31 / 37
6 罠(1)
しおりを挟む
「あや? 遅かったねー。ではこれから、次の作戦のお話をするねーっ」
お約束の時間を6分過ぎて、真希ちゃんが来てくれた。
今は空が曇ってきていて、あとちょっとしたら雨が降り出しそう。みんな濡れちゃうと大変なので、すぐに始めますっ。
「あのね。まずは、夢卯ちゃんにお願いがあって――」
「三久。その前に少しいいかしら」
ご説明をしようとしていたら、真希ちゃんが大きく手をあげた。
「アタシもね、ちょうど夢卯ちゃんにお願いがあったの。聞いてくれるかしら?」
「絵墨さんにはお世話になっていますから、あたしにできることならさせてもらいます。なんでしょうか?」
「どうもありがとう。アタシはアナタにね、このセリフを読んで欲しいの」
真希ちゃんはスマートホンを取り出して、わたし達に向けた。
えっと。これって、ウェブ漫画だね。
金髪でツリ目な女の子がものすごく怒っていて、傍で頭を下げている男の人に『なんで満足に仕事もできないのよっ!』『この役立たずがっ!』って叫んでる。
「これを、あたしに……? どうして、なんですか……?」
「実はこのシーンが大好きで、ボイス付きで聞いてみたくなったの。アナタの声がこの子にピッタリだと感じていて、だからアナタにやって欲しいと思っているのよ」
「そ、そうなんですか。でもそれって、あとでは駄目なんですか?」
「駄目なの。先にやってもらわないと気分が乗らないの。10秒もあれば終わるし、お願い夢卯ちゃん」
「……わ、分かりました。で、では……。『なんで満足に仕事もできないのよっ! この役立たずがっ!』」
夢卯ちゃんは戸惑いながらオッケーして、お願いされた部分を音読した。
ふぇー。夢卯ちゃんってお芝居が上手。声優さんとか女優さんみたい。
「絵墨さん、終わりました。これで、いいんですよね?」
「ええバッチリよ。みんな、お待たせ。作戦の話をし――ごめんなさい、電話がかかって来たわ。後回しに出来ない人からの着信だから、先に話を始めていてちょうだい」
スマートホンの画面を確認した真希ちゃんは、わたし達に謝りながらスタタタタ。かなり急いで、屋上を出ていきました。
なのでわたし達は真希ちゃんに言われた通り、お先にお話しを始めて――
◇◇◇
お約束の時間を6分過ぎて、真希ちゃんが来てくれた。
今は空が曇ってきていて、あとちょっとしたら雨が降り出しそう。みんな濡れちゃうと大変なので、すぐに始めますっ。
「あのね。まずは、夢卯ちゃんにお願いがあって――」
「三久。その前に少しいいかしら」
ご説明をしようとしていたら、真希ちゃんが大きく手をあげた。
「アタシもね、ちょうど夢卯ちゃんにお願いがあったの。聞いてくれるかしら?」
「絵墨さんにはお世話になっていますから、あたしにできることならさせてもらいます。なんでしょうか?」
「どうもありがとう。アタシはアナタにね、このセリフを読んで欲しいの」
真希ちゃんはスマートホンを取り出して、わたし達に向けた。
えっと。これって、ウェブ漫画だね。
金髪でツリ目な女の子がものすごく怒っていて、傍で頭を下げている男の人に『なんで満足に仕事もできないのよっ!』『この役立たずがっ!』って叫んでる。
「これを、あたしに……? どうして、なんですか……?」
「実はこのシーンが大好きで、ボイス付きで聞いてみたくなったの。アナタの声がこの子にピッタリだと感じていて、だからアナタにやって欲しいと思っているのよ」
「そ、そうなんですか。でもそれって、あとでは駄目なんですか?」
「駄目なの。先にやってもらわないと気分が乗らないの。10秒もあれば終わるし、お願い夢卯ちゃん」
「……わ、分かりました。で、では……。『なんで満足に仕事もできないのよっ! この役立たずがっ!』」
夢卯ちゃんは戸惑いながらオッケーして、お願いされた部分を音読した。
ふぇー。夢卯ちゃんってお芝居が上手。声優さんとか女優さんみたい。
「絵墨さん、終わりました。これで、いいんですよね?」
「ええバッチリよ。みんな、お待たせ。作戦の話をし――ごめんなさい、電話がかかって来たわ。後回しに出来ない人からの着信だから、先に話を始めていてちょうだい」
スマートホンの画面を確認した真希ちゃんは、わたし達に謝りながらスタタタタ。かなり急いで、屋上を出ていきました。
なのでわたし達は真希ちゃんに言われた通り、お先にお話しを始めて――
◇◇◇
0
あなたにおすすめの小説
今、この瞬間を走りゆく
佐々森りろ
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞 奨励賞】
皆様読んでくださり、応援、投票ありがとうございました!
小学校五年生の涼暮ミナは、父の知り合いの詩人・松風洋さんの住む東北に夏休みを利用して東京からやってきた。同い年の洋さんの孫のキカと、その友達ハヅキとアオイと仲良くなる。洋さんが初めて書いた物語を読ませてもらったミナは、みんなでその小説の通りに街を巡り、その中でそれぞれが抱いている見えない未来への不安や、過去の悲しみ、現実の自分と向き合っていく。
「時あかり、青嵐が吹いたら、一気に走り出せ」
合言葉を言いながら、もう使われていない古い鉄橋の上を走り抜ける覚悟を決めるが──
ひと夏の冒険ファンタジー
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
瑠璃の姫君と鉄黒の騎士
石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。
そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。
突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。
大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。
記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
【奨励賞】氷の王子は、私のスイーツでしか笑わない――魔法学園と恋のレシピ【完結】
旅する書斎(☆ほしい)
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました】
魔法が学べる学園の「製菓科」で、お菓子づくりに夢中な少女・いちご。周囲からは“落ちこぼれ”扱いだけど、彼女には「食べた人を幸せにする」魔法菓子の力があった。
ある日、彼女は冷たく孤高な“氷の王子”レオンの秘密を知る。彼は誰にも言えない魔力不全に悩んでいた――。
「私のお菓子で、彼を笑顔にしたい!」
不器用だけど優しい彼の心を溶かすため、特別な魔法スイーツ作りが始まる。
甘くて切ない、学園魔法ラブストーリー!
【完結】アシュリンと魔法の絵本
秋月一花
児童書・童話
田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。
地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。
ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。
「ほ、本がかってにうごいてるー!」
『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』
と、アシュリンを旅に誘う。
どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。
魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。
アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる!
※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。
※この小説は7万字完結予定の中編です。
※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる