愛の力があれば何でもできる、11年前にそう言っていましたよね?

柚木ゆず

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第7話 追い出された結果 俯瞰視点(2)

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「ぁ、ぁぁ……」
「ぁぁぁ……」

 突如現れた2人組の男性を見るや、テランスとヴェロニクは喧嘩を止めて震え上がってしまいました。
 あんなにも感情的になっていた2人を一瞬で大人しくさせてしまった2人組。彼らは2人が借金をしている、一癖も二癖もある危険な人間です。

「ど、どうして……。ここ、が……」
「ここにいると……。分かった、の……」
「オレらは善意で金を貸してるんじゃないんだぞ? 返済できる気配がまったくない、そんなヤツらはマークするに決まってんだろ?」
「隣国に行ってそのまま逃げられちまったら、さすがの俺達でも捕まえられなくなる可能性が高いからなぁ。そうならないように、見張ってんだよ。ず~っとな」

 テランスとヴェロニクが暮らしている家。2人は気付いていませんでしたが、その周りには常に複数の目があったのです。

「「………………」」
「んで、だ。最低でも10パーセント分を返済しないといけない期限を、一時間ちょい前に過ぎてるんだわ」
「過ぎた場合は問答無用で、俺らが指定した場所で働いて金を用意してもらう、そんな約束になっていたよなぁ?」
「「………………」」

 どちらも一言も発しませんが、それは事実。契約書の1枚目・・・に、記されていました。

「大サービスで今払えるのなら、延滞は目を瞑ってやる。実家に泣きついたんだから、用意できてるんだよな?」
「……で、できて、いない。で、でももう少ししたらきっとっ、別の形で用意できると思うんだ! 待ってく――」
「これ以上の延期は認めない、そう言ったはずだ。もう待たねえよ」
「ちがっ! 私達は今度こそ――」
「今度なんてねえって言ってるんだろ。待たねぇんだよ」

 手錠と猿轡(さるぐつわ)。男達は拘束具を取り出し、ゆっくりと2人に近づき始めました。

「そっ、それで拘束するつもりか……!? 拘束は罪だぞ!!」
「そっ、そうよ!! 犯罪よ!! 治安局に知れたら捕まるわよ!!」
「オレらとお前らは、同意のもと契約を交わしている。契約書にああ書いてあるんだから、捕まるわけないだろうがよ」
「むしろ問題視されるのは、お前らの方なんだよなぁ」

 利息は法外であるものの、それに納得した上で自ら契約書にサインをしている。その事実がある限り、非はテランスとヴェロニクにあるようになります。

「俺らは約束を守ってもらおうとしていて、それなのに逃げようとされているから、仕方なく捕まえようとしているだけなんだわ」
「手錠もコイツも、できるなら使いたくなかった。使わないといけなくなっちまったんだよ。……さあ、鬼ごっこはお仕舞だ。大人しくつかまんな」
((ここで捕まったら、どんな目に遭うか、分からない……))((こいつたちに捕まってしまったら、何をされるか分からない……))
 だから。
「「うああああああああああああああああああああああああああああ!!」」
「「!? まっ、待ちやがれ!!」

 テランスとヴェロニクは、大声を起爆剤としてその場から逃げ出したのでした。


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