クローンだった私と、兄

柚木ゆず

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「お邪魔します。お父さんお母さん、入るね」

 二人が使っていた、8畳の洋室。蒸発してから初めて入る部屋はやっぱり様々な思いを生んじゃって、寂しさが込み上げてきた。

「…………お父さんお母さん、気が向いたら帰ってきてね。私もお兄ちゃんも、待ってるから」

 まずは部屋に向かって喋り、気を取り直して室内を調べる。
 棚にもベッドにもテーブルにも、異常はない。ということは…………。

「やっぱりそうだ。クローゼットで雪崩が起きてちゃってる」

 取っ手の埃を息で掃って開いてみると、それはもう酷い有様になっていた。しかも2つある段ボールの片方は落ちてきたもので大きく凹んじゃってて、早くどけないと中身まで傷んじゃいそう。

「見にきてよかったよ。大急ぎで除けて……………………こんなにめり込んでたら、この段ボールはもう使えないね。違う入れ物に移しとこう」

 私の部屋にある収納BOXを一つ持ってきて、早速移し替えを始める。
 お父さんお母さん、ごめんなさい。必要なことだから、勝手に開けるね。

「今いない人のものを触るのって、なんか罪悪感があるよねえ。二人にとって重要なものじゃなかったら、そういう気持ちも薄まるんだけど――え……?」

 大したものじゃありませんように。そう願いつつ開封していた私は、言葉を失ってしまう。
 なぜなら――。そこにあったのは――


 私の、遺影。


 小学4~5年生くらいの、私が……。死んだ人用に作られる写真の中で、笑っていたのだから……。

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