愛の力があれば何でもできる、11年前にそう言っていましたよね?

柚木ゆず

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第7話 追い出された結果 俯瞰視点(3)

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「おいっ!! 待て!!」
「止まれ!! 止まりやがれぇっ!!」
((止まれと言われてっ、止まるやつはいない!!))
((さようなら! 永遠に!!))

 返済する力はない。掴まったら恐らく大変な日々が待っている。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
 テランスとヴェロニクは死に物狂いで地面を蹴り続け、2人と2人の距離は段々と離れていきます。

「待て!! まてえええええええええ!!」
「とまれえええええええええええええええ!!」
「はあ! はあ! はあ! はあ! はあ!」((とまるなっ! はしれっ! はしれ!! 走れっ、俺!!))
「はあ! はあ! はあ! はあ! はあ!」((停まったら地獄よ!? いいの!? 踏ん張りなさいっ、わたし!!))

 火事場の力によって順調に離れていっているものの、2人は日頃ロクに運動をしていないためスタミナは非常に少ない。激しく動く喉や張り裂けそうになっている心臓、重くなってきている腕と脚に鞭を打ち、夜のとばりの下をひた走ります。

「ま…………! …………て……!! ……………………て……!!」
「お…………! …………お……!! ……………………い……!!」
((ここまで声が遠くなった!! いける!! 逃げ切れるぞ!!))
((もう声が殆ど聞こえなくなった!! 大丈夫!! 逃げ切れるわ!!))

 聞こえてくる声量の大きさによって気力が増し、その影響もあって走るスピードが加速。ますます彼我の距離が開き始めるようになった――のですが、結果としてソレは2人に損をさせることとなりました。

「はぁ、はぁ、はぁ……」((ま、マズイ……!?))
「はぁ、はぁ、はぁ……」((無理、しす、ぎた……!?))

 元気が出てスピードを上げたことで肉体への負担がより大きくなり、ついに脚にガタが来てしまったのです。

((だ、駄目だ……。走らないと、いけないのに……))
((走り、たいのに……。む、無理……))

 これまでのように身体に鞭を打ちましたが、意味はなし。自分と意思とは関係なく膝が折れ曲がり、ついに2人は転ぶように地面に倒れ込んでしまったのでした。

「はあ、はあ、はあ、はあ……!」((止まったら……! 追いつかれる……!!))
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」((動いてええ! 動いてよぉぉぉぉぉ!!))

 いくら心の中で叫んでも回復してくれず、10秒、20秒、30秒と、何もできない時間が淡々と増えていきます。

「はあ、はあ、はあ、はあ……!!」((なんとかしないと……!! 早く、何とかしないと……!! だっ、だれかぁあああああ!!))
「はあ、はあ、はあ、はあ……!!」((どうすればいいの……!? だっ、だれれぁああっっ! 誰かたすけてええええええええええええええ――……。え……?))

 もはや喋る力すら残っておらず、心の中で悲鳴をあげて助けを求めていた、その時でした。不意に目の前に馬車が停まり、ふくよかな男性が降りてきたのでした。


「だっ、大丈夫ですか!? いったいどうされたのですか!?」
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