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第8話 1か月後 俯瞰視点(2)
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「……どう…………なってるんだ……?」
「なんで…………コイツらが、ここに、いるの……?」
トゥーサンと借金取りは面識がないと言っていたし、うっかり目撃もされていない。2人が現れる理由がなく、テランスとヴェロニクは震えながら目を見開きました。
「街に出かけている際に、偶然お二人に声をかけられたのですよ。だから――」
「俺達を売ったのか!?」「私達の売ったの!?」
「売った? なにを言っているですか。聞きましたよ。貴方達は書類を交わした上で借金をしていたのですね?」
大声で声を遮った2人に対し、鋭い視線が返ってきました。
「知人との起業も持ち逃げも、連帯保証人も全部嘘。借金をしたのは自分達で、支払えなくなったから逃げていただけじゃないですか」
「もっ、もとはといえばアイツらが悪いんだ!! 法外な利息を設けているんだから!!」
「おかしすぎるのよ!! 一番悪いのは法外なことをしたっ、あっちよ!!」
「それはそうかもしれませんが、貴方達はそれを承知の上でサインをしたのでしょう? ならば悪いのは貴方たちですよ」
怒りと呆れが半分半分で首を振り、「どうぞ」と後方に告げる。そうすればテランス達が見えない場所にいた5人の人相の悪い男達が現れ、テランスとヴェロニクを拘束しました。
「だっ、誰だコイツらは!?」「っ、誰!?」
「コイツらは、オレらの部下だ。お前らを捕まえるために、わざわざ連れて来たんだよ。ここまでな」
「逃げられたあと隣国で被害届を出していて、お前らにアレをさせるには一旦治安局に突き出さないといけねぇんだわ」
「アレ……!?」
「アレって、なによ……!?」
「忘れたのか? 契約書の2枚目――ほら、ここに書いてあるやつだ」
2枚目の上から12段目から15段目。そこには、
返済の踏み倒しを試みた場合は、人として扱わないものとする。
そういった内容が記されていました。
「なっ! こんなの知らないぞ!!」「知らないわ!!」
「金が必要で必死になってて、ちゃんと見なかったんじゃないのか?」
「オレらは何も弄っちゃいないぞ。そんなことしたら、この契約書は効力がなくなっちまうからなぁ」
2人の主張は、真実。当時テランス達は迅速に金を用意する必要があり、契約書を提示された際に意図的に急かされていたことも加わり、見落としてしまっていたのです。
「しっ、知らない! 無効だ!! 無効だ!!」「無効っ、無効よ!!」
「こいつは第三者が同席している席でお互いの意思によって結ばれた、正式な書類だ。いくら喚いてもなかったことにはできねえよ」
「ふざけるな! 人として扱わない!? そんなの許されるか!」
「そうよ!! 治安局に知られたらそっちが捕まるわ!!」
「いんや、そうはならねえよ。お前らも元貴族様なら、知ってんだろぉ? 金さえあれば、抜け道を作れるんだよ」
治安局員への賄賂。今回のように実際に被害届を出すなど踏まないといけない手順はいくつかあるものの、局内の目を誤魔化せる要素を満たしてしまえば、上手い具合に処理をしてもらえることになっているのです。
「ひっ、卑怯だぞ!! そんな真似が許されると――っ、そうだ! トゥーサンさんっ、今の聞きましたよね!?」
「賄賂ですよ!! 違法ですよ!! 踏み倒しよりもっと悪いことがありました!! 私達の代わりに告発してください!!」
真実の露見により今は敵になっているものの、さっきまでは味方だった人。2人はトゥーサンに助けを求め――
「? なんのお話ですか? 私はなにも聞いておりませんよ?」
――そんなトゥーサンは、ニヤニヤとしながら首を傾げたのでした。
「なんで…………コイツらが、ここに、いるの……?」
トゥーサンと借金取りは面識がないと言っていたし、うっかり目撃もされていない。2人が現れる理由がなく、テランスとヴェロニクは震えながら目を見開きました。
「街に出かけている際に、偶然お二人に声をかけられたのですよ。だから――」
「俺達を売ったのか!?」「私達の売ったの!?」
「売った? なにを言っているですか。聞きましたよ。貴方達は書類を交わした上で借金をしていたのですね?」
大声で声を遮った2人に対し、鋭い視線が返ってきました。
「知人との起業も持ち逃げも、連帯保証人も全部嘘。借金をしたのは自分達で、支払えなくなったから逃げていただけじゃないですか」
「もっ、もとはといえばアイツらが悪いんだ!! 法外な利息を設けているんだから!!」
「おかしすぎるのよ!! 一番悪いのは法外なことをしたっ、あっちよ!!」
「それはそうかもしれませんが、貴方達はそれを承知の上でサインをしたのでしょう? ならば悪いのは貴方たちですよ」
怒りと呆れが半分半分で首を振り、「どうぞ」と後方に告げる。そうすればテランス達が見えない場所にいた5人の人相の悪い男達が現れ、テランスとヴェロニクを拘束しました。
「だっ、誰だコイツらは!?」「っ、誰!?」
「コイツらは、オレらの部下だ。お前らを捕まえるために、わざわざ連れて来たんだよ。ここまでな」
「逃げられたあと隣国で被害届を出していて、お前らにアレをさせるには一旦治安局に突き出さないといけねぇんだわ」
「アレ……!?」
「アレって、なによ……!?」
「忘れたのか? 契約書の2枚目――ほら、ここに書いてあるやつだ」
2枚目の上から12段目から15段目。そこには、
返済の踏み倒しを試みた場合は、人として扱わないものとする。
そういった内容が記されていました。
「なっ! こんなの知らないぞ!!」「知らないわ!!」
「金が必要で必死になってて、ちゃんと見なかったんじゃないのか?」
「オレらは何も弄っちゃいないぞ。そんなことしたら、この契約書は効力がなくなっちまうからなぁ」
2人の主張は、真実。当時テランス達は迅速に金を用意する必要があり、契約書を提示された際に意図的に急かされていたことも加わり、見落としてしまっていたのです。
「しっ、知らない! 無効だ!! 無効だ!!」「無効っ、無効よ!!」
「こいつは第三者が同席している席でお互いの意思によって結ばれた、正式な書類だ。いくら喚いてもなかったことにはできねえよ」
「ふざけるな! 人として扱わない!? そんなの許されるか!」
「そうよ!! 治安局に知られたらそっちが捕まるわ!!」
「いんや、そうはならねえよ。お前らも元貴族様なら、知ってんだろぉ? 金さえあれば、抜け道を作れるんだよ」
治安局員への賄賂。今回のように実際に被害届を出すなど踏まないといけない手順はいくつかあるものの、局内の目を誤魔化せる要素を満たしてしまえば、上手い具合に処理をしてもらえることになっているのです。
「ひっ、卑怯だぞ!! そんな真似が許されると――っ、そうだ! トゥーサンさんっ、今の聞きましたよね!?」
「賄賂ですよ!! 違法ですよ!! 踏み倒しよりもっと悪いことがありました!! 私達の代わりに告発してください!!」
真実の露見により今は敵になっているものの、さっきまでは味方だった人。2人はトゥーサンに助けを求め――
「? なんのお話ですか? 私はなにも聞いておりませんよ?」
――そんなトゥーサンは、ニヤニヤとしながら首を傾げたのでした。
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