そう、ですね。告白を喜んでお受けしたのも婚約を喜んでお受けしたのも、全て私の意思。私が考え判断した事です」
どこにも、他者の介入はありません。自分が心からそうしたいと願い、選んだ道です。
「そっ、か。そう、だったんだね……。だけど、どうしてなんだ……? なぜシャルロッテは、名前を呼んでも魅了されないんだ……?」
「その理由は、婚約破棄の動機にしていたものにあると思います。私は生後2か月で捨てられていた養女で、シャルロッテ・ユネミスは本当の名前ではないのですよ」
この名前は、今のお父様とお母様がつけてくださったもの。恐らくですが――。魅了は最初につけられた名前にのみ作用する性質があるため、私には意味がなかったのでしょう。
「塞翁が馬。人生どこで何がどう影響するか、分からないものですね」
全てをご説明した私は改めて殿下の両手を取り、まずはイタズラっぽくウィンクをしてみます。そしてそのあとは飽和状態になっているお目目を真っすぐ見つめ、微笑みました。
「ノルベルト様、もう迷い苦しむことはありません。今日までお疲れ様でした」
「……何もかも、僕が撒いた種なのだけれど……。うん……っ。ありがとう……っ。ありがとう……っ。シャルロッテ……っ。シャルロッテ……っっ。シャルロッテ……っっっ」
飽和状態だった瞳から大粒の雫が零れ落ちるようになり、その後何度も何度も私の名前を繰り返します。
殿下。お独りで、大変でしたよね。これからは再び私がお傍にいますから、遠慮なく頼ってくださいね。
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