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第15話 うまくいった! マーティン視点(1)
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我ながら完璧な、一切の無駄がなく隙もない1分間だった。
「イヤリングが落ちていた……? そんなことがあり得るのか……?」
まずは――。セリアが近づき始めたタイミングで、俺は眉根を寄せ始める。
「……控え室には何人もの人間がいて、去る際には細かくチェックをするはず。そんなことがはあり得ないはずだ……」
「そもそも……。どうしてコイツは、左側から来た……? あとを追いかけてきたなら、関係者用の出入り口から現れるはずだ……」
訝しみ始めた俺は推理を展開してゆき、誰よりも早く真実を見抜く。
「ステラっ! そいつはスタッフじゃない!! 外部のっ、無関係な人間っ!! 何か企んでいる!!」
「チィッ、邪魔をしないでよ!! でも遅いっ! ここまで近づけたら問題ないわぁぁあああああああああああああああ!!」
それを合図にしてセリアはナイフを抜きながら地面を強く蹴り、ステラへと飛び掛かる。今度は俺がそれを合図にして――
「すてらぁああああああああああああああああああああああああああああ!!」
最高のタイミングでステラの前に割って入り、
「ぐ!! おっ、お前の好きにはさせないぞ!!」
そうした俺は左腕を切られながらも果敢に動き、見事暴漢を取り押された。
こんな状況下でこの場で唯一、的確かつ果敢に動いて守り切ったのだ。
「なっ、なんだ!? 今の大声はなんだったんだ――っ!? マーティン様!? これはいったいっ!?」
「この女が…………恐らくは、嫉妬なのだろう。ステラに襲い掛かり、俺が取り押さえたのさ」
意図せずファインプレイを見せていた――都合よくこの場から離れていたレンダユス卿やヴィクター達がやって来て、俺は彼らに苦笑いを浮かべながら説明を行う。そうして『偉業』を知らしめた俺は駆け付けた警備員に身柄を引き渡し、襲撃作戦は大成功で幕を閉じたのだった。
((くくく。くくくくっ。これでステラの心は掴めたな))
ヤツはセリアが本気で襲い掛かって来たと信じていて、俺は命の恩人。そんな人を見直さないはずがないのだからな。
再びこれまでのように会話をできるようになり、捏造疑惑は時間があっという間に解決してくれる!
「マーティン様……。お怪我は…………いかがでございますか……?」
「大丈夫だ、レンダユス卿。あとで数針縫えば治る、大したことのないものだ」
応急処置を施した俺は紳士的な振る舞いを見せ、ここでもう一押し。ただただこちらを見つめていた――事件のショックで呆然となっているステラに、優しく微笑みかけた。
「ステラ、君を守れてよかったよ。君が無事で、幸せだ」
自身が負傷しているにもかかわらず、心配をしてくれる。こいつで心に響かないわけがない。
なのでステラは「マーティン様」と、ようやく言葉を喋って――
「残念ですが、何をしても無駄ですよ。全ては狂言でお芝居だと、とうに気付いておりますので」
――な!? な……!?
「イヤリングが落ちていた……? そんなことがあり得るのか……?」
まずは――。セリアが近づき始めたタイミングで、俺は眉根を寄せ始める。
「……控え室には何人もの人間がいて、去る際には細かくチェックをするはず。そんなことがはあり得ないはずだ……」
「そもそも……。どうしてコイツは、左側から来た……? あとを追いかけてきたなら、関係者用の出入り口から現れるはずだ……」
訝しみ始めた俺は推理を展開してゆき、誰よりも早く真実を見抜く。
「ステラっ! そいつはスタッフじゃない!! 外部のっ、無関係な人間っ!! 何か企んでいる!!」
「チィッ、邪魔をしないでよ!! でも遅いっ! ここまで近づけたら問題ないわぁぁあああああああああああああああ!!」
それを合図にしてセリアはナイフを抜きながら地面を強く蹴り、ステラへと飛び掛かる。今度は俺がそれを合図にして――
「すてらぁああああああああああああああああああああああああああああ!!」
最高のタイミングでステラの前に割って入り、
「ぐ!! おっ、お前の好きにはさせないぞ!!」
そうした俺は左腕を切られながらも果敢に動き、見事暴漢を取り押された。
こんな状況下でこの場で唯一、的確かつ果敢に動いて守り切ったのだ。
「なっ、なんだ!? 今の大声はなんだったんだ――っ!? マーティン様!? これはいったいっ!?」
「この女が…………恐らくは、嫉妬なのだろう。ステラに襲い掛かり、俺が取り押さえたのさ」
意図せずファインプレイを見せていた――都合よくこの場から離れていたレンダユス卿やヴィクター達がやって来て、俺は彼らに苦笑いを浮かべながら説明を行う。そうして『偉業』を知らしめた俺は駆け付けた警備員に身柄を引き渡し、襲撃作戦は大成功で幕を閉じたのだった。
((くくく。くくくくっ。これでステラの心は掴めたな))
ヤツはセリアが本気で襲い掛かって来たと信じていて、俺は命の恩人。そんな人を見直さないはずがないのだからな。
再びこれまでのように会話をできるようになり、捏造疑惑は時間があっという間に解決してくれる!
「マーティン様……。お怪我は…………いかがでございますか……?」
「大丈夫だ、レンダユス卿。あとで数針縫えば治る、大したことのないものだ」
応急処置を施した俺は紳士的な振る舞いを見せ、ここでもう一押し。ただただこちらを見つめていた――事件のショックで呆然となっているステラに、優しく微笑みかけた。
「ステラ、君を守れてよかったよ。君が無事で、幸せだ」
自身が負傷しているにもかかわらず、心配をしてくれる。こいつで心に響かないわけがない。
なのでステラは「マーティン様」と、ようやく言葉を喋って――
「残念ですが、何をしても無駄ですよ。全ては狂言でお芝居だと、とうに気付いておりますので」
――な!? な……!?
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