催眠探偵術師のミク

柚木ゆず

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6 罠(1)

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「あや? 遅かったねー。ではこれから、次の作戦のお話をするねーっ」

 お約束の時間を6分過ぎて、真希ちゃんが来てくれた。
 今は空が曇ってきていて、あとちょっとしたら雨が降り出しそう。みんな濡れちゃうと大変なので、すぐに始めますっ。

「あのね。まずは、夢卯ちゃんにお願いがあって――」
「三久。その前に少しいいかしら」

 ご説明をしようとしていたら、真希ちゃんが大きく手をあげた。

「アタシもね、ちょうど夢卯ちゃんにお願いがあったの。聞いてくれるかしら?」
「絵墨さんにはお世話になっていますから、あたしにできることならさせてもらいます。なんでしょうか?」
「どうもありがとう。アタシはアナタにね、このセリフを読んで欲しいの」

 真希ちゃんはスマートホンを取り出して、わたし達に向けた。
 えっと。これって、ウェブ漫画だね。
 金髪でツリ目な女の子がものすごく怒っていて、傍で頭を下げている男の人に『なんで満足に仕事もできないのよっ!』『この役立たずがっ!』って叫んでる。

「これを、あたしに……? どうして、なんですか……?」
「実はこのシーンが大好きで、ボイス付きで聞いてみたくなったの。アナタの声がこの子にピッタリだと感じていて、だからアナタにやって欲しいと思っているのよ」
「そ、そうなんですか。でもそれって、あとでは駄目なんですか?」
「駄目なの。先にやってもらわないと気分が乗らないの。10秒もあれば終わるし、お願い夢卯ちゃん」
「……わ、分かりました。で、では……。『なんで満足に仕事もできないのよっ! この役立たずがっ!』」

 夢卯ちゃんは戸惑いながらオッケーして、お願いされた部分を音読した。
 ふぇー。夢卯ちゃんってお芝居が上手。声優さんとか女優さんみたい。

「絵墨さん、終わりました。これで、いいんですよね?」
「ええバッチリよ。みんな、お待たせ。作戦の話をし――ごめんなさい、電話がかかって来たわ。後回しに出来ない人からの着信だから、先に話を始めていてちょうだい」

 スマートホンの画面を確認した真希ちゃんは、わたし達に謝りながらスタタタタ。かなり急いで、屋上を出ていきました。
 なのでわたし達は真希ちゃんに言われた通り、お先にお話しを始めて――

                   ◇◇◇
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