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第10話 今日はどちらの悲願の日? アルチュール視点(1)
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「…………な……。な…………!?」
「うふふ。自分だけ記憶が蘇ったと思っていたんでしょう? 残念でした。大ハズレよ」
「………………い、いつからだ……。いつから、蘇っていたんだ……!」
「アンタの記憶が蘇る、ほんの少し前よ」
4人で会った時のワインでの乾杯……。
あの時にこいつも、記憶が覚醒していた……。
「前世の時とは違って、現世では本当にアンタに特別な何かを感じたのよ。記憶が蘇るまでは『運命の赤い糸』の影響なのだと思っていたけれど、それは違った。わたくし達の間にある、『復讐の黒い糸』がそうさせていたみたいね」
「……………………」
「ねえ、ブリュノ。わたくしはねえ、アンタのせいで人生が一変してしまったの。最悪な人生になってしまったのよ……!」
知らな、かった。ミレーユはあのあとファトート家を追放され、路頭に迷い、疫病にかかって野垂れ死ぬという最期を迎えていた……。
「……………………」
「あの時アンタが『もう一杯』って勧めてこなければ、あんなことにはならなかった。なにもかも、アンタのせいよ……!!」
「……………………ふっ、ふざけるな!! なにがアンタのせいだ!! 全部お前のせいだろうが!!」
コイツがウチの金を目当てに近づいて来たからっ、一緒にワインを飲むことになったんだっ!
コイツが『きっとブリュノ様と一緒に飲んでいるから、こんなにも美味しく感じるんですね』などなど言うからっ、もう一杯という流れになったんだ!
なにもかも自業自得だ!!
「違う……! 違う……!! そもそもねえっ、アンタがわたくしに興味を持たなかったら始まってないのよ!! 婚約者がいるのに近づいて来たアンタのせいなのよ!!」
「お前が応じなければ始まってないんだよ!! よくもまあ――もういい。余興は終わりだ」
激しい動揺により忘れてしまっていたが、すでにメインディッシュは目の前に運ばれてきている。
これ以上こんなクソと話す価値はない。さっさと終わらせ、復讐を完遂させる。
「…………なによ。なんなのよっ! その得意顔は……!!」
「………………ヴィルジニー、いやミレーユ。お前はひとつ、気付いていないことがあるんだよなぁ」
その言葉を合図に、仲間達は動き出す。
今お前が座っている場所は、馬の進路だ。
立っている俺と違って、急に動き出すことはできず――
「終わりだ、憐れに逝くがいい」
「なっ!? きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――って、なると思った?」
――…………。
「どう、なってるんだ……?」
なんで。なんで――
なにも、起きない!?
「うふふ。自分だけ記憶が蘇ったと思っていたんでしょう? 残念でした。大ハズレよ」
「………………い、いつからだ……。いつから、蘇っていたんだ……!」
「アンタの記憶が蘇る、ほんの少し前よ」
4人で会った時のワインでの乾杯……。
あの時にこいつも、記憶が覚醒していた……。
「前世の時とは違って、現世では本当にアンタに特別な何かを感じたのよ。記憶が蘇るまでは『運命の赤い糸』の影響なのだと思っていたけれど、それは違った。わたくし達の間にある、『復讐の黒い糸』がそうさせていたみたいね」
「……………………」
「ねえ、ブリュノ。わたくしはねえ、アンタのせいで人生が一変してしまったの。最悪な人生になってしまったのよ……!」
知らな、かった。ミレーユはあのあとファトート家を追放され、路頭に迷い、疫病にかかって野垂れ死ぬという最期を迎えていた……。
「……………………」
「あの時アンタが『もう一杯』って勧めてこなければ、あんなことにはならなかった。なにもかも、アンタのせいよ……!!」
「……………………ふっ、ふざけるな!! なにがアンタのせいだ!! 全部お前のせいだろうが!!」
コイツがウチの金を目当てに近づいて来たからっ、一緒にワインを飲むことになったんだっ!
コイツが『きっとブリュノ様と一緒に飲んでいるから、こんなにも美味しく感じるんですね』などなど言うからっ、もう一杯という流れになったんだ!
なにもかも自業自得だ!!
「違う……! 違う……!! そもそもねえっ、アンタがわたくしに興味を持たなかったら始まってないのよ!! 婚約者がいるのに近づいて来たアンタのせいなのよ!!」
「お前が応じなければ始まってないんだよ!! よくもまあ――もういい。余興は終わりだ」
激しい動揺により忘れてしまっていたが、すでにメインディッシュは目の前に運ばれてきている。
これ以上こんなクソと話す価値はない。さっさと終わらせ、復讐を完遂させる。
「…………なによ。なんなのよっ! その得意顔は……!!」
「………………ヴィルジニー、いやミレーユ。お前はひとつ、気付いていないことがあるんだよなぁ」
その言葉を合図に、仲間達は動き出す。
今お前が座っている場所は、馬の進路だ。
立っている俺と違って、急に動き出すことはできず――
「終わりだ、憐れに逝くがいい」
「なっ!? きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――って、なると思った?」
――…………。
「どう、なってるんだ……?」
なんで。なんで――
なにも、起きない!?
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