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第9話 すべての裏側 俯瞰視点
しおりを挟む「まてえええええええええええええええ!! まちやがれえええええええええええええええええ――ジルズ、このくらいでいいか」
「そうだな、ローベル。もう充分だろなぁ」
テランスとヴェロニクが必死になって逃走していた頃。その遥か後方では、追いかけていたはずの借金取り2人が突然足を止めました。
「借金の返済をしようとしている俺達の姿と、踏み倒すために逃げ出したアイツらの姿。現地の治安局員に、両方見せられたんだ。あとはアイツらが上手くやってくれるだろうぜぇ」
テランス達の前に現れた2人の目的は、捕縛ではありませんでした。彼らの真の狙いは『違法な行為をしていないか確認してください』と要請をしてこっそり監視をさせていた、この国の局員たちに――完全なる第三者に、一部始終を見せることにありました。
「この国の治安局員の証言が、頼もしい武器になってくれるだろうさ。……これで、準備は殆ど整った。あとは一か月後に、アイツらを捕まえにいくだけだ」
「やっと、ピリオドか。今日まで長かったぜ」
お金を貸してほしいと元貴族の男女が訪ねて来た時、ジルズとローベルはテランス達を見て『コイツらはうまく行かない』と経験則から判断。2人を使って大金を――貸した額の何倍もの金を得るため、策を講じることにしたのでした。
その1。ああいった条件で金を貸し、返済できなくなるまで待つ。
その2。返済できなくなった2人は誰かを頼るものの明らかに脛に傷があって、誰も手を差し伸べない。あとをつけてその場に現れ、拘束具や言葉で誘導して逃走させる。
その3。逃走期間が長ければ長いほど買収した局員が工作しやすくなるため、完璧に行える1か月後に捕まえに行く。
テランスとヴェロニクの知らないところで、そういった計画が出来上がっていたのです。
「ところであの男は、上手くやれんのか? 連れて来てた治安局員が――仲間じゃない方のヤツが増員を要請するって言ってやがってて、アイツらに捕まったら面倒になっちまうぞ?」
「あ~、ガチだと思って捕まえる気満々だったな。だがまぁ、大丈夫だろ。任せろと言ったら安心して任せられる男だからな、トゥーサンは」
『だっ、大丈夫ですか!? いったいどうされたのですか!?』
『ですので、他人事とは思えない。まるで昔の私を見ているようでして。微力ながら手を差し伸べさせてもらいたいと、思っております』
あの出会いから始まった出来事は、すべてが偶然ではなく必然によるもの。トゥーサンはローベルの旧友で、テランスとヴェロニクを――貴重な商品が野盗などに襲われて死なないようにするために、安全な場所で保管しておく役目を担っていたのです。
『こんなことがあるだなんて……! 貴方様は命の恩人です……!!』
『このご恩、忘れません……!!』
故にあのように泣いて喜んでいた2人に、平穏なんて訪れるはずがありません。
調子に乗ってゆったり過ごしている間にも、知らないところで着々と最後の詰めが進行していて――
「よお。久し振りだな」
「会いたかったぜぇ?」
ついに今日、その時が訪れてしまったのでした。
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