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第2話 計画変更 ミリア視点

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「くひひ、あははははは! なんて愚かなのかしらねぇ! わたしの前でそんな話をしてしまうだなんて!」

 ジュリア様はお腹を抱えて笑い、笑いによる涙を零しながらご自身を指差しました。

「現実はもっと辛かった? 呪いの方がずっと良い? そんなことを知ったら呪いを解くに決まっているでしょうっ!? 残念でしたぁっ! 地獄に巻き戻りよぉっ!」
「そ、そんな……! お願いです! 解かないでください! わたくしをこのままにしてくださいっ!」
「い・や。だって元の世界に戻したら、も~っと苦しむお前を見れるんだもの。たとえわたしの足の裏をペロペロ舐めるって懇願してきても、お断りよ」

 絶対に言うことを聞いてあげない――。どう? ショック?――。ねえ、今どんな気持ち?――。
 当ててあげましょうか?――。
 絶望してる!――。
 ぎゃはははははははははははははははは!!――。
 ものすごい速さで捲し立て、ジュリア様は懐から赤色の宝石を取り出しました。

「ここにあるのは呪いの源になってる『媒体』というもので、コレが壊れたら呪いは解けるの。気が付いたら、地獄が待っている元の世界に戻ってるのぉ。ミリアさまぁ、素敵なお時間をお過ごしくださいねぇ」
「ジュリア様! どうかお考え直しを――」
「だ・か・らぁ。考え直すはずがないって、言ってるでしょぉ? お前の未来はもう決まってるの。究極の二択を楽しんで頂戴ねぇ――ああそうそう、念のため教えておいてあげる。道ずれに呪いの件を告発しようとしても無駄よ」

 わたしが使った証拠なんてないから、捕まえようがない。……確かに、そうですね。
 わたくしが治安機関に助けを求めている間に証拠を隠滅したら、どうやっても周りにこの件を理解してもらえません。

「というわけで、わたしの完全大勝利ね。無関係はわたしはのんびり過ごして、どんなニュースが流れてくるのか楽しみにしてるわぁ。頑張ってくださいませぇ、ミリア・ローマック様ぁ」
「まっ、待ってください! 待ってくだ――」
「くふふふ、じゃあね。バイバイ。ミリア様をもとの世界にご案内いたしまぁ~す!」
「あぁっ!!」

 右手にある宝石を壁に思い切り叩きつけ、その勢いでパリンと割れる。その瞬間わたくしの身体から勢いよく、黒い光のようなものが飛び出しました。
 そしてそれと同時に、目の前が真っ白になって――

「ミリアお嬢様!? お姿が見えなくなり心配しておりました! どちらにいらっしゃったのですか!?」

 ――気が付くと、血相を変えた侍女アンリがお部屋に飛び込んできました。


 …………よかった。本当によかった。
 わたくしは無事に、元の世界に戻ってこれました。


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